まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

KOFU DRIVE前編 400年の桜

2017-04-05 08:10:32 | 日記

日曜日、朝8時半。
現地のシャトルバス受付のおじさんに
「どこから来たの?横浜?じゃ、昨夜泊まったんだね」
って言われて
「ううん、朝5時に出てきたの」
って答えたらびっくりされた。
アラフィフになってそんなことができちゃう自分に
もっと言えば前の日ワクワクしてあんまり眠れず
深夜にみんなのおやつパックを作ってる自分に
呆れてるのは誰よりも自分自身だと思う。

朝5時15分、しんしんをピックして
その30分後にはゾノさんたちと合流。
運転をゾノさんに頼んで私たちは早速
ゾノさん特製朝ごはん弁当を広げる。
やっぱり前の晩ワクワクして眠れなかったから
おむすびや卵焼き、お煮しめを作ってくれたんだって。
しんしんはポットでエチオピアを淹れてきてくれて
贅沢な朝ごはんをみんなで堪能。
東名をひた走ること3時間。


身延山久遠寺。
日蓮宗の総本山、境内にある樹齢400年の枝垂れ桜を観に
シーズンには全国から人が集まってくる。
車の規制がかかるため、私たちはレンタカーを
シャトルバス近くの駐車場に停めて
そこからバスとタクシーを乗り継ぎ
9時には桜のたもとに立っていた。


満開には少し早いものの
想像していたよりずっと巨大な樹から
シャワーのように流れる
小さな花をいっぱいつけた枝に
圧倒される。
枝の広がりのなかに入って
青い空を見上げると
ふんわりした春の白い雲に
淡い桃色がまばらに溶け込んで
気持ちが緩んでいく。

すでにそんな時間でも人はたくさんいて
樹の周りには三脚立てたおじさんたちが
カメラ談義に余念がない。
登山仕様のバックパッカーもちらほら。


みんなを樹の前に並べて
顔を右に傾けて、といったのに
しんしんだけ右方向を向いたので
面白いからそのまま撮った。

桜を見たままよりも美しく
写真に撮りたいと毎年思うのだけど
それはなかなか難しい。
桜を見るとこんなにも感情的になるのは
目から入る情報の何倍も多くの
過去の記憶や陽射しのあたたかさや
そこに集まる見知らぬ人たちが
同じように空を仰いで一緒に楽しむ雰囲気が
もたらす効果なのかもしれない。
それを全部写し取る腕は
まだまだ私には備わってない。

こんなにももてはやされているのに
うつむいて咲く花を
いっそ嫌味だと言ったのは
物語の主人公だったけど


400年の時を経てなおも
慎ましやかにひっそり開く
薄く紅差した小さな花は
可憐というより他にない。