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イラクからの撤退予測

2005年06月27日 14時40分55秒 | 外交問題
最近イラクからの米軍撤退時期について憶測が出始めているようで、これは自衛隊の撤退にも関わる重要な問題である。先日の自衛隊車列への攻撃で運良く大きな人的被害を出さずに済んだのは、本当に単なるラッキーであったと思う。今後に似たような事態が生じないという保障はなく、出来る限り早期の撤退が望まれるのは以前と少しも変わっていない。だが、日本の辛い立場としては、安保理改革問題がある為、米軍の撤退予定発表までは先に「帰ります」とは発表できないだろう。安保理改革案が通れば、その後に「撤退します」という宣言も可能かもしれないが。米国内では、イラク問題について、いい加減「止めてくれ」という雰囲気が出来ているようで、米国経済の先行き不安というのもこれに影響しているかもしれない。財政赤字の負担が重く圧し掛かり、原油高という世界経済の心配の種がある以上、「米軍のイラク撤退(完全撤退は少ないだろうが、規模を縮小して軍事顧問のような形で残し、イラク軍や警察の治安部隊の能力を高めるのと、現地の監視という意味合いもあるかもしれぬが)予定」の発表が待ち遠しいのである。


そうした状況を反映しているかどうかは不明であるが、次のような報道があったようである。


共同通信(6月26日)と続報の記事。

Yahoo!ニュース - 共同通信 - 米、武装勢力と秘密会談 イラク中部で、と英紙報道
【ロンドン26日共同】26日付の英紙サンデー・タイムズは、米政府や米軍の当局者がイラク中部バラドで今月前半、反米武装勢力の代表らと2回にわたって秘密会談を行い、武装解除の可能性などを打診していたと伝えた。会談に参加した武装勢力の関係者2人が同紙に明らかにした。報道が事実とすれば、好転の兆しが見えないイラクの治安情勢を打開するため、米国が軍事作戦による抑え込み一辺倒から、交渉による解決を探り始めた可能性がある。同紙によると、米国防総省はコメントを避けている。
 一方、イラクでテロを主導しているとされるザルカウィ容疑者が率いる「イラク聖戦アルカイダ組織」は参加しておらず、会談は反米武装勢力の分断を狙った動きの可能性もある。

Yahoo!ニュース - 共同通信 - 武装勢力と交渉は移行政府 英紙報道に米国防長官
【ワシントン26日共同】ラムズフェルド米国防長官は26日、米政府がイラクの反米武装勢力と秘密交渉を行っていたとの英紙報道について、交渉しているのはイラク移行政府であり、「われわれは支援しているだけだ」と述べた。NBCテレビなどのインタビュー番組で語った。長官は「そうしたたぐいの会合は数十回行われているとの報告を受けている」として、交渉は日常的に行われているとの認識を表明。アフガニスタンのカルザイ大統領が旧政権タリバンと交渉しているのと同様、イラク移行政府が幅広い国民の政治参加を目指しているのを反映した動きと説明した。



続いて、CNNの記事(6/25)より。

CNN.co.jp : イラク駐留米軍の撤退日程は「ない」、ブッシュ大統領 -USA
ワシントン(CNN) ブッシュ米大統領は24日、訪米中のイラク移行政府のジャファリ首相とホワイトハウスで会談し、駐留米軍の撤退期限問題に触れ、「(具体的な)日程はない」と述べた。設定することは、敵に利することになるとも語った。


そして、毎日新聞(6/27)の記事より。

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <イラク戦争>成否めぐり米政界殺ばつ 中傷合戦激しく
【ワシントン及川正也】イラクで駐留米軍と武装勢力の戦闘が激化するのに伴い、イラク戦争の成否をめぐりホワイトハウス、共和、民主両党による非難、中傷合戦が激しくなっている。開戦から2年を過ぎても一向に改善の兆しが見えない治安情勢へのいら立ちを背景に、米政界には殺ばつとした雰囲気が漂っている。
(中略)
その後も、ペロシ民主党下院院内総務がイラク戦争を「グロテスクな間違い」と発言。共和党のディレイ下院院内総務が「暴言。戦場の兵士とその家族に謝れ」と迫り、「舌戦」はエスカレートするばかりだ。開戦以来、1700人を超す米兵死者を出す現状に焦燥感を募らせるブッシュ政権と共和党。政権批判に打って出ながら空回り気味の民主党。うっ積する不満が、謝罪要求を繰り返す不毛な争いになっている。



こうして見ると、米国内の不満は相当多くなってきており、ホワイトハウスは「いつまでに撤退(縮小)する」という宣言を明確にはギリギリまで出さないだろうが、イラク人部隊の治安に移行させるのを出来るだけ早くしようと考えているのは確かである。それがCNNの記事の意味であると思う。キリスト教徒らしく、「クリスマス」は特別と考えるのは妥当であり、多くの米軍兵士達が本国で家族と共にクリスマスを過したいと考えるだろうから、年内というリミットが浮かんできそうな線だと思う。日本にとっても派遣延長期限が12月中(だったと思う)であるので、丁度よいと言えるだろう。主要な部隊は、米軍と英軍を残して、他の部隊は大半が撤退するということになるだろう。イラクに駐留するヨーロッパ諸国でも、撤退支持の国内勢力が強くなってきており、「これ以上の国民への説得は限界」と考えている政権は多いのではないのかな、と思う。従って、米軍サイドの観測(来年春~夏)というのは、部隊の半分程度が年内で撤退して、残した部隊も来年夏くらいを目処に撤退させる、という意向なのではないだろうか。米英主力軍以外の国の部隊は先に年内撤退というシナリオではないのかな、と。軍事教官とか顧問は、ずーっといるかもしれない。イランの様子がまだよく見えていないと考えているだろうし。昔の米国がとった戦略(イランにはイラクをぶつける)と似た感じもするが。


撤退時期発表ということになれば、8月以降になると思われ、それまでにイラクの治安能力と政権安定化がどの程度進展するか、様子を見ていこうということになるだろう。日本にとっては、8月初旬までに郵政法案の結論が出ているだろうから、万が一解散ということになったとしても、選挙に「自衛隊撤退」という”隠しダマ”を利用出来る目論見もあるので、そうなれば小泉さんの国内支持を高めることも可能となるだろう(前には、北朝鮮訪問という隠しダマを使ったことがあるからね)。郵政法案と国連安保理改革との両方を横目で見ながら、撤退時期を明らかにしていくということになるだろう。郵政法案が問題なく通れば、残る問題は安保理だけであり、これは米国と日本との関係というシンプルな構造になると思う。


もしも米国がG4の出した改革案を「完璧に否定」したら、日本は米軍よりも早くイラク撤退を決めて、「仕返し」することが可能である。米国としては、英軍がたとえ残ってくれたとしても、2カ国だけで長くは「支えきれない」と考えるだろうから、そんなことをするくらいなら、多国間の枠組みをある程度尊重し、日本を含めたヨーロッパ諸国などにも配慮するだろう(と思うが)。


あとは米国経済の失速が明確になったりして、国内の厭戦気分が今以上に高まれば、撤退へ向けた何かのアクションがあるかもしれないですね。今のところ、よく判りませんが。でも、自衛隊の撤退は、ほぼ年内の可能性が高いと思うけどな。どうなんでしょうか。



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