くりりんのささやき

心の旅人くりりんが感じたこと、思ったこと。

『不思議の国のアリス』

2014-11-30 20:56:46 | 日記
 怖いお話だと思っていました。
 すぐ上の姉は これ何だか気持ち悪いと言ってました。
 ディズニー画の絵本を眺めていた記憶はあるのですが、
 子供を怖がらせるお話なのだと思っていました。
 何故でしょう....。
 
 ルイス・キャロルはアリスという少女を楽しませるために書いたとか。
 でも その女の子は 本当に面白いと思ったのでしょうか?
 
 河合訳『不思議の国のアリス』(角川文庫版)を読めば、
 たしかに言葉遊び・論理遊びの面白さはわかりますが...。

 こんな場面があります。
 「体がどんどん小さくなってロウソクぐらいになったアリスが、
 吹き消したあとのロウソクの炎がどんなふうに見えるのか、
 見たがっている・・」
 
   これ 死んだあとの姿を見てみたいということでしょう?
   これだけじゃなく 暗い穴に落ちて行くという設定からして...

 大人になっても やっぱり怖い話だなあと思う私です。
 

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ポール・ユーン短篇集『かつては岸』

2014-11-28 20:30:57 | 日記
 島で生まれた人 島で命を落とした人
 島に渡った人 島に逃げる人
 
 島で癒される人 島で傷つく人
 島に怯える人 島に捨てられた人
 
 島で別れた人 島で見出した人
 島に残る人 島に縛られる人 

 そして 島を出る人 島を憎む人
 そして 島に帰る人 島を愛しむ人

   やっぱり私 この島 棄てられんもん 

 ・・・済州島をモデルとした架空の島「ソラ」での、
 人と人との切ない出会いを描く みずみずしい短篇集です。
 (藤井光訳 2014 白水社)
 

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『世界の99%を貧困にする経済』by スティグリッツ

2014-11-26 21:09:43 | 日記
 アメリカ経済の現状は 実際のところ、
 1%の超富裕層をますます豊かにし 多くの人々を貧困に追いやっている、
 というのがスティグリッツ教授の分析です。

 貧困層を拡大・放置するような経済社会では、
 安定した持続的な成長は 今まであったためしがないし、
 理論的に これからもありえない、
 とスティグリッツは力強く主張しています。

    でも彼は当初「アベノミクス」に同意していたのでは?

 私もそれが気になっていました。
 この本を読むと たぶん彼は、
 「中央銀行による無思慮なインフレ封じ込め策」に反対する見地から、
 賛意を示したんだと思う。

    だったら 今は?

 格差拡大を防ごうとせず、
 実状を隠すための「認識の枠組み作り」に懸命な安倍首相に、
 失望してると思う。

 『世界の99%を貧困にする経済』(楡井・峯村訳 2012 徳間書店) 。
 (「認識の枠組み作り」については、同書第6章「大衆の認識はどのように
  操作されるか」を参照 )。
 

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『ローマ帝国の崩壊』by ブライアン・ウォード=パーキンス

2014-11-24 20:31:28 | 日記
 邦訳新刊です(南雲泰輔訳 2014 白水社)。
 ピーター・ブラウンらの「ローマ帝国は崩壊したのではなく、
 新たな社会形態に変容したのだ」という説に対し、
 「いや やはり一つの文明がまぎれもなく終わったのだ」
 というのが原著者パーキンスの見解です。

 いまや通説化しつつある「変容」論に異を唱えてはいますが、
 決して反対説をやり込めようとするものではなく、
 むしろ歴史探究の視点の多角性を保とうとする立場から書かれています。
 だから読者は「崩壊」か「変容」かという二者択一にこだわることなく、
 ポスト・ローマ期の世界に想いをめぐらすことができます。

    私も つい先ほどまでタイム・トリップしていました
    あるいは滅び行くローマの一市民になり
    あるいは高い文化に愛憎半ばする「蛮族」の一人になり・・

 そんな意味で良書だと思います。
 

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御為ごかし解散

2014-11-22 19:25:50 | 日記
 「御為(おため)ごかし」= 表面は他人のためになるように言いなして、
 実は自分の利益をはかること(広辞苑)。
 「アベノミクス」とか喧伝してるのが そもそも大規模な「御為ごかし」。
 
     そろそろ みんな 気づかないと

 「悪いことは言いません、これが最後のチャンス、これしかないんです、・・」
 とは悪徳セールスマンの常套句。
 私は何度も痛い目に遭ったから よくわかる。

     あの人は 嘘をついてる

 今度の解散・総選挙の目的は、
 いわば国民全部を彼と彼のグループの連帯保証人にすること。

     おお怖い 
     まちがってもその判子を押しちゃダメだよ
 
 身を守るためには もっと賢くならないと。
 すくなくとも 安倍首相よりは賢くならないと。
 

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『ラデツキー行進曲(下)』

2014-11-20 21:00:07 | 日記
 皇帝自身が戦場に立ち、
 その命を身を挺して救った若者が貴族の位を授与される。
 矜持を守るための決闘が名誉とされ、
 貴婦人は美貌の若者を愛の世界に誘う .... 。
 そんな中世騎士物語のような世界、
 しかしハプスブルグ(オーストリア)帝国の現実であったものを、
 著者ヨーゼフ・ロートは描いています。
 
 そう 『ラデツキー行進曲』は「騎士物語」なのだと思います。
  
    今の世界を席巻しているのは
    ロマンではなくニヒリズム
    ニヒリズムの別名であるナショナリズム・・

 ナチズムが勃興する時期に ヨーゼフ・ロートは、
 おそらく最後のロマンを人類に書き残してくれました。
 

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3キロ大根

2014-11-18 20:02:54 | 日記
 行きつけのスーパーに 農家からの直売コーナーがあって、
 野菜類はたいていそこで買うのですが.....

    何だ この大根は!

 デカい!逸ノ城関の大腿部ほどではないが 太い!
 
    しかも たったの93円(税抜き)!

 あまりに重すぎて 皆さん買うのはあきらめてますが、
 私は買うよ 買ったよ そして家まで持ち帰ったよ。

 母もびっくり。
 おそるおそる値段を見てます。

    だいじょうぶだよ 高いのは買わないから
 
 ほっとした母の頭の下に大根を置けば、
 ちょうどよい水枕代わり。
 しばし笑ったあとヘルスメーターで重さを計ったら、
 ジャスト3kg!

 これ何に使うの?
 取りあえず今夜はイカ大根にでもしましょうか。 
 

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吾妻の山なみは雪化粧

2014-11-16 20:35:24 | 日記
 東京への日帰り 夜遅く駅のホームに降りると、
 吾妻おろしの冷たい風がぴいぷう。
 上着の襟を立て 気合いを入れて歩き始める。
 もう 最終バスは出てしまった。
 ただひたすら歩いて体をあたためる。 

   さっき売店の売り子さんが
   私の手に自分の手を添えるようにして
   優しくおつりを渡してくれた
   その手の温もりが残るうちに 家に着きたい

 頑張って 1時間もしないで帰り着いた。
 夜の星を見上げる余裕もなかった。
 さっき買ったポテトチップスとチョコレートを、
 いそがしく口に入れ あわただしく歯を磨いて、
 寝る。
 
 朝起きて2階の窓を開ける。
 吾妻の山なみは すっかり雪化粧。
 すぐそこまで 冬が来ている。
 

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柿を食べ終わる

2014-11-14 20:26:38 | 日記
 上手に渋抜きできた柿が10数個 まだ残っていたのが、
 今日のお客様にほとんど差し上げて あと1個だけになりました。
 
    ちょうど一ヶ月間 毎日3個ずつ食卓に出した今年の柿
    実を言えば 母も私もそろそろ食べ飽きていた今年の秋
  
 栄養豊富な柿をこれだけ食べておけば 冬の寒さだって....
 とは言えないところがビタミン類のかなしさ。
 
    あ まだ吊るし柿が残ってた
    冷凍で渋抜きしたのも!

 それもみんな食べ終える頃が たぶん秋の終わり=冬の始まり。
 
    焦る 焦る 焦る

 さあさ ぼんやりしちゃいられない と言ってるだけの私。
 

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落ち葉の図書館

2014-11-12 21:08:53 | 日記
 図書館に通じる銀杏並木の黄色い落ち葉をさっくさくと踏みしめて、
 また本を10冊借りて来ました。
 お目当ての本が貸出中だと少しがっかり(今日は2冊空振り)。
 
     でも「本の文化」を愛する人たちだからね
     貸出中の本が多いのは いいことですよ

 待たされていた本が返っているとにっこり。
 『ペスト & コレラ』があった!
 新しい紙とインクの匂いがまだしていて さらににっこり。
 
 背負いのバッグに 本が傷まぬよう丁寧に詰めての行き帰り。
 
     あんまり重いとさすがに疲れを感じちゃってさ

 だから文庫本を借りることも多くなりました。
 

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「傷」(ジョー・ブスケ)

2014-11-11 21:15:14 | 日記
 「沈黙」を言語化することが現代文学の大きなテーマになっている、
 と前回blogの最後に書きました。
 でも 音も色も形もないものを表現できるのでしょうか?

    「不可能です」「その問いには論理矛盾があります」
    と即答するディジタル思考の人工頭脳

 しかし文学ならば それが可能になります。
 比喩とか暗喩という手法を文学は練り上げて来ました。
 
 『傷と出来事』から引用します:
 「夜が私に門戸を開いたもうひとつの夜」(192頁)、
 「傷が私に植え付けたのは、私が傷を負った5月の夜に咲くバラ」(21頁)、
 「バラ色の指の影。私は私である以前に私の傷である」(212頁)、
 「私とは、私のうちで大きくなったひとつの巨大な存在の傷口にほかならない」
 (207頁)。
   
 何となく「沈黙」が わかる感じがします。
 ブスケを読むには それで十分なのだと思います。
 

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ジョー・ブスケを読む(続き)

2014-11-09 21:24:04 | 日記
 もの思いが深まる秋だから ブスケの世界にも、
 少しは入りこむことができます。
 第1次大戦で両肺を貫く銃弾に脊髄を切断され、
 その後30数年ベッドに括りつけられたままだったブスケ、
 彼の世界は「沈黙」であり、
 「沈黙」が彼の「生」でした。

    「生」は語りえないものであり ゆえに
    「我思う(デカルト)」の「我」は
    「生」のうちにある「我」ではない

 こうして一種の否定神学を用いながらも、
 そこにとどまることなくブスケは言っています:
 「私の沈黙を迎え入れ、それと溶け合うもう一つの沈黙が存在する」。
              (谷口・右崎訳『傷と出来事』192頁)
 
 「神なき時代」の信仰告白がこここにあり、
 同時に現代文学にとっては こうした「沈黙」を言語化することが、
 その後の大きなテーマになって来ます。
 

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柿 ありがとう

2014-11-07 20:28:24 | 日記
 柿の渋抜きが絶好調で とんでもない美味しさになりました。
 カリッとした噛み心地の直後にトロッと広がる甘味、
 私の家だけで食べるのはもったいない気がして、
 柿好きの叔母の家まで 大きめの12個を箱に詰めて持参いたしました。

     でもなあ 味覚は人それぞれだしなあ
     ただの自画自賛だったら 恥ずかしい

 家に帰ったら 叔母から電話「とっても甘くて美味しかったよ」と。
 ああ よかった!
 確かに 売ってる柿よりずいぶん糖度が多いとは感じていました。

 100個ほど実った柿も 枝に残るはあと2個だけ。
 秋が終わってしまうような気がして 収穫を躊躇っています。
 鳥が高い空から見つけて食べに来るのなら、
 それはそれでいいんです。
 

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パンと秋刀魚

2014-11-05 20:34:17 | 日記
 合わないのはわかってる パンと秋刀魚。
 でも 上手に焼けたんだから、
 あったかいうちに 食べてほしいんだから、
 トーストした食パンで我慢してよ。

     朝の献立を全部作ってから
     電気釜のスイッチを入れ忘れていたことに気づいた私
     寒くて頭がかじかんでた?
     勉強中のヘブライ語が気になってた?
 
 レトルトのご飯も切らしていて 窮余の一策のトーストパン。
 不平を見せずに食べてほしかったなあ・・

 母は 秋刀魚に手をつけてくれませんでした。
 「パンには合わない」の一言。
 何たる我がまま女!私はついムッとして、
 「それくらい何なの!?」と大きな声を出してしまいました。

 ひるんだのか 何とか食べてくれましたが・・
 後味の悪い朝食になってしまいました。
 

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ジョー・ブスケを読む

2014-11-03 20:32:09 | 日記
 いつブスケを取り上げるのか 待っていた方もおられるのでは?
 フランス語読書会で 次回からブスケの Traduit de silence を読みます。
 (私は「沈黙からの翻訳」と訳しますが 「沈黙が語るもの」
 あるいは「沈黙に翻訳されて」などの訳もあります)
 
 私にとっては シモーヌ・ヴェイユとルネ・ネッリからのつながりです。
 私には 中世オック語文明の霊感を現代に伝える貴重な詩人・思想家です。
 (もちろん 逆の方向から ブランショやドゥルーズらの淵源として
 ブスケを見ることもできます)
 
 ブスケの別の本の邦訳も最近出ています:『傷と出来事』
 (谷口清彦・右崎有希訳 2013 河出書房新社)。
 原題は Mystique(神秘的な・・)、
 「言語化されえざるもの」を言語で言い表すのは、
 本来「神秘」とか「奇蹟」の類に属することなのかも知れません。
 

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