かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

英語力

2013年10月18日 | エッセー
 英語が苦手である。どのくらい苦手かというと、大学受験の時、英語に見切りをつけてフランス語で受験したくらい苦手である。(そのフランス語も、卒業後全く使わなくなって忘れてしまった。)

 しばらく前、FBで坂井修一さんが東大の秋季入学式における総長式辞がすばらしかったので読んでみてくださいと書いていらした。興味を持って開いてみたら英語。挨拶部分を読んで、その後、長そうだなと思って全文を見たのがいけなかった。小さな文字でA4の3ページ分はある。後で読もうとページを閉じた。

 帰宅した息子にその話をしたら、英文の3ページくらいでめげるなよ、と笑われた。(息子には申し訳ないが、献辞付きでもらった息子の論文、修士のも博士のも絵を眺めただけで読んでいない。)もっとも、理系だから致し方なく英文で読み書きしているだけで、息子が英語を得意な訳では全くない。

 数年前、息子は3ヶ月ほど博物館で研修をする為にアメリカに出かけた。落ち着いたらアパートを探そうと、当初の10日間ほどはネットで探したホテルに滞在することになっていた。ところがいざ現地に行ってみると、パソコンを使う為には冷蔵庫のコンセントを引き抜くしかないというお粗末なホテルで、条件が全く違う。さっそくフロントへ掛け合いに行ってさんざんやりあったが、最後に英語力で負けてすごすごと引き下がったという。

 憤懣やるかたない息子は、指導してくださる博物館の先生にさっそくホテルのひどさを訴えた。先生は一緒になって悪徳ホテルを嘆き、いたく同情してくれた。そして翌日から3ヶ月間、息子はその博士宅に泊めてもらい、食事も家族と一緒に奥様の手料理を食べさせてもらった。その間の費用はどうしても受け取ってくださらず、アメリカの研究者が日本に行って困っていたら助けてやってくれ、それが私へのお返しだ、と言ってくださったそうだ。