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誰が”円”を売ったのか?

2013年01月19日 17時30分31秒 | 経済関連
アベノミクスとやらで円安になったんだ、と大喜びしている人々がいるようである。これには注意が必要だ。

デフレは良くないし、円の独歩高もよいことばかりではない。
が、市場の公正な取引結果であるというなら、それはそれでもいいかもしれないが、必ずしもそうではないということであれば、市場経済原則には反することになる。市場参加者を騙すのと同じ効果をもたらすので、政治利用などがあるならば許容し難いということだ。


先日来より、今般の円安をもたらしている「円売り主体」が誰なのだろうか、ということが大変気になっているわけである。

12月29日>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/dbf8cd4c4221cf7104aee0bf293d568b


日経平均株価は10900円くらいに来ているが、これでもドル換算で見れば10900/90=約121ドルとなって、「殆ど上がっていない」ということが判るだろう。

国内にいる外国人が株式を大幅に買い越すという場合、元々持ってる日本円資産を株式に移動して買うことになるから、大抵の場合には債券売りを誘発することになるだろう。そうすると、債券価格は下落するはずで、指標金利は上昇が観察されることになる。

けれども、10年債指標金利は、11月1日に0.789%だったが、12月28日でも0.794%と殆ど変化が見られていない。僅かに0.005%上昇というだけだ。
勿論、日本国債売買は参加者が多数いて、取引額も株式買い越し額と比べるとはるかに多いだろうから、仮に外国人が国債売り→株式買い、を行っていたとしても目立ちにくいということもあるかもしれない。このことは、29日の記事で書いた話なので、重複するからおいておく。


問題は、「円安」の方である。
為替なのだから、円安が起こるには基本的に「円売り」が必要となる。他の外貨を買うにせよ、円を売らなければ取引できないわけだ。


参考となるのが、野田財務大臣時代~野田総理+安住大臣時代の為替介入の水準だ。当時、13兆円以上も介入資金に費やされたが、殆ど効果はなかった。一時的に1円ちょっと程度の円安に戻したものの、2円には届かない円売り効果しかなかったはずだ。

>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/67a309413086fed2dd7b820e25159c05


数日間での投入ということで見れば、約9.1兆円で1円少々の円安達成、ということで考えると、今回の円安を起こす水準としては、ざっと10兆円投入で2円くらいであろうか。

なので、1ドル80円が90円になる為には、10円円安達成であるから50兆円規模の資金量が必要、ということになるわけである。
レバレッジというのがあるから、実際の投入資金がそれと同じ、ということではないにせよ、かなりの資金量が継続的に必要になるだろう、ということである。

では、一体誰が円売りを行ったのか?
外国人投資家が持つ日本国債を売って円売り資金としたか?
だとすると、指標金利が同じくらい、というのは説明が難しい。11/1に80.13円だったのが、12/28に86.01円と約6円円高になっているわけだから、6円円高を達成するには外国人が持つ日本国債の30兆円分を売るような規模となってしまう。

いやいや、日々の取引に紛れ込んでいたから目立たなかっただけ、という言い分はあるかもしれない。が、投票日前の12/14には83.47円だったものが、28日には2円以上も円安になっているし、問題は市場が閉じていたはずの1/4までの間でも、大幅な円安進行が起こっていた。約2.1円の円安だった。

いくら海外市場で円を売る場合、先物なんかで売るから円資産の保有は関係ない、ということもあり得るが、決裁はやってくるからその時には大幅な巻き戻しがやってくることになるだろう。


更に謎なのが、指標金利の大幅下落である。
28日には0.794%だったと書いたが、これが1/4になった途端に、何故か0.835%と過去数カ月間には見られなかったような、国債急落(笑)が起こったということである。わずか1夜にして、0.041%も下落した、ということだ。ヘンですよね?

まるで当方が29日に書いた記事に反応したかのような、不思議さがあるわけだ。別にいいんですがね。
で、4日までに2円の円安が進んでいた、と。


更に、年明け以降、4日に急落した日本国債が値を戻しているばかりか、0.75%を切る水準まで金利低下が起こってしまったわけである。


日本在住の日本人投資家たちが、円を売って外貨を買っているとしますか。
そうすると、そういう人たちの資金源はどこからやってくると思いますか?
預金などか、株式その他の金融資産を取り崩して、ドルを買ったりするわけだ。となると、資金の存在してきたであろう銀行とかは、ドル買い資金を預金から引き出される為に、保有している国債を売ったりする必要が出てくるわけである。いや、ドル買い資金は大したことないから、手持ち現金で対応できるよ、というレベルであろうと思うけれども、1月4日までの円高というのは、円資金調達が難しい期間だったはずなのですな。日本の銀行は軒並み休みだったわけで。


これほどの短期間に円が数十兆円規模で売られているなら、その玉となるべく資金の流れが出てもよさそうだったのに、謎の12月28日~1月4日という市場がやってない間に起こった「国債売り」があった、というくらい。


日本人はFX投資なんかが好きだから、一般人が大量に売っているんだ、という意見もあり得るかもしれない。でも、家計がいくら金融資産を1500兆円も持っているといっても、外貨建て資産は限定的なんですわ。せいぜい40~50兆円しかない。

参考>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/c39048f611e671c44a091f0bb39abaaf


外貨建て資産を持つ日本の家計のうち、10%の人がFXに投入しており、彼らが大量に資金投入をしたとして、全外貨建資産の半分くらいもの資金を投入したりしたと思いますかね?

それも、本格円安進行の僅か1ヶ月以内か、更にはもっと少ない期間に、ですよ?

1月4日までに起こった1ドル88円超の水準までの円安達成というのは、家計の投入資金規模だとかでは説明が難しいとしか思えない。また、外国人投資家たちの保有国債売りがあったとしても、動きが小さすぎており、唯一4日に発生した「国債価格急落」があったくらい。


50兆円規模という仮定からすると、家計と外国人投資家のうち国内円資産持ちが円売りを行ったというのは、かなり困難なレベルであろうというのが当方の推測である。家計の保有する金融資産中の円資産が「外貨買い」に移動しただけでも、かなりのインパクトを持つはず。しかも、これほどの短期間に、だから。外国人投資家の持つ円資産の大部分は、国債か株式であるはずだしね。いずれも、換金売りが出て「ドル買い」となるなら分かるが、売られた形跡は乏しいから。借入の場合にはあり得るが投資資金を数十兆円単位で調達できるとも思えない。

海外勢が海外市場で円売りを行うとして、その売るべく円資産はどこから来ているのか?一時借りというような形(売建のようなもの?)であれば、いずれは買い戻しが必要になるので、円高方向に巻き戻ることになるだけ。


いずれにせよ、巨額売りの実施主体は謎のままだ、ということである。
日銀(財務省)ならば、円売り資金は事実上無制限に持つわけだから、可能ということになるわけだが。50兆円外債ファンド設立を決める前から、先走って「アベ売り」を煽らんが為に売っていたのだとすると、介入したのを事後的に誤魔化すという意味では、整合的ではあるがな。

実行の動機という点においては、財務省には、十分な理由がある。
第一に、増税を安倍政権で実現させるには、数値目標の到達が必要だから、だ。第二に、外為特会の累損が著しく90円まで戻せば含み損が改善されるからである。第三に、米国サイドの困窮を忖度すると財政赤字問題に苦しむ中で、ドル安+債券安(金利上昇)は避けたいはずだから、だ。ここで手柄を挙げておけば、後々の人生には大きくプラスとなるであろうから。腰ぎんちゃくとしては、寵愛を受けるチャンスとなる。


かつての谷垣大臣時代の財務省が、ヘッジファンド勢なんかの通貨攻撃なんかまるでなかったとしても「巨額介入」を実施したわけだ。実際、円高といっても、実質実効レートで見れば全然円高になんてなっていなかった(事実、110円~120円といったレベルであり、110円割れでも大した通貨高ではなかった)のに、「通貨攻撃」もヘチマもあるまいに。これをファンド勢の「円高攻撃」と称して、巨額ドル買いを正当化したのと同じ、ということである。そもそも海外勢の「円買い」というのは、「有難い」ということはあっても、攻撃でも何でもなかろうて。


過去のことはおいておくとして、財務省といった「日本の国家機関レベル」であると、これほどの短期間で巨額資金規模による「円売り」は実施可能である。彼らがどのチャンネルを通じて行ったのか、とうのは分からない。日銀が協力していたかどうかも不明である。

正体不明の、全然別の本尊がいるということも考えられるだろうが、先日の急落局面では一部ファンド勢はビビって利益確定売りをしていた可能性もないではない。が、後ろ盾についているのが、「日本政府筋」という情報を掴んでいるなら、強気を押し通せる連中は当然いるわけだし、参加者たちが怖気づきそうになると鉄板で買い支えをしてくれる資金が「どこからともなく入ってくる」なら、円安維持は不可能ではないかもしれない。


それとも、今の為替水準の計算方法が本当に正しいかどうか、という根源的問題に行き着くことになるのかも。日々変動している、リアルタイムの数字というものが、誰が確認のしようがあるか、ということでもある。合成された、出鱈目の架空の数字であった場合には、いくらでも数字を動かすことは可能になってしまうからね。それがどういう事態を生み出すかは分からないが。
その可能性が極めて小さいということなら、1月に入ってからの、日本国債価格上昇(金利低下)と株高が同時に起こっていながら、円売りが進むというのは、謎に満ちているということである。





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