一代限り、典範改正で対応も=天皇退位、世論に配慮―政府
政府が天皇陛下の退位に関し、皇室典範に今の陛下に限り認める根拠規定を置いた上で、特例法を制定する案の検討に入ったことが分かった。
典範改正を求める世論が多いことを踏まえたものだが、あくまで「一代限り」とし、恒久的な制度化には踏み込まない。政府関係者が8日、明らかにした。
陛下が82歳と高齢であることから、政府は詳細な制度設計に踏み込まずに済む特例法での対応が望ましいという基本的な考えは崩していない。
一方、政府の有識者会議がこれまで行った計3回の専門家へのヒアリングの中では、5人が特例法による一代限りの退位に理解を示す一方、3人は「皇位の不安定化を招く」などの理由で典範改正による恒久制度化を主張。意見が割れた。
天皇退位「将来に向けた議論を」=短期の摂政置き「じっくり検討」-有識者会議
天皇陛下の退位などを検討する政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が専門家からのヒアリングを終え、論点整理に入ったことを受け、皇室などに詳しい識者の意見を聞いた。
「これまで行われてきた議論は、どちらかと言うと後ろ向き。過去にばかり目が向きすぎていると思う」。神戸女学院大の河西秀哉准教授(日本近現代史)はこう述べた上で、「歴史学者を中心に、退位すると次の天皇との間で権力の二重化といった問題が起きる可能性があるなどと、古い話を持ち出して議論を展開している印象を受ける」と指摘。「そもそも、象徴天皇制と権力の二重化は相いれないものだ。もっと、未来の話、将来の天皇像を踏まえ、論点を整理した方がいいと思う」と話した。
さらに、「象徴とは何なのか、公務の中身も含め、もっと本質的な議論が必要なのではないか。高齢化社会という現実もある。拙速に結果を求めることは避けるべきだ」とした。
「お世継ぎ」などの著書がある評論家の八幡和郎氏も、「象徴の務め」への不安を述べられた8月の陛下のお言葉に触れ、「ビデオメッセージを受け、国民の間にはある種の感動というか、感情的になっている部分がある。専門家の意見もいろいろで、混迷している感がある。結論はあまり急ぐべきではない」と話す。
その上で、「陛下は摂政について否定的な見解を表明しているが、1、2年といったワンポイントリリーフのような形であれば、いいのではないか。そのように制度を改正すれば、退位についての議論をじっくりと進めることができる」と指摘した。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます