注目のホリエモン判決であったが、断罪されたのは有価証券報告書の「虚偽記載」(と風説の流布)であったことをよく考えてみてはいかがか。日本の権力機構は、政治家に対しては「恣意的に」法を運用するのが常道なのであろうか。政治資金の収支報告書に関する「虚偽記載」がなぜこれほど放置されているのか、甚だ疑問である。
今話題沸騰中の、「ナントカ還元水」で全国に名前を売った水男(羨ましいね)、松岡農水大臣は「法で求められている報告はしている、これ以上の報告義務はない」と大見得を切っている。日本の政治がいかに腐っているか、ということを端的に表していると言えよう。松岡大臣のお陰であまり目立たなくなってきて、内心ほくそえんでいるかもしれないが、こっそり隠れている伊吹文科大臣も未だ整合性のある説明などしていない。「松岡頑張れ!」と矢面に立たせて、自分のことはうやむやのうちに終わらせようとしているのかもしれない。
ここで、もう一度おさらいをしよう。
参考記事:事務所費って何だろうか?
政治資金規正法の「虚偽記載」は、刑事罰が与えられるということは明確である。辞任した佐田大臣は虚偽記載にも関わらず、会計責任者に罰則が適用されないのは何故か?他の国会議員たちも罰則が適用されても「不思議ではない」はずであろう。ところが、日本の権力機構はこういう「虚偽記載」に対しては非常に甘くできている。ホリエモンには法が適用されているのに、である。この違いというのは、一体どこからくるのであろうか?
政治資金に関して公表される情報としては、確かに松岡大臣の言う通りである。しかし、必ずしも公開されずとも、調べることが可能な場合も有り得る。それは、法というのは、適用する側に判断の権限が与えられているからだ。上の参考記事にも書いたが、僅かながら手はある。
ポイントとしては、総務大臣権限である。政治資金規正法第31条を適用するべきであろう。条文を再掲しておく。
第三十一条
総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、この法律の規定により提出された届出書類、報告書若しくはこれに添付し、若しくは併せて提出すべき書面(以下この条において「報告書等」という。)に形式上の不備があり、又はこれらに記載すべき事項の記載が不十分であると認めるときは、当該報告書等を提出した者に対して、説明を求め、又は当該報告書等の訂正を命ずることができる。
ここで、総務省回答のように、「書面で形式上の不備がなければ調べることができない」などということはない、と考える。それは「平成研」の残高不足が明らかになった時(政治資金規正法はザル法だ)、書面で形式的不備などなかったはずだ。しかし、説明を求め、再提出させたはずであろう。当時、麻生太郎総務大臣はやったはずだ。つまり、総務大臣権限としては、「可能」なのである。
松岡大臣の例で考えると、「これらに記載すべき事項の記載が不十分であると認めるとき」に該当する、と総務大臣が判断を下せば「説明を求めることができる」のである。この説明は一般公開せよ、などとは言わないが、内容の妥当性に関しては「総務大臣が責任を負う」という意味になる。松岡大臣の政治資金についての提出者(会計責任者?議員本人?)に、「事務所費・光熱水費が間違っていませんか?これは一体どういうことでしょうか?」と説明を求めればよいのである。議員会館を事務所としている菅総務大臣は光熱水費がゼロらしいじゃないか(笑)。それとの大きな開きについて、「具体的に説明してください」と尋ねればよい。この説明を総務大臣が訊いた結果、「訂正して下さい」と命ずることができるのである。平成研は実際訂正に応じたのであろう?ならば、可能であるはずだ。
国会では、総務大臣にどのような説明を受けたのか答弁を求めればよい。「お答えできません」と答弁するのであれば、総務大臣も同罪ということになる。総務大臣が松岡大臣の責を負わなければならない、ということである。果たして菅さんにそこまでできるのか?自分が悪者になってまで松岡大臣を庇えるのか?
因みに、31条を適用すれば、これにウソを答えたり、拒否したりすれば、罰則があるのである。第24条第1項第7号の「第三十一条の規定により求められた説明を拒み、若しくは虚偽の説明をし、又は同条の規定による命令に違反して同条の報告書等の訂正を拒み、若しくはこれらに虚偽の訂正をした者」に該当し、3年以下の禁固又は50万円以下の罰金である。なので、31条を発動すれば、相当程度の強制力が働くはずなのである。
もっと別な方向から考えてみよう。
これも前に書いたが、事務所費や光熱水費は領収書添付が求められてはいないものの、帳簿は全ての支出について記載が義務付けられている(政治資金規正法第9条第1項第2号)。これは違反すれば罰則がある(第24条第1項第1号)。従って、帳簿がない、ということは有り得ない。この提出を国会で求めるべきである。
それも拒否されて、実施できないとすれば、「告発」まで考える、ということになろうか。第25条第1項第3号の、「第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者」に該当しているのではないか、ということを捜査機関に告発する、ということである。告発の条件については全く知らないのですけれども、仮に告発されれば捜査しなければならないのであるから、当然証拠となる帳簿は確保できるはずであろう。
もしも告発した場合、証拠がないので捜査機関が受理しない、ということもあるのだろうか?或いは、告発した結果、虚偽記載の事実がなかった、ということになれば、名誉毀損などで逆に訴えられる可能性があるのであろうか?だが、どう考えてもクロであると、日本中の国民が思っているぞ。捜査が始まれば、「虚偽記載」の証拠を押さえられる可能性はほぼ100%なのではないかと思うが。
松岡大臣のような、「法には書いてない、法で求められていない」などという「法を盾にとる」姿勢を、なぜ法学の専門家たちは「黙って見ている」のであろうか(国会議員の中に、弁護士はたくさんいるのであろう?法に詳しいのであろう?どうして、「法」を盾にとるようなヤツに「法」で対抗しないのであろうか?そういうところは本当に疑問に思う。死ぬ気で突破口を探すべきであろう)。法は悪用される為にあるわけではない。悪用するようなヤツを守る為にあるわけでもない。これでは、法を汚されているのと同じではないか。こういうのを黙って見過ごすのが、法学の専門家の役割なのか?
総務大臣が31条に基づく説明を求めない、という判断を下すのであれば、「政治資金規正法第31条を適用することを求める行政裁判」というような訴訟を提起することも考えたりできないものなのであろうか?総務大臣の不作為、ということになり得るのではないのか?私のような素人考えだとダメなのかもしれないが、何らかの強い手段を考えることはできるのではないか。
法曹出身の国会議員たちは、何の為に法曹資格を持っているのであろうか。他にも、国会議員に限らず、法学専門家の中で「行政」「政治」関連をやっている人たちはいるのであろう?なぜそういう専門家から、「松岡大臣の言い分を突破する方法があります」というようなことが出てこないのであろうか?そういうのがとても残念である。法を盾にとって悪事を働くヤツを懲らしめることのできる人が現れないのである。
今話題沸騰中の、「ナントカ還元水」で全国に名前を売った水男(羨ましいね)、松岡農水大臣は「法で求められている報告はしている、これ以上の報告義務はない」と大見得を切っている。日本の政治がいかに腐っているか、ということを端的に表していると言えよう。松岡大臣のお陰であまり目立たなくなってきて、内心ほくそえんでいるかもしれないが、こっそり隠れている伊吹文科大臣も未だ整合性のある説明などしていない。「松岡頑張れ!」と矢面に立たせて、自分のことはうやむやのうちに終わらせようとしているのかもしれない。
ここで、もう一度おさらいをしよう。
参考記事:事務所費って何だろうか?
政治資金規正法の「虚偽記載」は、刑事罰が与えられるということは明確である。辞任した佐田大臣は虚偽記載にも関わらず、会計責任者に罰則が適用されないのは何故か?他の国会議員たちも罰則が適用されても「不思議ではない」はずであろう。ところが、日本の権力機構はこういう「虚偽記載」に対しては非常に甘くできている。ホリエモンには法が適用されているのに、である。この違いというのは、一体どこからくるのであろうか?
政治資金に関して公表される情報としては、確かに松岡大臣の言う通りである。しかし、必ずしも公開されずとも、調べることが可能な場合も有り得る。それは、法というのは、適用する側に判断の権限が与えられているからだ。上の参考記事にも書いたが、僅かながら手はある。
ポイントとしては、総務大臣権限である。政治資金規正法第31条を適用するべきであろう。条文を再掲しておく。
第三十一条
総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、この法律の規定により提出された届出書類、報告書若しくはこれに添付し、若しくは併せて提出すべき書面(以下この条において「報告書等」という。)に形式上の不備があり、又はこれらに記載すべき事項の記載が不十分であると認めるときは、当該報告書等を提出した者に対して、説明を求め、又は当該報告書等の訂正を命ずることができる。
ここで、総務省回答のように、「書面で形式上の不備がなければ調べることができない」などということはない、と考える。それは「平成研」の残高不足が明らかになった時(政治資金規正法はザル法だ)、書面で形式的不備などなかったはずだ。しかし、説明を求め、再提出させたはずであろう。当時、麻生太郎総務大臣はやったはずだ。つまり、総務大臣権限としては、「可能」なのである。
松岡大臣の例で考えると、「これらに記載すべき事項の記載が不十分であると認めるとき」に該当する、と総務大臣が判断を下せば「説明を求めることができる」のである。この説明は一般公開せよ、などとは言わないが、内容の妥当性に関しては「総務大臣が責任を負う」という意味になる。松岡大臣の政治資金についての提出者(会計責任者?議員本人?)に、「事務所費・光熱水費が間違っていませんか?これは一体どういうことでしょうか?」と説明を求めればよいのである。議員会館を事務所としている菅総務大臣は光熱水費がゼロらしいじゃないか(笑)。それとの大きな開きについて、「具体的に説明してください」と尋ねればよい。この説明を総務大臣が訊いた結果、「訂正して下さい」と命ずることができるのである。平成研は実際訂正に応じたのであろう?ならば、可能であるはずだ。
国会では、総務大臣にどのような説明を受けたのか答弁を求めればよい。「お答えできません」と答弁するのであれば、総務大臣も同罪ということになる。総務大臣が松岡大臣の責を負わなければならない、ということである。果たして菅さんにそこまでできるのか?自分が悪者になってまで松岡大臣を庇えるのか?
因みに、31条を適用すれば、これにウソを答えたり、拒否したりすれば、罰則があるのである。第24条第1項第7号の「第三十一条の規定により求められた説明を拒み、若しくは虚偽の説明をし、又は同条の規定による命令に違反して同条の報告書等の訂正を拒み、若しくはこれらに虚偽の訂正をした者」に該当し、3年以下の禁固又は50万円以下の罰金である。なので、31条を発動すれば、相当程度の強制力が働くはずなのである。
もっと別な方向から考えてみよう。
これも前に書いたが、事務所費や光熱水費は領収書添付が求められてはいないものの、帳簿は全ての支出について記載が義務付けられている(政治資金規正法第9条第1項第2号)。これは違反すれば罰則がある(第24条第1項第1号)。従って、帳簿がない、ということは有り得ない。この提出を国会で求めるべきである。
それも拒否されて、実施できないとすれば、「告発」まで考える、ということになろうか。第25条第1項第3号の、「第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者」に該当しているのではないか、ということを捜査機関に告発する、ということである。告発の条件については全く知らないのですけれども、仮に告発されれば捜査しなければならないのであるから、当然証拠となる帳簿は確保できるはずであろう。
もしも告発した場合、証拠がないので捜査機関が受理しない、ということもあるのだろうか?或いは、告発した結果、虚偽記載の事実がなかった、ということになれば、名誉毀損などで逆に訴えられる可能性があるのであろうか?だが、どう考えてもクロであると、日本中の国民が思っているぞ。捜査が始まれば、「虚偽記載」の証拠を押さえられる可能性はほぼ100%なのではないかと思うが。
松岡大臣のような、「法には書いてない、法で求められていない」などという「法を盾にとる」姿勢を、なぜ法学の専門家たちは「黙って見ている」のであろうか(国会議員の中に、弁護士はたくさんいるのであろう?法に詳しいのであろう?どうして、「法」を盾にとるようなヤツに「法」で対抗しないのであろうか?そういうところは本当に疑問に思う。死ぬ気で突破口を探すべきであろう)。法は悪用される為にあるわけではない。悪用するようなヤツを守る為にあるわけでもない。これでは、法を汚されているのと同じではないか。こういうのを黙って見過ごすのが、法学の専門家の役割なのか?
総務大臣が31条に基づく説明を求めない、という判断を下すのであれば、「政治資金規正法第31条を適用することを求める行政裁判」というような訴訟を提起することも考えたりできないものなのであろうか?総務大臣の不作為、ということになり得るのではないのか?私のような素人考えだとダメなのかもしれないが、何らかの強い手段を考えることはできるのではないか。
法曹出身の国会議員たちは、何の為に法曹資格を持っているのであろうか。他にも、国会議員に限らず、法学専門家の中で「行政」「政治」関連をやっている人たちはいるのであろう?なぜそういう専門家から、「松岡大臣の言い分を突破する方法があります」というようなことが出てこないのであろうか?そういうのがとても残念である。法を盾にとって悪事を働くヤツを懲らしめることのできる人が現れないのである。