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迷走する国家戦略局構想

2009年09月26日 13時14分11秒 | 政治って?
やはり、当初の予想が現実になってきたように思う。官邸に人数を増やせばいいというものでもない、ということか。むしろ、「何をどうしたいのか」ということについて、うまく仕事を分けていかないと機能しないのではないか。単なる手柄争い、主導権争い、ということになれば、安倍政権の時(肥大化する官邸?)と同じく、失敗に終わるのではないかと思う。

かつて、「ゴレンジャー」と呼ばれた補佐官5人衆は、結局成果を挙げることなく鳴かず飛ばずで終わった。しまいには、「フールファイブ」という、まさに「官邸の失敗」の象徴として語られることになってしまった。このことを肝に銘じておく必要があるだろう。

(以下では、国家戦略局ないし室は『戦略局』、行政刷新会議は『行刷』、政府税制調査会は『税調』と略して呼ぶことにする)

とりあえず、個人的な見方を書いておきますから。別に、財務省とか大蔵が嫌いなわけではないけど、どうも鈍感な政治家たちが多いような気がするので、一応、ということで。


①権益確保に一歩先んじた財務省&大蔵閥

動きの鈍かった菅副総理一派に比べて、財務省は迅速に行動した。投票前から、選挙結果の読みを固めて「民主党」サイドにうまく擦り寄っていたのは、財務省勢力だった。こうした情報収集能力や、時の権力にうまく取り入り、時流に乗ってゆく能力というものは、流石に大蔵と思わせるものがある。常に全ての省庁の頂点でなければならないし、権力の中心に位置取りをするということも必須であるからだ。
ダテに厳しい出世競争を経てはいないというわけである。変わり身の早さは他省庁に抜きん出ており、素早く損得勘定を弾き出して、うまく立ち回る手法をよく心得ているようだ。マヌケな農水省とかは、事務次官さえもが民主党批判をいつまでもやっていて、わざわざ睨まれたいという役回りを買ってくれたほどだ(笑)。国交省は農水省よりもマシではあったが、自民党有力者(所謂”族議員”連中だ)の庇護の下に馴れすぎていて、体制転換が遅れた。というよりも、単なる頭の回転速度の問題であるかもしれない(笑)。

こういうことでは、出世などできんのよ(現実はどうなのか、全く知らないけど)。
まあ、いいか。


で、OBの藤井大臣をうまく味方に付けて、先手を打ってきたのである。
例えば「亀井大臣がこのまま暴走を続けると大変なことになってしまいますよ。それでもいいんですか?」とか言われりゃ、そりゃあ普通の見識ある大臣ならば、「イカン、イカン、”財務省”が頑張って何とかせねば」となりますわな(笑)。他にも、「予算編成の素人集団でしかない、戦略局にやらせていいんですか」とか言われりゃ、イカンイカン主計局がやらねば、ということになるわけなんですよ。これが財務大臣の心理、というものです。そこを衝かれれば、「財務省官僚の権益を守る為に、財務省がコレコレの仕事をします」と言うのと、全然違うでしょ?
平たく言えば、「メチャクチャにされちゃっていいんですか」「杜撰な仕事をさせておいていいんですか」みたいに、良心の疼くような攻め方をすれば、そんなに難しい話じゃない。だからこそ、結果的には財務省権限の確保に繋がってしまうような話であっても、ついつい「財務省がやります」というふうに大臣が言わざるを得なくなるわけなんですよ。藤井大臣がそうされたかどうかは知りませんが、誰でも思いつく話ではないかな、と。

現在のとこと、戦略局はスタートラインにすら立ってない、行刷も何から手を付けていいのか考え中、というような有様で、財務省はまんまと出し抜けた、ということですね。財務省はむしろ、戦略局と行刷のバッティングというか、潰し合いをさせることを狙うに決まっている。両方の縄張り争いとか、権限争いとか、そういうのに成功すれば、両者を尻目に予算編成などの仕事を着々と進めることができ、結果としてはそれが有力な既成事実を作り上げることにも繋がるからである。菅vs仙石は、最も望むところ、ということになるでしょう。

まあ、昔から「勘定方」というのは、転んでもただでは起きない、というところでしょうか(笑)。
算盤を弾くのが、お得意なようで。


②「戦略局潰し」の為に税調をぶつける

財務省のとった作戦とは、戦略局の動きを封じる意味においても、まず「収入」を押えることだった。
仙石大臣あたりだと、財務省の狙いまでは頭が回らないのだろうと思いますが、行刷は端的に言えば「削る」方なんですよ。削り一方。これはどういうことかと言えば、出口の方を絞るという役回りで、民主党が大好きな「無駄を省く」というスローガンそのもの、ということなんですよ。しかし、民主党のお偉いさんたちの殆どが支出ばかりに目を奪われているけれども、現実には、収入の部分というのがとても重要なんですよ。来るべき増税という財政再建派の悲願ということもあるかもしれません。

前に、財務省の一部についてぶっ壊されてみたらどうかという冗談を書いた(こういうのや、このへんとか)ことがあったけれど、「入口」の部分の決定権限について実権を奪われるというのを、財務省は何としても阻止したいということなんですよ。

自民党時代には、「俺の目の黒いうちは…」みたいな、税調の妖怪が存在していた。党税調のドンだった、山中何とかみたいな議員が目を光らせていたわけですよ。だから、政府税調の重きはなかったし、実質的には骨抜きにされてきた、ということがあったわけです。この歴史に終止符を打ったのが、民主党政権なんですよ。財務省にとっては、願ったり叶ったり、ということに他ならないわけです。つまり、「(政府)税調最強」ということが、出来上がったということになります。かつての「党税調は死んだ」ということなのですから。

この頭を跳ねることができるのは、恐らく戦略局だけではないか、ということになるわけです。
あとは、ここを抑えれば「財務省天下」を守り通せる、と踏んだのだろうと思いますね。だから、戦略局には、いつまでも眠っていて欲しい、実質的な権限を発揮させないように官邸同士の縄張り争いとか混乱とかで「有名無実化」して欲しい、と願うに決まっているのです(笑)。その為の手練手管はいかようにもやりますよ、というのが、財務省の思惑だろうと思いますね。面従腹背、まさにこれ、ということではないでしょうか。そこまで行かないにせよ、権限を失わないように、まず入口を確保、ということに動いたことは間違いないでしょう。

だって、戦略局は設置の法的根拠がまだないもの。
しかし、税調には既に政令である内閣府令があって、法的根拠が明確になっているからね。その仕切りは、長年財務省という管轄だったわけで、総務省の自治局というのもあるにはあるが、実権としては主税局が握っているはずですから。ここを軸とする、というか、テコにして、金の入りというものをまずコントロールしましょう、という腹づもりではないかと思いますよ。その後に控えるは、いずれ「出る方」もコントロール下に戻しましょう、ということになりますわな。


③無駄を削るのは、永続できない

行刷が何年か存在していると、前年の予算を査定したのは自分たち、ということになるわけだから、その後にも「無駄がある」なんてことになれば、それは「お前ら、自分の責任じゃないか」ということになるだけですからね。家庭の家計でも同じですが、無駄を見直しましょうということで、仮に生命保険料の見直しとかお父さんの小遣い見直しとか、1回やってしまうと、その後にはもうやるべき「見直し・無駄を省く」という部分なんて、あんまり残ってないもの(笑)。つまりは、いずれはネタが尽きてゆくはずでしょう、ということになるわけですよ。

そうなれば、いずれ行刷の権限縮小となってゆくのは、火を見るより明らか。民主党の大好きな「特別会計の無駄があるじゃないですか」というのを全部切り終わった後には、「○○に無駄がある」の論法は使えないというのは当たり前ですもん。○○を決めたのは、自分たちじゃないか、ということなんですから。

なので、行刷がもの凄く頑張ったとしても、頑張れば頑張る程に、早く権限を消失してゆくということになりますわな。
となれば、財務省復権はそう遠くない未来、ということになるでしょうね。だから、当初は張り切って「無駄な予算を切る」という民主党議員たちの意気込みには逆らわず、協力的な対応をしておけば、数年後にはまた「元に戻れますね」という感じになるんじゃないですかね。


入口を確保するのには、もう一つ重要な意味があって、歳入庁構想というのがありましたけれども、ここでもやはり財務省の権限範囲を守る意味があるわけです。「国税庁」という財務省一家のことですので、ここの権益を手放すわけにはまいりません、ということです。


④戦略局は財務省の壁を超えられるか

政治主導云々ということを実現しようと思うなら、財務省の権限を超える地位を確保する以外にはないのである。それは、法的根拠ということにおいてもそうなのだ。財務省の上位に位置するということになっていなければ、単なる諮問機関の一つとして終わるだけになるだろう。

さて、今後にそういう法律を制定できるか、そんな法案を考えられるのか、というのが、戦略局の命運を握るポイントになってくるのではないか。民主党には、弁護士さんも豊富にいるようだから、一本法律を書いてあげればいいよ。ああ、福島大臣もそうだったか。法曹の頭数が揃っていても、あんまり役に立たないということなら、司法試験制度に疑念を持たれるかもしれないよ。
法科大学院でもういっぺん勉強しなおしてこい、ということか(笑)。





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