くりりんのささやき

心の旅人くりりんが感じたこと、思ったこと。

マーロウ『フォースタス博士の悲劇』

2016-04-30 20:40:37 | 日記
 放浪の学者あるいは錬金術師ヨハン・ファウスト(1488年頃~1541年頃)、
 「魔法使」とも言われたこの怪しげだが興味深い人物については、
 ドイツ語版「ファウスト物語」(1587年)等 いろんな言い伝えがあるようです。
 シェイクスピアにわずかに先立って活躍したクリストファー・マーロウは、
 彼をモデルとして、
 無限の知識を求める学者が主人公の戯曲を書きました(1592年頃初演)。
 宗教では知的な満足を得られず、
 禁断の魔術を手に入れるために悪魔に魂を売り渡したフォースタス博士、
 その姿はゲーテの『ファウスト』に受け継がれます。
 この戯曲『フォースタス博士の悲劇』(平井正穂訳)は、
 筑摩世界文学体系18「古典劇集」に収められています。
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 インドネシア民話「マリン・クンダン」

2016-04-28 20:23:18 | 日記
 昔々スマトラ島の小さな漁村に母親と男の子が住んでいました。
 男の子はマリン・クンダンといいました。
 父親はずっと前に亡くなっていて母親はひとりでマリンを育てました。
 成長したマリンは「外国で働いてもっとお金をかせぎたいんだ」といいました。
 「行かないでマリン、わたしにはお前しかいないのだから」ととめる母親を、
 「お金持ちになって戻ってくれば お母さんを幸せにできるんだ」と説得して、
 マリンは外国に向かう船に乗りました。
 そうして長い月日がたちました。
 マリンは母親に便りもせずに一生懸命働いて金持ちになり、
 その地一番の若くてきれいな娘と結婚しました。
 さてある日 年老いた母親は、
 成功したマリンが故郷に帰ってくるという話を聞きました。
 長い苦労で不自由になった足をひきずり、
 息子に会いたい一心で母親は、
 砂ぼこりの道を港まで走りました。
 人々の喝采のなか船から下りるマリンに抱きつく母親でしたが、
 それを振り払ってマリンはいいました。
 「あんたはだれだ?」
 「わたしだよ お前の母だよ。」
 「こんな醜くきたなく無作法な女が母のはずがない。
 わたしの母はずっと昔に死んだんだ!」とマリンはどなって押し倒しました。
 母親はどんなに傷ついたことか。
 泣き叫ぶ母親を捨て置き マリンは美しい妻の手を取って、
 人々の歓声にこたえるのでした…
 (百瀬侑子編・訳『インドネシア民話の旅』所収「マリン・クンダン」による)
 
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ムスカリ男爵倒れる

2016-04-26 19:37:32 | 日記
 ヤナギノキ伯爵のお城で行われた宮廷舞踏会、
 主役は伯爵の妻のユキヤナギとムスカリ男爵でした。
 妻のユキヤナギより20歳年上でダンスも下手なヤナギノキ伯爵は、
 若い二人の踊る姿を苦々しく見つめます。
 宮廷ではユキヤナギとムスカリ男爵の恋愛の噂が立ち始めました。
 嫉妬に狂った伯爵はユキヤナギを塔に閉じ込めました。
 
 愛馬で駆けつけたムスカリ男爵は塔の下から愛の歌を歌います。
 夜も昼も 雨の日も風の日も、
 何も食べず何も飲まずに…
 とうとうムスカリ男爵は倒れました。
 それを見て 哀れユキヤナギは高い塔の窓から身を投げました。
 
 「生まれ変わったら また花と咲いて 一緒に踊りましょうね」
  
 二人は手を取り合いながら息を引き取り、
 こうして一つの春の悲恋が終わりました。
 二人が死んだその場所には毎年春になると二つの花が咲きました。
 いつしか人々は すっくと立つ青い花をムスカリと、
 小さく白い可憐な花をユキヤナギと、
 それぞれ呼ぶようになったそうな。
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『アイヌと縄文 ー もうひとつの日本の歴史』

2016-04-24 20:07:43 | 日記
 著者は旭川市博物館館長の瀬川拓郎さん。ちくま新書の本年新刊です。
 自分が「縄文顔」というだけではなく「縄文文化」への憧れがあり、
 だから「弥生人」より「縄文人」に強く魅かれる私には好適の本です。
 私は「本土人」に分類されるのだろうけれど、
 縄文人の遺伝子ということに関しては、
 むしろ「琉球人」や「アイヌ」のほうに近いと思う。
 それを誇りに思っていいんだ、
 そう感じさせてくれる本でした。
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カーテン越しの人生模様

2016-04-22 20:05:04 | 日記
 鼻血が止まらなくて緊急入院しました。
 だいぶ血を飲んでしまい 内臓の調子も崩れたので。
 私 ドラキュラじゃないけんね。
 
 カーテン一枚で区切られた6人の共同病室、
 カーテン越しに それぞれの人生模様が流れます。
 他人が聞いてはいけない家族間の会話が、
 クリーム色のカーテン越しに聞こえてしまいます。
 丁寧にご挨拶されると とまどってしまいます。
 「私 すぐ退院するんで… 」と言おうとしたけど、
 そうとも言い切れず 愛想笑いでごまかします。
 結局 一番あとに入った私が、
 一番さきに退院しました。
 まだ入院がつづく皆様に「おめでとう」と言われるのは、
 辛いから、
 人生模様の傍観者のまま、
 私は そっと病室を立ち去りました。
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イチゴの花が咲きました

2016-04-18 20:04:31 | 日記
 熊本の和美ちゃん ご無事でしょうか?
 ほんとに大変なことになってしまい 生きた心地もしない日々だと思います。
 
 気になって活断層マップを見たら、
 私の家の下にも活断層が走っているようです。
 春先にモグラの動きが活発だったし…。
 
 そんな列島規模での地殻変動のことは素知らぬ顔でイチゴの花が咲きました。
 この白い花が やがて真っ赤なイチゴになるのですね。
 素知らぬ顔?
 いいえ もしかしたらイチゴにも何かしら予感があって、
 だからこそ限りある生を一所懸命生きているのかも知れません。
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハナミズキ嬢が歌う。腕時計が帰る。

2016-04-13 19:52:25 | 日記
 一週間前から腕時計がどこかに行っていました。
 最後に見たのは二階の部屋の机の上。
 そこにあったはずなのに4月6日に姿を消しました。
 私のたった一つだけの腕時計がいなくなっちゃった。
 家中を探し回ったものの徒労に終わりました。
 異空間に旅立ったんだね。
 仕方ない 新しいのを買うしかない。
 その時 歌が聞こえる 咲いたばかりののハナミズキ嬢の歌が。
 
 そこにある そこにある 幸せはそこにある…

 腕時計の在り処が見えました。
 一階の部屋に脱いでいた半纏のポケットのなか、
 昨日までは空だったポケットのなか。
 手を入れたら なるほど、
 澄ました顔して腕時計が戻っていました。
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ユキヤナギ夫人が微笑む

2016-04-12 20:27:32 | 日記
 ムスカリ男爵の行く先は宮廷舞踏会でした。
 お城への跳ね橋が下がるのも待ちきれず 男爵は愛馬でお堀をひとっ飛び!
 さっと鞍から降り立ってボールルームに入り、
 花と咲く踊り手たちの間を縫って部屋の奥に向かいます。
 そこには今夜の舞踏会の主催者ユキヤナギ夫人が、
 緑のドレスに純白のショールの姿で婉然と佇んでいました。
  「遅かったわね ムスカリ男爵」
  「わが愛馬を心行くまで春風に舞わせておりましたゆえ」
  「まあ それなら今度は私を舞わせてくださいな」
 微笑むユキヤナギ夫人。
 男爵は夫人の手を取り 軽やかに踊り始めます。
 部屋のなかの他の踊り手たちは みな退き下がって、
 二人の踊りを見つめるのでした。
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アベノミクス失敗の原因

2016-04-10 20:42:48 | 日記
 金融政策・財政政策・成長戦略といういわゆる「三本の矢」を、
 協調させるべく政策を運営しなければならなかったのです。
 それ一つでは効果が疑わしい金融政策は「最後の矢」にすべきでした。
 順番的には 雇用の環境を整える成長戦略がまずあって、
 そのための財政政策 そのための金融政策と続くのが合理的でした。
 当初に華々しい成果を見せる、
 それが詐欺師の手口です。
 悲願の「憲法改正」まで国民の支持を取りつけておけばいい、
 それが本音でしょう。
 異次元的な金融緩和の結果は異次元的な富の偏在でしかありませんでした。
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ムスカリ男爵が行く

2016-04-08 19:29:28 | 日記
 ムスカリ男爵 そう呼んでみたくなる
 男爵髭がよく似合いそうなムスカリの青紫の花
 すっくと伸びた茎は
 儀仗馬に跨った男爵のピンと張った背筋のよう
  
   男爵 どこかへお出かけですか?
 
 どこへ行くのか知らないけれど
 広々とした草原を 春風に吹かれ
 ムスカリ男爵は
 颯爽と 疾駆するのでした

 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

狐の長次郎

2016-04-06 19:47:40 | 日記
 山に住む狐の長次郎は お腹が減ると里に下りて、
 村人たちの農作物を食い荒らしました。
 困ったもんだ。
 優しい村人たちは 長次郎がお腹を減らさぬよう、
 毎朝 ご飯を茶碗に一杯盛って、
 長次郎が通る山道に置いておきました。
 村人たちの温かさに涙する長次郎。
 「あいつら 作った米を全部年貢に取られて、
 自分たちは粟や稗しか食ってないのに!」
 すっかり改心した長次郎。
 それからは村人をいじめる悪代官を度々やっつけて、
 みんなから感謝されるようになりました。
 長次郎はいつしか姿を消しましたが、
 長次郎が寝起きしていた岩屋には祠がつくられ、
 里人は今でも美味しいご飯をお供えしています。
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桃の花が咲き スミレが咲き…

2016-04-04 20:09:37 | 日記
 去年植えた桃は 結局うまく育ちませんでした。
 庭土との相性が悪かったのかもしれません。
 今年は早めに苗木を買って庭土にゆっくりなじませました。
 そしてようやく開花!うまく育っておくれ!
 
 桃の花が咲き 桜が咲き… だと「リンゴ追分」になりますが、
 私の家には桜はありません。
 でもスミレが咲きました。
 私の好きな雪柳の小さな白い花が咲きました。
 苺の花も咲きました。
 コブシはもう散り始めましたが、
 ハナミズキがもう少しで咲きそうです。
  

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

三つ葉を摘む

2016-04-02 20:04:32 | 日記
 冬には姿を隠していた庭の三つ葉。
 先ごろ小ちゃい若芽が出たと思ったばかりなのに、
 気づいたら急に大きくなっていました。
 もう4月ですもんね。 
 茎が硬いと食べ辛くなるから、
 今のうちに摘まないと。
 まだ透明っぽい細い茎を園芸鋏でジョッキンジョッキン。
 ザルが一杯になったところで今日の収穫はおしまい。
 水でシャキシャキ洗って冷蔵庫に保存。
 味噌汁など色んな料理にひとつまみ加えて、
 香ばしい春の味覚を楽しんでいます。
 

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする