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『ジャックザリッパー』日本初演

2021-09-20 13:18:38 | 国内ミュージカル
来日公演(青山劇場)の感想はコチラ
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『잭더리퍼』

木村@ダニエル
あれ?こんなに通る声だった?
というのが、第一印象。

地声を生かした発声だと
こんなに印象が変わるの?
ってくらい、違う。

なんせ、加藤、田代、両氏と、
三重唱をしても、そこまでの違和感なし。
主に、埋没しない。

むしろ、この前観た
『L5Y』は何かダメだったのか?

ダブルキャストなら、
実は、選択するべき役者かも。


小野@ダニエル
ベビーフェイス、
というのだろうか?

とっちゃん坊やなダニエル。
歌よりも、その演技が細かい。

ただ、優しさが全面に出てるので、
2幕の豹変さが足りない気も。


木村@ダニエル比、
というフィルターが有るけど、
主役でも申し分ない歌唱力。

なんか、『ロミジュリ』で、
この優男顔、観た気がする。


加藤@アンダーソン
ひたすら、悶え苦しむ、
安定のウケ演技を舞台上で披露。

群舞にいても、埋没しない声。
その、要所要所の低音が好み。

アンダーソンの有名ソロを、
朗々と歌い上げ、他のアンサンブルと
埋没しない、演技の存在感。

数々の大型ミュージカルで、
主役をしてるだけは有り、
今回のアンダーソンがメインに
なるシーンでも、主役な存在感。


松下@アンダーソン
熱血刑事。ゆえに、
何故、ヤクに手を出したのか?

その辺のバックボーンが気になる演技。

悩める演技をしてはいるけど、
それ以上に、直情型の演技が目立つ。

加藤@アンダーソン比、
が無ければ、主役の脇演技は、
申し分ないと思う。ただ、
『アンダーソン、目立ち過ぎ』
っていうのを知ってると。


堂珍@ジャック
想像以上に低音。

頑張ってはいるけど、
ポップス歌唱が抜けない。

他にもミュージカル発声でない人が
多数、出演してるので、そこに問題はない。

『アナスタシア』みたいな、
ちょっとヒネクレた設定よりも、
こういう直球なシリアルキラーの
方が、似合っているのかもしれない。


加藤@ジャック
このシリアルキラー感。

ナマで観るなら、
アンダーソンよりはコッチ。

ともかく、楽しそうに、
吹っ切れた、セメの演技が
大変に珍しく、オイシい。


Mayn@グロリア
ヒロイン。
なんだけど、
ちょっと、昭和な。

ポップス歌唱が抜けてないのか、
『生きる』のイメージが抜けてないだけか。

歌も、もっと、ソプラノで
来るかと思ったら、アルトだし。

娼婦、という視点だと、
コレは有りなのか、否か。


エリアンナ@ポリー
1幕にも出てたのに、
突如、アンダーソンから
白羽の矢が当たるヒロイン。

この、2幕のぽっと出感は、
相変わらずだけど、
あの、中島みゆき風の、
語る系ソロに違和感が無かった。

って、韓国版もああいう歌い方では、
無かったと思うので、日本オリジナル。


やはり、娼婦枠の、
アルトで引っ張って歌唱は、
『ジキハイ』のルーシーなんだろうけど、
『ファントム』のカルロッタでも有るのか。

そういう意味で、
こう、ハマり役。


田代@モンロー
マリオがルキーニを演じたら、感。

金の亡者、特ダネを求めるハイエナ。
そこまでは良いけど、最後の、
更に、金をとことん溺れる、
その豹変さが、ちょっと。

これは、演出の付け方
(演出家との相性)も、
有るのかな、とも。

歌もただ濁声で歌うだけだし。
演技と歌のメリハリが無いと、
田代氏がモンローを演じる意味が無いような。

『マタハリ』が良かっただけに、
ちょっと、瞑想してる感が。


白井演出。
具体的な臓物が出てくる辺り、
ちょっと、アップデートされたかな?と
思いつつも、劇団時代の抽象的な、
あの独特の世界観はミュージカルでも顕在。


紙を舞台に巻き散らし、
血として、例えるのは
結構、好きだし。

ラストのジャックとダニエルの
入れ替わる瞬間のメリハリは、
本国版演出よりも日本人ウケを
狙った結果かな、とも思う。


ただ、ダニエルの手術室の
スケールが小さすぎて、
もっと、派手にしても良かったのでは?

特に、爆発する原因が
ちょっと、弱い気がする。


ただ、時系列の順序は、
日本版の方がわかりやすい。
(母国語で聴いてるのを差し引いても)


チェコミュージカル。
曲に当たり外れは有るけど、
韓国版で耳に残った曲は、
今回、観てて、思い出した。

例外はポリーのソロ。
(こんな歌い方なのか感)


そして、ジャックのナンバー。
ボムレ@ジャックのインパクトが強すぎて、
今回、一番、楽しみにしてた曲だけに、
ちょっと肩すかし感が。正直。

どうして、あー、なった。
あの低音を出せる役者、
いくらでも、アンサンブルに
いるでは無いかー、プリンシパルで
無くても良いよー、ってなるヤツ。


来日版を観て、
アイドル枠とミュージカル俳優枠で、
こんなに印象が違うのか、と感じたけど、
今回の日本版もキャストによって、落差を。

なお、木村、加藤、堂珍の組み合わせだと、
前2人+田代氏になるので、大変に
グランドミュージカルになる。

が、小野、松下、加藤の
組み合わせだと、どうしても、
2.5感が抜け出せない、抜けきれない。
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