かつて日銀はゼロ金利政策を99年2月から実施し、同じ頃に「ITバブル」がスタートしていった。00年4月には株価が一気に急落してしまうのですけれど。で、当時日銀のゼロ金利解除問題が出る前にも、似たような議論が起こっていた。日銀への非難も数多く出されていた。「まだ解除すべきでない」「いや、金利ゼロという異常な姿こそ続けるべきでない」・・・進展のない議論というのは、経済論争の常なのかな?(笑)
ゼロ金利は「デフレ懸念が払拭されるまでは継続していく」と日銀では言っていたようだが、デフレ懸念がなくなったと判断したので00年8月に解除したのだった。この期間には、単に株価が急上昇して(ITバブルですね)、また下がってきていた時であった。CPI が急上昇したのでもなんでもなく、デフレは続いたままであった。なのに、「デフレ懸念はなくなった」という理屈で、ゼロ金利は解除された。人々のインフレ期待が、本当にデフレという深い暗黒から抜け出して、十分なプラスとなってはいなかったのだ。だが、日銀は株価急上昇を見ると、世の中の人々全部が「バブル」に狂っている、と思い込むらしい(笑)。闘牛の牛みたいなもんだな。赤い布を見せられると、著しく興奮して突進するようなものですね。前のバブルが余程のトラウマになっているのかもしれないが、株価上昇には異常に敏感なのだ、日銀は。
因みに株式投資をしている人の方が圧倒的に少なく、投資信託を含めても、全体から見ればそんなに多くはない。株価上昇の恩恵をダイレクトに受けて、消費をもの凄く増やしたりしている人たちはそんなに多くはない。ほんのごく一部だろう。だが、チラッとでもそういう兆候を見ると、バブルだ、インフレ期待だ、とか言うんですよ。そんなんだったら、とっくにITバブルの時にCPI が大幅なプラスになるでしょうが。97年の時みたいな、急上昇になっていましたか?現状のCPI 上昇は、外部的な要因に過ぎない。原油と為替の両方ですよね。なので、全般的にインフレ期待がプラスに転じてきて、将来の期待を織り込んだりしているものではないですよ。仮に円高に戻れば、マイナスに戻るかもしれない、という程度のCPI の回復に過ぎないのです。少なくとも、余りに長く続いた「デフレ」という期待形成との親和性がかなり強化されているので、人々の考え方を変えさせるのには時間がかかるし、プラスが長く続くという長期的基調が出てこないと、早々に解除するというのは全くの論外であろう。せめてCPI が2%を超えるまでは、待つべきである。
薬だって長期間服用を続けると、離脱には注意が必要なのだ。有名なのはステロイド剤だね。急に止めてしまうと、リバウンド現象が起こり、逆に病状が悪化することがある。なので、離脱時には長い時間をかけて、減量していくことになる。そうして、いずれは完全に止めてしまうのであるが、何度も言うように今までの経過から見ればかなり強い「デフレ期待」との親和性(10年くらいに及ぶのだぞ!)なのだから、離脱過程にもそれなりの時間がかかると考えるのが普通だろう。人々の考え方を元に戻すには、CPI のような指標を見るのもそうだけれど、失業率のような現実の実感に近い「体感的」指標も重視するべきだ。
量的緩和策が解除された後は、短期的に見れば金利動向は極めて不安定になるだろう。長期金利も一時的には上昇する可能性があるが、為替の影響とか米国金利動向などにも影響を受けるだろうから、一概には言えないだろうけど。そういう混乱もあることを考えた上で、多少乱高下したとしてもデフレに戻らない程度に、セーフティ・マージンをとるのが普通であろう。今のような高々1%未満の上昇をもって、「デフレは終わった」などと言い、すぐさまボリュームを減らそうとするのは危険だ。
あの時と言い分が同じなのですよ、日銀は。
「デフレ懸念があるうちは、ゼロ金利を続けてきたんだ」って、今と同じことを言っているの。で、「その懸念が後退したから」、「株価だって急上昇したじゃないか」、「景気だって回復しているじゃないか」、「頻繁に札割れしているじゃないか」・・・日銀の言ってることが全部同じなんですよ、あの時と。だが、前は間違えてたんですよ。デフレは終わってなんかいなかった。大間違いの判断をしてしまったんですよ、日銀は。
量的緩和とゼロ金利は違う、とか言うかもしれないが、でもね、姿勢が同じだ、と言っているのですよ。考え方や取り組む姿勢、決意の強さ、そういったものが、何も変わっていなくて、本気で「デフレを終わらせる」「断固デフレをなくす」という姿勢ではない、って言ってるんですよ。
同じ過ちを繰り返すのは、真正の愚か者である。教訓を活かすということが出来ないからである。過去の失敗に、何も学んでいないからである。
日銀は再び同じ道を歩もうとしている。そして、再現ビデオを見るか如くに、同じような過ちを繰り返すのである。
本当のアホじゃ。
ゼロ金利は「デフレ懸念が払拭されるまでは継続していく」と日銀では言っていたようだが、デフレ懸念がなくなったと判断したので00年8月に解除したのだった。この期間には、単に株価が急上昇して(ITバブルですね)、また下がってきていた時であった。CPI が急上昇したのでもなんでもなく、デフレは続いたままであった。なのに、「デフレ懸念はなくなった」という理屈で、ゼロ金利は解除された。人々のインフレ期待が、本当にデフレという深い暗黒から抜け出して、十分なプラスとなってはいなかったのだ。だが、日銀は株価急上昇を見ると、世の中の人々全部が「バブル」に狂っている、と思い込むらしい(笑)。闘牛の牛みたいなもんだな。赤い布を見せられると、著しく興奮して突進するようなものですね。前のバブルが余程のトラウマになっているのかもしれないが、株価上昇には異常に敏感なのだ、日銀は。
因みに株式投資をしている人の方が圧倒的に少なく、投資信託を含めても、全体から見ればそんなに多くはない。株価上昇の恩恵をダイレクトに受けて、消費をもの凄く増やしたりしている人たちはそんなに多くはない。ほんのごく一部だろう。だが、チラッとでもそういう兆候を見ると、バブルだ、インフレ期待だ、とか言うんですよ。そんなんだったら、とっくにITバブルの時にCPI が大幅なプラスになるでしょうが。97年の時みたいな、急上昇になっていましたか?現状のCPI 上昇は、外部的な要因に過ぎない。原油と為替の両方ですよね。なので、全般的にインフレ期待がプラスに転じてきて、将来の期待を織り込んだりしているものではないですよ。仮に円高に戻れば、マイナスに戻るかもしれない、という程度のCPI の回復に過ぎないのです。少なくとも、余りに長く続いた「デフレ」という期待形成との親和性がかなり強化されているので、人々の考え方を変えさせるのには時間がかかるし、プラスが長く続くという長期的基調が出てこないと、早々に解除するというのは全くの論外であろう。せめてCPI が2%を超えるまでは、待つべきである。
薬だって長期間服用を続けると、離脱には注意が必要なのだ。有名なのはステロイド剤だね。急に止めてしまうと、リバウンド現象が起こり、逆に病状が悪化することがある。なので、離脱時には長い時間をかけて、減量していくことになる。そうして、いずれは完全に止めてしまうのであるが、何度も言うように今までの経過から見ればかなり強い「デフレ期待」との親和性(10年くらいに及ぶのだぞ!)なのだから、離脱過程にもそれなりの時間がかかると考えるのが普通だろう。人々の考え方を元に戻すには、CPI のような指標を見るのもそうだけれど、失業率のような現実の実感に近い「体感的」指標も重視するべきだ。
量的緩和策が解除された後は、短期的に見れば金利動向は極めて不安定になるだろう。長期金利も一時的には上昇する可能性があるが、為替の影響とか米国金利動向などにも影響を受けるだろうから、一概には言えないだろうけど。そういう混乱もあることを考えた上で、多少乱高下したとしてもデフレに戻らない程度に、セーフティ・マージンをとるのが普通であろう。今のような高々1%未満の上昇をもって、「デフレは終わった」などと言い、すぐさまボリュームを減らそうとするのは危険だ。
あの時と言い分が同じなのですよ、日銀は。
「デフレ懸念があるうちは、ゼロ金利を続けてきたんだ」って、今と同じことを言っているの。で、「その懸念が後退したから」、「株価だって急上昇したじゃないか」、「景気だって回復しているじゃないか」、「頻繁に札割れしているじゃないか」・・・日銀の言ってることが全部同じなんですよ、あの時と。だが、前は間違えてたんですよ。デフレは終わってなんかいなかった。大間違いの判断をしてしまったんですよ、日銀は。
量的緩和とゼロ金利は違う、とか言うかもしれないが、でもね、姿勢が同じだ、と言っているのですよ。考え方や取り組む姿勢、決意の強さ、そういったものが、何も変わっていなくて、本気で「デフレを終わらせる」「断固デフレをなくす」という姿勢ではない、って言ってるんですよ。
同じ過ちを繰り返すのは、真正の愚か者である。教訓を活かすということが出来ないからである。過去の失敗に、何も学んでいないからである。
日銀は再び同じ道を歩もうとしている。そして、再現ビデオを見るか如くに、同じような過ちを繰り返すのである。
本当のアホじゃ。