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少子化と労働問題4

2005年12月20日 20時56分22秒 | 社会全般
内閣府の中間報告にあった無業者の定義自体は、それなりに意味があって、求職・非求職・非希望型というのは、労働統計には概ね合致していると思う。総務省の「労働力調査」では、15~24歳と25~34歳の群で非求職(就業希望はあるが求職活動をしてない)と非希望群に分類されていて、非労働力人口(在学を除く)は24歳以下が61万人、34歳以下が327万人おり、それぞれ希望型は23万人、112万人となっている。また非希望型は36万人と205万人である。これらの中には、結婚してしまって家事や育児を行っている人達も含まれている(特に女性の数が圧倒的に多いのはその為であろうと推測される)から、それらを除いた群を求めたのだろうと思います。それで、内閣府の定義では「配偶者有り」を除いたのだろう。


新卒者達の就業状況などを調べてきましたが、他の統計数値も見てみることにします。文部科学省の「就職状況調査」というのがありますが、これは毎年内定率がどれ位か速報が出てますね。これを見ると、報道などで出る秋頃(10月)とか2月時点での就職内定率は低く、最終的には4月1日時点での結果が最も重要になってきます。ギリギリまで決まらなかった人達も、それなりにどこかの働き口が見つかって、その後に働いているだろう、ということになります。これで見ると、17年4月時点では、大卒がここ3年位は安定して93%前後となっており、就職を希望していた人達はその殆どが働く、ということになると思います。「学校基本調査」と随分印象が違いますね。大卒の就職内定率はかなり悪くなってると思っていたのですが、最後の時点(4月1日)では殆どが就職しているということになります。同じく短大、専修学校、高専の内定率を見ると、89%・92%・98%くらいですからそんなに悪くは無いですね。


この調査は、全数調査ではなくサンプル校のみということと、内定の全てが正規雇用なのかは分りません。それと、最後まで就職活動をしていた人達がどれ位就職内定があったか、ということを調べていて、途中で就職活動を止めたりすると就職希望者の母数から除かれたりするんだろうか?仮に卒業予定者1000人、就職希望者900人(100人は留学や大学院進学など)の学校があるとします。10月時点では6割決まっていれば(540人)、内定率は60%となりますが、これ以外にまだ未定の360人がいることになります。この360人のうち、2月時点までに100人諦めてしまい就職を希望しないということになれば、残り260人が就職活動をして、この9割が就職出来たとしましょう。すると、就職したのは900人中、540+234=774人となり、途中で諦めた100人を除けば就職希望者は800人となりますから774/800×100=96.75%となります。こうなれば高い就職率ということも頷けるのですが、こんな仕組みなんでしょうか?本当は仕事に就けなかった人達が126人(就職希望者の14%)もいるのですけれども。でも実際に9割以上の就職内定率が数年来続いているとなれば、殆どが就職出来ているということになります。本当にそんなに就職出来ていたのでしょうか?大卒の2割くらいが「進学も就職もしない者」となっているのですけれども。


他の特徴としては、高専の高い就職内定率が挙げられます。これは以前から言われてきましたが、高専の専門性が高く評価されている、ということだと思います。また、高卒に比べても、就職率が高くなっています。学校基本調査によれば、卒業者総数約1万人のうち就職するのが約5400人、無業者と分類されているのは337人となっています。高専卒者は大卒・高卒者と比べて、①就職率が高い、②就職内定率も高い、③無業者の割合が少ない、ということが言えるかと思います。恐らく、高校時代(15~18歳頃)での教育制度として就業に備えた専門教育の必要性を説く方々は、こうした高専の特徴を反映した提案をしているのだろうと思います。


新卒という部分から見ると分ることもありますが、現実には内閣府報告にもあったように、中卒者や高校中退者達の就業状況の実態はよく分りません。無業者と分類されている層について、「中・高卒が多い」という傾向があるならば、学校基本調査などには載ってこない人々が無業となっている可能性もあります。高校中退者ばかりではなく、高卒後に大学進学を希望したものの浪人生となったりしていると、予備校を辞めた後が統計には載ってこない層になってしまったりしてるかもしれません。高卒時には「学校進学」と同じ(大学進学・専修学校通学等)であるけれども、その後に予備校で統計を取ったりはしないと思うので、断念した人達がどのような進路をとることになったかは調査されていないだろうと思います。


厚生労働省の労働経済白書では無業者に関する調査があります。この中では、求職活動をしているのが約4割ですが、一度も求職活動をしたことが無い人は約2割存在します。その理由(複数回答)は、「ひとづきあいなど会社生活をうまくやっていく自信がない」が約33.6%と3人に1人です。これが多いと見るか少ないと見るかは別として、最も多い理由はこれだ、ということです。後は順に、健康上の理由(29.3)、他にやりたいことがある(28.3)、能力・適性にあった仕事が分らない(25.4)、自分の能力・適性が分らない(22.6)、希望の就職先が見つかりそうにない(17.0)、求職活動の仕方が分らない(15.5)、なんとなく(10.6)、仕事に就く必要がない(7.8)、家事・育児・介護で忙しい(6.7)、家の仕事を継ぐ(1.1)、となっています。


これらの結果を見ると、健康上の理由というのが大きいとは思いますが(現実にはどういう病的状況なのかは、定かではありません。主にうつ病などの精神疾患である可能性も有り得ます)、家事等で求職出来ない人達はそんなに多くはない。また、家業を継ぐ人が非常に少ない、ということですね。自営業者が減少している、ということなのでしょうか?この変は別な資料を探さないと分りません(恐らく減少してきていると思いますが)。その他の理由では、自信がない、能力・適性などが分らない、求職のやり方が分らない、なんとなく、などという理由があるので、これらに対して、厚生労働省がいくつか対策を出してきたんだろうと思います。


本当に「仕事が出来ない状態」の無業者という人達が若年無業者全体に占める割合というのは、多分半分もいないだろう。内閣府の調査では、非求職型のうち病気、家事・育児、介護等である人達は43万人中13万人程度で、残りの30万人は別な理由である。非希望型が何故就業を希望しないのか、というのは正確には分らない。





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