昔が良かった。

古き良き時代というけれど。クルマ好きにとって、60年代、70年代は希望があった。

アルファロメオ最終の純血エンジン 6C 3.2リッター

2014-06-07 14:44:36 | ALFAROMEO

156GTAに積まれていたと言う、3.2リッターエンジン

あの、アルファ6 でデビューし、その後GTV6でETC グループAチャンピオンをとった、V6 2.5リッターエンジン。
ボクシーな、中型4ドアーセダンに積まれてこの世に出てきたエンジンは、6キャブレターの吸気音と、これぞ6Cアルファミュージックと言うべき心地よいエキゾーストノート。

GTA 3.2リッターエンジンは、あの快音の名機の、最終進化型、末裔だ。

 

国産のあのV6エンジンのお手本にもなったアルファのV6エンジン。(死ぬほどやかましいと、国産技術者に言われながらも)
驚くような高性能でもないし、強力なパワーを発揮していたわけではないが、必要にして十分なパワー。エンジンから、もっとアクセルを踏め。まわせ回せとドライバーにせがんでくるような感触のエンジンフィーリング。
今だ、あの、初期のヨーロッパ仕様のV6 2.5リッターエンジンの心地よさを上回るエンジンは数少ないと思うのは私だけだろうか?

 

 

 
GTAエンジンはパレットに乗ってやってきた。

   
10数万キロ以上を走破したこのエンジン、さすがに、クランクリやーシール周りからのOILモレが有ったのか、その場しのぎの幼稚園仕事がされている。
フライホイール裏に、回転角センサーが仕組まれている。


クラッチディスクは、相変わらず、シャフトスプラインにグリスは塗られていない。

 
最近のエンジンらしく、ピストンサイドには、フリクションを減らすための処理がされているが、このハガレ状態を見る限り、長期的に見ればあまり有効な処理とはいえないようだ。

しかし、それほど、オイル管理が良かったわけでもないピストンの状況とは裏腹に、シリンダーライナーの減りは距離から考えると、非常に少ないと言える。
ピストンクーラーの効果だろうか?
当然コンロッドは、OILスプラッシュ穴の無い後期型

   
FF専用エンジンとして、OILポンプの駆動方式が、内部チェーンドライブに変更されたのだが、
なんと、クランクシャフトに組まれたドライブギヤーは、クランクシャフトと、キーやスプライン等で、位置決めされているわけではなく、クランクナットを緩めた状態では、手で軽く自由に回る。
単に、クランクシャフト本体と、クランクプーリーに挟まれて、クランクナットで締め付けただけ、締め付けの圧着圧力だけで、駆動しているのだ。
時々このエンジンで見られるトラブルのタイミングベルトギヤーがキーから少しずれると言うことが起こった場合、油圧ポンプは、空回りして、正しい油圧、油量が確保されていないと思われる。こういうところでの設計の手抜きは、困りものだ。(合理化設計ではない、手抜きだ)
そういえば、カムシャフト側のコッグドプーリーも、キーが廃止され、テーパーの勝ちこみの勘合力だけで済ませているあたりも、合理化とかいうより、技術的手抜きと言わざる得ない。(メーカーに都合の良い耐用年数だけを考えた設計だ。こんな設計をする技術者は、根っからの技術者ではなく、口先だけの営業技術者と言わざる得ない。)

 
16万キロ以上を走ったとは思えない、綺麗な状態のクランクジャーナル。
オイル管理が良かったというより、オイルフィルターが、しっかり作用していたと言う証だ。
組み込み時に、ゴミをかまさなければ、クランクはこのように、筋傷など無いのが当たり前だ。
どこぞでO/H受けたと言う、11636のエンジンの記事(数日前の問うブログ)と比べたら、いかに、11636を組んだメカニックが、綺麗に洗浄せずに、ゴミが付いたままで、何も考えずにボケッと組んだのかが良くわかる。

 
コンロッドメタルも、エンジン始動時に、油圧がかかる以前に圧力を受ける上部メタルは、OILの流れによる模様が付いているが、コンロッドキャップ側は、とくに傷も無い美しい状態だ。(6本のコンロッドともほぼ同じ状態だ。)

 

   
メインジャーナルのブロック側のメタルは、回転力しかかからない後ろ側のメタルはひじょうに綺麗だで、プルクラッチのスラストのかかる、スラストメタルでさえ、このように綺麗な状態だ。
ただし、このエンジンは、コッグドベルト駆動でもあり、補記類の駆動が、テンションのきつい多段平ベルトの影響で、前側のメインメタルはそれなりに、OIL切れからのベタ当たりの状態となっている。(始動時には、まだ油圧がかかっていないので)

   
メインジャーナルキャップ側メタルは、クランクの重さもあり、油圧のかかっていない始動時の影響で、それなりの当たり痕が付いているが、このようなある種、決まった模様は、メタルキャップの強度が少し足りない場合が多い。

 

以上が、16万キロ以上を走破し、コッグドベルト切れで、バルブクラッシュしたエンジンの腰下だ。
V6エンジンの、研究用として手に入れただけの品で、今のところ、このエンジンは組む予定はない。

 

 


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アイドリングストップ (キャッパリーニ)
2014-06-10 10:48:01
油圧の掛からない始動時がメタルを一番攻撃しているという その痕跡をこうして見せて貰えるのは素人にとってはとてもありがたいです!となるとアイドリングストップでやたら停止と始動を繰り返す現行のクルマ達のエンジンは省燃費の陰で悲鳴をあげながら自らの寿命を縮めているということに…昔のクルマの様に気に入ったクルマを長く乗り続けるという事はもはや不可能ですね。
エンジンよりも (管理人@走るゴミ箱)
2014-06-10 21:14:51
キャッパリーニさま>

近年の抗張力鋼板を使ったモノコックボディのほうが、長期使用という点では、問題ありです。現代の車は、スポット溶接が困難なほど、薄い鉄板で作られています。また、各部に使われた、自然に戻るプラスチック製品は、10年くらいの耐用年数しかありません。車として、一般に使われる年数を考えると、エンジン関係はまだまだ、オーバークウォリティです。今後さらに、省エネとか省資源で、車は使い捨てしかできなくなると思います。
修理屋なんて、今でも廃業するところが多いのに、もっともっと無くなっていくと思いますよ。

コメントを投稿