先日、愛知県刈谷市の平成小学校に招待された。5年生66人のこどもたちが半年あまり環境問題について学んだ成果を発表する会があった。これは刈谷市に本社があるアイシン精機株式会社が資金をサポートし、NPO法人アスクネットがマネージメントをして、こどもたちに環境学習の機会を提供しようという「愛・シンパシープログラム」である。その企画に私も専門家として参加していた。
プログラムの実施はすべて市民講師が . . . 本文を読む
IPCC第4次レポートにおいて、氷に関する議論はかなりこみあっていて、専門外の人にはちんぷんかんぷんかもしれないし、誤解を生みやすい記述になっている。ちょっとたいへんだが、関連する文章を正確に訳しておいてから、解説しよう。「」内は報告書の英文を私が訳したもの、それ以外は私の見解である。
「山岳氷河および冠雪は平均的には両半球において減少している。広範囲の氷河と冠雪の減少は海水面の上昇に寄与し . . . 本文を読む
前置きが長かったけれども、それなりに心構えができたところで、2007年2月7日に発表されたIPCC第4次レポートの中で、第1作業部会の「政策立案者のための要約」をかいつまんで読んでみることにしよう。
このレポートの内容の柱は二つある。過去100年間の温暖化の軌跡を確認することと、将来100年間の<予測>をすることである。全体として2001年に発表された第3次レポートの内容を覆すようなものは . . . 本文を読む
環境問題に取り組む上で予防原則という考え方は切り札である、と私も考えてきたのであるが、ある時、考え込んでしまった。
それはアメリカ・ブッシュ政権の高官が、イラク戦争を正当化するために予防原則を持ち出して説明していたのをテレビで見たからだ。イラク戦争の大義名分は名目上はフセイン政権が大量破壊兵器を所持しているというものだった。しかし、そのような事実はなかった。それでも戦争を正当化する論理が予 . . . 本文を読む
IPCC第4次レポートが発表された。その内容の柱は、過去100年間の温暖化をさまざまな観測結果によって確認することと、この先100年の温暖化とその影響を「予測」することにある。これを解説する前に、「予測」というものの意味を吟味しておかなければならない。少しまどろっこしく感じられるかもしれないが、多くの人がIPCC報告書の内容を頭から信じこんでしまうことは、逆に事態を悪くすると私は考えているので . . . 本文を読む
映画『不都合な真実』が好評らしい。お互いにタイミングをみはからったかのようにIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の6年ぶりとなる第4次レポートが公表されたりして、何度目かの地球温暖化問題への社会的な関心が高まってきそうな気配である。
地球温暖化問題というのはいったいどういう問題なのか、実はそう簡単なことではない。「こういう問題です」という世界共通のただ一つの答があるわけではない。人により . . . 本文を読む
「いつか、ある人にこんなことを聞かれたことがあるんだ。たとえば、こんな星空や泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。もし愛する人がいたら、その美しさやその時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」
「写真を撮るか、もし絵がうまかったらキャンバスに描いて見せるか、いややっぱり言葉で伝えたらいいのかな」
「自分が変わってゆくことだって・・・その夕陽を見て、感動して、自分が変わってゆくことだと思 . . . 本文を読む