工場の裏山は、生駒山
生駒山の稜線には、信貴生駒スカイラインという、有料のドライブウェイがあるが、奈良側中腹上部には、フラワーロードという、広域農道がある。
適度にアップダウンのある、快適なテストコース。
上記の写真の直線は、9パーセントの下り坂。
この位の直線のぼり坂があると、3速で、フルパワーのジェットセッティングができる。
4、5速を使わないで済むので、ずいぶんと助かる。
今回の116の仕事は、フロントカップリング交換
それにしても、前回に、たぶん私の前に触ったメカニックが、全てのカップリングを同時に交換した様子だったのに。(だから前回のペラシャフトの仕事のときに、カップリングは替えなかった)
なぜか、フロントカップリングのみが、ご覧のように、割れ割れ状態。
原因は?
たぶん、私がペラシャフトの修理をするときに発見した、フロントカップリングの前後逆組みつけのせいだと思う。
前後逆に組み付けると、回転方向が逆となる。
カップリングのゴムの部分が、パワーONでの圧縮と、引っ張られる方向が、逆となる。
カップリングを逆組みされて、トルクのかかる方向が逆で、しかも、まともに組めてなかったエンジンの振動を受け、その状態である程度使用されて慣らされたカップリングが、正しい方向に組みなおされても、以前の癖が抜け切れなかったということのようだ。(逆組みされたカップリングは、ある程度癖をつけられたら、もはや、元には戻らないということなんだと思う)
カップリングの疲労は、振動と、熱の影響が一番あるのだが、一番楽しているのが、センターカップリングで、センターのピローボール部さえ、キッチリとメンテナンスされていたら、フレキシブルマウントのセンターベアリング部は、自動的に調芯されるので、ペラシャフトのセンター部のダイナミックバランスさえ取れていれば、けっこう長持ちする。
フロントカップリングは、一番熱の影響と、4気筒ゆえの振動影響を受ける。しかしながら、この車の、エンジンと、ペラシャフトのアライメントを見れば判るが、回転の芯は、かなり出ているので、カップリングのゴム部分でクネクネとユニバーサルジョイント状態には、なっていない。
その点、リヤカップリングは、ペラシャフトのセンターラインと、トランスアクスルのシャフトのセンターラインが、くの字型に折れ曲がっており、リヤカップリングが、クネクネとユニバーサルジョイント状態になって、ゴム部分に、曲げの交番荷重が常にかかる状態になっている。
したがって、一般的に、116系のプロペラシャフトのカップリングは、リヤー、フロント、センターの順でヘタルのが一般的だ。
国産のカップリングメーカーが、ずいぶん前に、専門書の内燃機関という本で公開していたが、カップリングのゴムは、トルクで、傷むのではなく、振動と、熱で、ゴムが劣化するからだと、発表していた。だから、6気筒エンジンと、4気筒エンジンでは、回転トルク変動の振動が多い、4気筒エンジンのクルマのカップリングが早く劣化するし、回転軸の芯がまっすぐではなく、カップリング部で、ユニバーサルジョイントの役目を持たした構造では、その折れ曲がり角に応じて、1回転に、1回の交番振動が入り、そのためにゴム内部に熱が発生するので、特に劣化が早まる。カップリング部で、伝達角度を変えることによる交番荷重の変化は、4気筒エンジンの回転トルクの変動と同じく、カップリングのゴム劣化に多大な影響を与えるので、軸はできるだけ1直線になるように設計するのがよいとのことだ。
そのことを考えると、ロメオの、カップリングの使用方法というのは、ずいぶんと楽観的な設計だといわざるを得ない。
しかしながら、他のメーカーで、リヤの独立懸河のクルマのドライブシャフト駆動の内側部分に、同じようなゴムカップリングを、ユニバーサルジョイント的に使っているメーカーもあるので、それは、そのメーカーが、この方式で十分であり、後は使用者がメンテナンスして必要に応じて交換するのは、当たり前というのが、設計者の考え方なのだろう。
そういう設計の車に乗っているのだから、それを踏まえたメンテナンスが必要ということだ。