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上限規制で本当にヤミ金が拡大したのか?

2008年04月01日 22時01分05秒 | 経済関連
反対派の主張の最後の拠り所?ではないかと思われるが、資料を見つけましたので、書いてみます。
きっかけは、毎日新聞の社説でした。社説子は摘発された件数が増えている、みたいなことを書いていましたが、「ヤミ金被害の拡大」というのを考える時には、検挙件数や検挙人数ではなく「被害者数」と「被害額」が重要なのではないかと思います。
だって、警察では「ヤミ金取締強化月間」みたいに集中的に取り締まりをやったりすることがあるので、そういう時には検挙件数は増加しますよ。貸金業界が金融庁で説明した時も、都合の良い数字を持ち出してきていましたからね。なので、警察庁のデータを見てみましたよ。

生活経済事犯の検挙状況について(H14)

生活経済事犯の検挙状況について(H19)

両方のデータから平成10年~19年までの事犯件数、検挙人員、被害額、などが判りました。表を入れるのが面倒なのでざっとで書きますと、平成10(1998)年では、件数165件、被害者数73437人、被害総額260億6505万円で、引下げの00年では順に168件、49663人、160億円、01年でも210件、79454人、186,8億円、という程度でした。00年は98年よりも大幅に少なかったようですね。しかし03年からは被害者数と被害総額が大幅に増加し、556件、321841人、332.4億円となりました。この年にはヤミ金問題が大きく取り上げられ、警察の摘発強化とか、一部法改正などで摘発強化に繋がったものと思います。これ以降は減少となり、06年は323件、154511人、200億円、でした。19年は摘発強化で件数が増加して484件、被害者数148543人と減少しましたが、被害金額は100億円増えて303.9億円でした。

傾向を見ると、やはり経済環境の悪化(不景気、失業率が高い、など)で被害が多くなるように思われました。00年引下げの影響があったのであれば、03年以降に減少に転じたのはやや疑問ですね。15年の一部法改正で摘発しやすくなったことが要因かもしれませんけど。少なくとも、00年や01年の被害状況と98~99年では、引下げ前の方が悪かったように思われます。

あと、摘発件数1件当たりでみると、被害人数は98年が445人、金額は1億5797万円だったのですが、00年には295.6人、9545万円、01年は378人、8893万円に落ちています。特に1件当たりの被害金額の減少傾向が見られ、03年には5978万円まで落ちていました。これはどういうことかというと、恐らくヤミ金同士での競合ではないかと思われます。新規参入のヤミ金が相次いで(笑)、競争が激しくなったので1件当たりの貸してる額が縮小していったのではないかな、と。被害人数では、03年579人、04年647人、05年511人、06年478人、07年307人とかなり少なくなってきており、恐らくヤミ金1件当たりの顧客数が大幅に減った、ということだろうと思います。人数は減ったが、貸してる額を何とか増やして残高維持に努めている(笑)のではないかな、と。それでも、90年代には1億円を超えていたのに、ここ2年では6000万円程度ですから、新規参入が相次いだ結果ヤミ金同士の競争が続いているのだと思われます。

02年以降に被害人数が大幅に増加していたのは、借入件数を増やした多重債務者たちが多かったからではなかろうか、と。それは過去の積み上げ効果でしょうね、多分。あと、失業とかが酷くなったので。02年~04年は日本経済は氷河期でしたからね。


そういうわけで、どうもイマイチ「ヤミ金被害増加」の原因が上限引下げだ、という意見には、すんなりと納得できない感じですね。





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