ノックスの街を襲った月の軍隊に呼応するように、マウンテン・サイクルから蘇った白い機械人形。操縦席に座っていたロランを見た、ディアナカウンターのパイロットは、ロランを女性と見間違える。移民を希望する月と、穀物地帯を渡せない地球との和平交渉は平行線をたどる中、月から降臨した女王、ディアナ・ソレルは懇親のため舞踏会を開く。ところが、なぜかロランは女装して参加することになってしまうのだった・・・・・・。トンデモナイ『騒乱』に、ロランは錯乱してしまったのか?
∀ガンダム2巻、読み進めて参りましょう。
ディアナは高慢な手つきで一リットルの水の多くをテーブルの上に跳ね散らかした。今回も謎の人物『AM』の記録から。
『あら、どうして溢れるのです? なんと無礼な容器ですこと!』
今回の実験と、それに続く帰還計画はこれと同じ過ちであり、深遠なる計画の第一歩でもある。
容器には「すでに水が入っていた」ってことかな。
またはディアナが不器用。いや、それだとディアナがアホの子にげほげほ
一:鉄の戦神月より襲来した2機のウォドム。
制圧
瞬く間に赤い煙に包まれたノックスの街を目の当たりにし、グエンは息を呑んだ。
「これでは侵略ではないですか?」
グエンが抗議の叫びをあげたとたんに、城の間近で激しい爆発音が響いた。
それを操るポゥもベンジャムも、戦力差を全く理解しないで突撃してくる(ベンジャムに言わせれば『狂っている』)ミリシャが逆に恐ろしく、収拾がつかない模様。
『回答期限はすでにすぎている。我々はサンベルトへの帰還を開始する』地球側からしたらイヤミの1つも言いたくなる展開。
「そんな勝手なことを! 勝手に期限を決め、我々の声など聞こうとしなかったのは貴公らではないですか!」
グエンは燃える街を一瞥した。「月では他人の家を訪れる時、挨拶も無しでドアを蹴破るのですか? 火を放つのですか?」
街は避難しようとする市民とウォドムを倒そうと動くミリシャの兵で大混乱。
「我らが守ってやるのだ! 一般市民はミリシャに従えばいい!」一端の軍隊に見えたところで、結局街の荒くれ者を集めたに過ぎないレベル。
ヤーニはそのまま避難民の波に突っ込めと再度指示した。
一般人を守ることが存在意義であるはずのミリシャは、事実上初めて経験する戦闘状況の中、〝軍事行動はあらゆる市民生活に優先する″という認識を持ちつつあった。
初めての実戦で、「市民を守ろう」なんて余裕は持ち合わせていなかったのです・・・。
停電ふーむ・・・見ている人は見ているわけっスなぁ。
「おい、インクまみれ! ぼけっとしてないで手伝え!」
ふいに記者がどなり、途方に暮れていたフランはびくりと飛び上がった。
「隠れて写真機いじってただろ? 乾板の差し替えくらいできるだろう」
フランをインクまみれと呼ぶのはこの古株の記者だけだったが、密かに写真機の扱いを勉強していたことまで知られていたとは思わなかった。
『新聞記者フラン・ドールの誕生』である。
「お、お嬢さん駄目です!」遠慮すんなって、消し炭にしてやるよ(#^ω^)
ベルレーヌのふくよかな体に押しつぶされながらキースは戸惑った。
悪い気はしないが、厳しい親方にばれたら一大事だ。・・・・・・生地に練り込まれてこんがりと窯で焼かれる。
さて、地球側にはもう1人<月の民>がいましたね。
ホワイトドールに乗り込んだロランはどうなった!?
停止ライフル1発撃っただけで動きが止まるホワイトドール。
「・・・・・・もう、これ動きません・・・・・・」
つ、つかえねぇ・・・。
いや、その1発で結果的にポゥのウォドムは行動不能になったけどさ。
動かないホワイトドールを山師のシドとその助手ジョゼフに任せ、
ロランとソシエは街に・・・ハイムの屋敷に向かう。
「黒歴史は正しかったのじゃ」果たして『黒歴史』とは・・・?
シドがヘルメットのライトをつけた。
ミハエル大佐は受話器をぎりぎりと握りしめていた。( ゜д゜)・・・?
「むざむざ降伏しろと言うのですか?」
有線電話の向こうのグエンに噛みついた。「ミリシャは徐々に優勢になってきているのですぞ!」
ミハエルには意地があった。( ゜д゜ )
征服に屈するくらいなら、イングレッサを焼き払うことも辞さない気持ちがどこかにあった。大切なパイを横取りされるのが嫌なら、ゴミ箱に捨ててしまえばいい。
駄目だこいつ・・・早くなんとかしないと・・・。
御曹司がミリシャに幻滅しているところに、シドからホワイトドール発見の報せが。
『落ち着きたまえ大佐。シドがマウンテン・サイクルで黒歴史を実証する宇宙兵器をついに発見したのだ』
グエンは電話の向こうで言葉を選んだ。『恐ろしい威力の宇宙兵器だ。さっきの光の矢を放ったのだよ。そんな機械・・・・・・ミリシャ以外に扱える者がいようか?』ただの脳筋集団ミリシャをコントロールする御曹司の苦難はこれからも続く・・・。
ホワイトドールを皮切りになんとか黒歴史の戦力を揃えたい御曹司と、
第一次帰還船の降下を控え、ウォドムにビームを放った敵を警戒した月側のアジ大佐。
「時間稼ぎ」という両者の思惑が一致し、今回の戦闘はどうにか終了。
夜明け嘘だッ!
「嘘!」
ソシエが猫並の素早さでロランの背中から飛び降り、道を駆けだした。
確かにハイムの屋敷の方向から、朝日にかすかに光る煙がたなびいているのが見えた。
「重大な命令違反だ!」ビームをぶっ放したことを上官のフィル大尉に咎められるポゥ。
『禁固刑でありますか?・・・・・・十年とか」やらかしちゃったからね、仕方ないね・・・。
ポゥは目眩を感じた。
「十五年、いや十七年だ」
フィルが厳しく言った。
ポゥは目頭が熱くなり、うつむき瞬くと熱い涙が月よりも速く頬の上を転がった。
と、これフィルは『少し脅かすつもりだった』だけらしい。
顔がこえー人がこえー冗談を言うから!
ぼくらは戦争をするために二年間もがんばってきた訳じゃないのに・・・・・・。『早くかえってこーい!』・・・
こんな形になるなんてなぁ・・・。
登録
「グエンさまがこの機械人形をどうしても動かしたいとおっしゃってな・・・・・・」
確かにこれさえあれば、ディアナ・カウンターとの武力差は少し縮む。そうすれば争いにもブレーキをかけられる。話し合いも・・・・・・できるかも知れない。戦争反対と言ったところで、虫けらと交渉する余地、いや必要なんか無いわけです。
ミリシャの兵隊が操れば、そのまま戦争の道具にされてしまうかも知れない。かと言って自分が操れば、仲間同士戦わねばならなくなるに違いない。ロランが出した結論は・・・
戦いは絶対止めなければならない。そう決心してロランはコクピットに這い登った。この決断の早さ。
歴代主人公の中でもメンタルの強さは断トツかもしれない。
そんなロランの想いを知るよしもなく、
ディアナ・カウンターはホワイトドールに攻撃を仕掛けるのでありました・・・。
二:弓矢ホワイトドール対ウォドム(+ウァッド部隊)、第2ラウンド。
再戦
「話し合えば理解し合えます! 戦争はいけません!」この時のポゥの勘違いで、後のロランの立ち位置はややこしいことに。
「・・・・・・女の声?」
コクピットの内部の様子はウォドムのメインカメラアイからは死角で、代わりにサブカメラの極々粗い画像が多層ホロの一つに映った。ポゥの知らない形式のヘッドアップディスプレイで顔が隠れ、銀色の髪が肩まで伸びている以外、服装もはっきりとせず、性別すらわからない。
この戦闘は、いよいよ月の帰還船が降下するということで、
ディアナ・カウンター側が撤退して終了。
葬送・・・・・・なお、ハイム家だけの話ではない模様。
埋葬許可証兼住民台帳記載事項変更届と書かれた質の悪い再生紙が一枚。これ一枚でディラン・ハイムという、どこを探してももう代わりは見つからない、たった一人の父親がこの世から消えてしまったのだと多い、ソシエはもう一度泣き崩れた。
「ロードたちが隠していた古い伝説だよ」シドじいさんによる黒歴史講座。
シドは目を輝かせた。まるで話好きの老人が話し相手に食らいついた、そんな喜々とした輝きだった。「大昔、人は、天と行き来する船や、鉄でできた戦神、その神が放ったという天を焦がす火の矢・・・・・・、まるで昨夜降りてきた月の兵隊たちやこの白ヒゲのような技術を持っていたと言うんだ」
月でいう戦争のことなら、『白ヒゲ』ホワイトドールは2000年以上前の遺物ということに。
それ「ら」の発掘は、この騒乱にどんな影響を与えるのか・・・。
「地球の雨は温かい!」「ユニバァァァス!」「助けろーーー!!」「私だって苦かった」でお馴染み、
歓喜と気圧変化でその声は震えていた。「始祖の地! 広大な広がりではないか!」
『ディアナ親衛隊隊長』ハリー・オード中尉登場。
この巻の後半は少なからずハリーのターン。
嘘城にいるキエルを迎えに行く途中、ディアナ・カウンターに捕まったロラン。
ノックスからミリシャが撤退している中、そのノックスに向かって猛スピードで走るサルーンが怪しまれない訳はなかったのだ。
この事態を利用して、自分の身元を明かしディアナ・カウンターの様子を探る。
「昨日の夜、強力なリフェーザー砲がビシニティの山に撃たれました」アジ大佐にフィル、ハリーらディアナ・カウンターの指揮官勢相手に堂々とまぁ・・・!
その攻撃で、大切な主人が死んだのだ・・・・・・。
ロランはそう叫びそうになったのを何とか堪えた。せめて牽制になればいい。一方的な武力差にものを言わせて、武力制圧を考えるようなことがなくなればいい。
「それに報復したミリシャの兵器があったという噂は聞きました・・・・・・よくわかりませんが、古い時代の強力な機械人形を・・・・・・実戦配備しているらしいです」
メンタル強すぎだろ。
しかしわかったのは、ディアナ・カウンターが地球人を蛮族と見下していることだけ。
結局ロランは『心底幻滅』することになったのであります・・・。
交渉ホワイトドールが戦力として使えること、
「朝にシドから連絡があった。ローラが今朝再び月の機械人形を追い払ったという」
満足げに言って、窓辺に向かった。「これで勢力バランスは変わる」
「ローラとは誰です?」
「私の幸福の銀の女王・・・・・・」
そして何よりお気に入りのロランが活躍したことにご満悦な御曹司。
・・・ロラン逃げてー。
「・・・・・・君が、忠義を誓う理由がわかった・・・・・・」キエルとディアナは親衛隊隊長が驚くほどに似ているらしい。
ハリーは深く息を継いだ。「・・・・・・似ている・・・・・・」
齟齬月側
「知識の欠如は責めてもしかたないこと」
ハリーが言った。「しかし貴公らの好きな家のたとえで言えば、謀略によって離れに幽閉されていた兄が帰ってきたようなもの。・・・・・・知っていても、認めたくも無いでしょう」
「ふざけるな! 落ちぶれかけた家を弟に任せ、逃げ出した無責任な兄ではないか!」
→地球を離れざるを得なかっただけだからそろそろ帰りたいお!
地球側
→地球の復興を投げだした連中にくれてやる土地はねーお!
2000年前の歴史の記録なんか、何が正しいか証明するのは困難な訳で・・・
どこまでも平行線の議論。
そして事件が・・・
がっしりと広いアジの胸から細い棒が生えていた。昨夜の戦闘で身内を失ったイルの長老が、アジ大佐をボウガンで撃ち殺し、
「蛮族がっ!」
フィルが叫んで拳銃を抜いた。
「野蛮なのはどっちだ!」
白ヒゲの老人が手にした小型の弓銃を振り回しながら立ち上がった。
その長老をフィルが拳銃で撃ち殺す。
今回の交渉は最悪の形で幕を閉じたのでありました・・・。
三:女王降臨ロランに指示・・・いや命令に近いかな。
交渉後
「ぼくに、ミリシャに・・・・・・入れと言うんですか?」
「シドとともに、髭の機械人形を一日も早く実戦配備できるようにするのだ」
そのくらい現状御曹司も余裕が無い。
一方月側も、今は月に帰る手段が無いという現実に戦いを強く意識しておりました・・・。
襲撃一応は休戦中にも関わらず、憎しみに任せて暴走するミリシャ。
絶対止めなければと思った。止めるためにホワイトドールが必要なのだと思った。
帰還船から降り始めた<月の民>の非戦闘員に攻撃を仕掛けてしまう。
『クロスコンバットこそディアナ・カウンターの誉れであろう』※機動戦闘ユニット=Strike Unit for Manuever Operation、即ちどすこいである。
金色のスモーで出撃したハリーが脇から牽制した。スモーはその名“SUMO”の由来が『機動戦闘ユニット』であることからわかるように、クロスコンバットに特化している。
『火器無しで撃退して、ディアナさまの降臨なさる土地を血で汚さぬようにしろ!』
ハリー、マジイケメン。
ホワイトドールに乗ったロランも現場に到着。
しかしホワイトドールを見たポゥが激昂して一触即発・・・というところでー
「ディアナさまのソレイユ・・・・・・」月の女王、降臨。
「あれは敵の総大将の船でしょう・・・・・・」この危機的状況の中、御曹司はただならぬ野望を抱いている模様。
ミハエルが言いながら拳銃を手にした。「あなたがもたもたしているから・・・・・・。まさかイングレッサを月に売る気ではないでしょうな!」
砂埃を避けようと窓を閉めたグエンに拳銃を向けた。
「ミハエル大佐!」
グエンは顔色一つ変えずに銃口に手のひらをかざした。「あのような空飛ぶ城を、イングレッサで建設するためにも、月の技術はぜひに欲しいのだ・・・・・・」
キス流石は『千年女王』、御曹司ごとき相手にならぬ。
初めて嗅ぐ匂いが肺に満ちた。
これが巧妙に仕込まれた毒ガスでも、胸一杯に吸い込んで死んでもよいと一瞬思うほど、微かだが良い香りだった。
ディアナが微笑んだ。「争いは、お互いの理解が不十分であるためと思います」ディアナ様は平和的な解決をお望みであらせられる・・・
いやーよかったよかった、ロランも一安心だね!
ディアナ様は舞踏会の開催を御曹司にご提案遊ばされましてござい・・・
「設営はお任せしますゆえ。・・・・・・ぜひあれを操る武士もご一緒に・・・・・・」やったねロラン!
「もののふ?」
「白く美しい機械人形を操る、グエン殿下の忠実な戦士のことです」
ディアナ様のご指名で舞踏会に参加できるよ!
「わがミリシャでは、女性でも操れる優れた機械人形が主力となりつつあります」んんー?
とっさにグエンは牽制した。「特にローラは、我がミリシャのエースにして、銀色の髪と褐色の肌が美しいレディでもあります」
・・・お前は何を言っているんだ。
舞踏会アイマスで我慢しとけって話っスわ・・・。(ドン引き)
「グエンさまは、〝ローラ″という架空の女性パイロットをプロデュースされたいのよ」
そして舞踏会。
「ローラ・ローラで・・・・・・ございます」お、おう・・・?
銀の髪が褐色の額から垂れて左の目を隠していたが、右目の青と口紅の青はディアナと同系色。しかしその肌の色。触れてみたい、どんな感触なのだろうか・・・・・・。ディアナのきめ細やかな白い肌とは対極的な、野生動物の艶やかさに違いないとハリーは思った。
ハリーは思った。おい・・・おい!
あんたディアナ親衛隊隊長でしょうが!
しかしこの舞踏会こそハリーのターン!
不安に表情が曇ったと勘違いしたハリーが、そっとロランの指先を撫でて優しくささやいた。「明日、戦争が終わっていたらディナーにお誘いしてよろしいですか?」ぞぞぞ・・・
ロランが『これはやばい』と感じるほど。
ガラスの靴ふむ・・・
「ディアナさまの美しさに優る者など・・・・・・どこにも存在いたしません」
そう言ったハリーは、無意識の内にホールの向こう側に褐色の肌を探してしまった。
ハリーはディアナ様のことを異性としては見ていないのかもしれない。
戦闘があったばかりということもあり、舞踏会はよろしくない雰囲気。
「こういう時はまず会話のチャンスが必要では?」うん、キエル嬢の言う通りだね!
「ほら・・・・・・行きなさい」そして生贄にされるロラン。
いやいや、あんたが行きなさいよ!
ハリーがロランの首筋にそっとキスした。「あなたとは戦いたくない」ロラーーーン!逃げろーーー!!
・・・ロランの尊い犠牲の甲斐あって、雰囲気がよくなった舞踏会。
「今から、月と地球の友好的共存を祈念して、それぞれの星に薔薇の花を・・・・・・」ロランも草葉の陰で喜んでいることでしょう・・・
ところが!
その時、突然ばんという音がして、ケーキの台座がぶわりと大きく広がりディアナを後ずらさせ・・・・・・まくれ上がったシーツの下から何かが飛びだしてきた。ばっ・・・ディアナ様は無事だったとはいえ、KYじゃすまねーぞこれ!
「侵略者に血の裁きを!」
転がり出たミリシャ一般兵が、叫びながら小さなボウガンをディアナに向けた。
ディアナの身に何も無かったことへの安堵も有り、もはや興味の対象は暗殺者ではなくそれを追うローラという娘だけだった。うるせーよwww
スラスターをふかしてスモーを飛び立たせてから、手の中のガラスの靴を見つめた。
「・・・・・・似たような・・・・・・古代文学がなかったか?」
『・・・・・・ケーキの台座の下から由々しき物が見つかった』憎しみを抑えきれない地球側と、一枚岩なのか怪しい月側。
ミランが小声で言った。『・・・・・・携帯代謝活性器だ・・・・・・』
「メタボライザー・・・・・・それは、ムーンレィスの・・・・・・」
ハリーはディスプレイに拡大された白い後ろ姿を見つめ、躊躇した。
本当に共存していけるのか・・・で2巻終了。
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