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エディ・チェンバース対アレキサンダー・ディミトレンコ(2009/07/04)

2009-07-11 02:49:18 | ボクシング
WBOヘビー級王座挑戦者決定戦

先週末にドイツで行われたヘビー級の指名挑戦者決定戦は米国のエディ・チェンバース選手(Eddie Chambers)がウクライナ出身のアレキサンダー・ディミトレンコ選手(Alexander Dimitrenko)をスピードとテクニックとで圧倒する12回判定で勝利しています。(体格比較)

チェンバース選手の持ち味であるセンスを存分に見せ付ける見事なパフォーマンスで敵地のホープを手玉に取る圧勝劇でした。
ヘビー級では小柄なチェンバース選手と、2メートルを超える大きな体が特徴のひとつでもあるディミトレンコ選手との顔合わせで体格差にも注目していた試合でしたが、試合前日の計量でチェンバース選手が208.25ポンド(約94.5キロ)ってのにまず驚かされました。
3月の対ピーター戦から一気に6.7キロ減という今回の体重はチェンバース選手のキャリアで見ても約6年ぶりの軽さで、試合前はディミトレンコ選手と20キロ以上違う事による体力差を心配したのですが全くの杞憂でした。

踏ん張って打ち抜く左フックを置くように見せながらシャープな左右のストレートでプレスを掛け、接近すれば右アッパーでディミトレンコ選手の顔面を跳ね上げるチェンバース選手。ボディでちょっと効かせた初回終盤には完全にペースを掌握していました。
2回からは右ストレートからの逆ワンツー、ディミトレンコ選手の左ジャブに対して右に出て相手の腕の下を通すように右アッパーをカウンターで合わせるなどノリノリ。ステップイン時に相手の攻撃が出てくるのを見て、ステップインしながらスウェーでパンチを外しすかさず反撃のコンビネーションをまとめるなど(身体は前に踏み込みつつ上半身だけをクイっと反らし防御→すぐ戻し攻撃)のセンス溢れる動きは相変わらず見事なものでした。
左フックや右ストレートなどの強い攻撃を当てたいディミトレンコ選手ですが、巧みなボディワークとブロッキングを組み合わせたチェンバース選手のディフェンスにほとんど全ての攻撃を殺される状態。
5回にボディブローで効かされて以降は毎ラウンドボディでピンチに陥ります。7回にボディでスタンディングカウントを聞かされ、10回にもチェンバース選手の左ジャブ×2→左フックという素晴らしい左3連打で再びダウン。
11回12回と攻勢を強めたチェンバース選手の強い左右フックを浴びながらなんとか凌いで判定に持ち込むのがやっとのディミトレンコ選手の完敗でした。

1人がドローとスコアしていた公式の採点結果は非常に意外でしたが(117-109,116-111,113-113)、この現象はチェンバース選手の試合のお約束になりつつある感じでしょうかw
ドローのジャッジが1人いた事を知りつつ見た試合で、ディミトレンコ選手にポイントが行くケースを想定しながら見ていたのですが、やはりチェンバース選手のパンチの軽さとブロックの上を打たせることが影響していた感じでしょうか?
ディミトレンコ選手の大きな攻撃を避け損なってる場面が度々あって(この時も上手く吸収して攻撃の威力を殺してはいるんですが)、こういったラウンドでディミトレンコ選手につける見方もありだったのかもしれませんが、仮にこの内容でディミトレンコ選手が勝っていたならば大問題になっていたとも思えます。シロート採点は119-107チェンバース。

A Boxing Fixture: That One Crazy Scorecard(Frank Lotierzo/The Sweet Science)


いつも中盤以降失速するチェンバース選手が後半ペースアップしていたこの試合を見ると彼のスタイルではやはり絞った方が良いのかも知れません。ただディミトレンコ選手の実力が足りていなかったからこそのこの展開だったのかもしれませんが・・?

ウラジ選手の持つ王座への挑戦権を獲得したチェンバース選手は35勝(18KO)1敗。ウラジ選手相手に対抗できる姿は全く想像できないのですが、やはりワルーエフ選手には楽勝できると私は思います。チャガエフ選手との試合なんかも見てみたいなー。
初黒星のディミトレンコ選手は29勝(19KO)1敗。

試合動画(megavideo)

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ボクシング エディ・チェンバース vs アレクサンドル・ディミトレンコ 1/3

ボクシング エディ・チェンバース vs アレクサンドル・ディミトレンコ 2/3

ボクシング エディ・チェンバース vs アレクサンドル・ディミトレンコ 3/3


ニュース動画
Chambers defeats Dimitrenko

Chambers defeats Dimitrenko!(Karl Freitag and Alexey Sukachev/fightnews)
Fireworks Display In Germany: Chambers Downs Dimitrenko(Michael Woods/The Sweet Science)
"Fast" Eddie Chambers New And Improved - Enough To End Klitschko's Reign?(James Slater/EastsideBoxing)
Chambers, Dimitrenko speak!(fightnews)


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3 コメント

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Unknown (ko)
2009-07-11 06:56:28
初書き込みです。今チェンバースの父親の元でボクシングをしてるものです。今回の勝利は本当にうれしかったですね。チェンバースのブロッキング上手さとハンドスピードは歴代のヘビー級でもトップクラスですね。パンチが軽いとよく言われますけど実際生でサンドバッグとかミット打ちを見ていると他のヘビーのボクサーとくらべてパンチ力がかなりあるように見えます。ヘビー級の中ではパンチが軽いのでしょうか?
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Unknown (nora)
2009-07-11 14:01:08
オルティスのところに名無しでコメントしてしまいました。たぶんどれかはわかってもらえると思いますがw

チェンバース圧勝でしたね。びっくりしました。
この体格差を超えてスピードと技術でここまで圧倒するっていうのは、ちょっと想像できなかったです。
ウラジはこれで、IBFではポベトキン、アレオラ、WBOではチェンバースが指名挑戦者ですよね。
ウラジもチャガエフ戦で完璧な戦い方を見せつけましたが…。
どうなるでしょうか?今後が楽しみです。
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Unknown (管理人)
2009-07-11 17:50:12
>koさん
こちらこそはじめまして。
シニアの指導を受けているんですか!すごいですねぇ。フィラディルフィアのジムなんでしょうか?
フレイジャーのジムも近いのかな・・(あそこはスラム街みたいですが)
日本にも熱烈にチェンバース選手を応援しているファンがいるんですよ!とお伝えくださいw
チェンバース選手はやはり身体が小さいですから、他の大きなヘビー級選手と比べるとパンチは軽いという事になるんだと思います。
ただ彼のタイミングとスピードを生かしたシャープなブローの威力と魅力は充分理解しているつもりです。
ポベトキン選手の顔面を一発で腫れ上がらせた右ストレートとか痺れちゃいます。
この試合でチェンバース選手がスタートからよく見せていた、踏み込まずに強く打ちぬく左フックの意図がよくわからなかったのですが、あれは相手の入りを牽制しつつ入ってくればカウンターで合わせるみたいなものなんでしょうか?
可能ならばこのあたりについても聞いていただきたいでっす

>noraさん
私的にはチェンバースを高く評価してましたし、ディミトレンコの事は全く買っていなかったのでw結果はほぼ予想通りでした。
ただ快勝したと聞いたときは凄く嬉しかったですし、試合前は結構不安だったりもしたんですがw
ポベトキンに敗れてしまった後、少しの間米メディアから相手にされていないような不遇の時代があったので、世界王座目前にまで這い上がってきた事が私は本当に嬉しいです。
忙しいウラジさんは相手にせずになんとか他の王者、というかワルに挑戦できませんかねぇ・・
あと、ヘビー級絡みだとソリスとケビン・ジョンソンがやるみたいですね。これは楽しみすぎる・・(すいませんw)


1年後にヘビー級、ボクシング界はどうなっているんでしょうかねぇ?
コット対マルガリートの直前でワクワクしていたのがちょうど1年前の今頃。その後現在までの色々な出来事は予想不能なものばかりでしたし、これから先もそうなんでしょう。
今後もマイペースで続けていくつもりの当ブログが、またnoraさんが戻ってきた時に激動のボクシング界の一部を知る手助けに少しでもなれるよう更新に励みます!
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