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なんてシュールな、伊勢のかんこ踊り・・お盆・施餓鬼・七夕(4)

2011-08-19 | 日本の不思議(中世・近世)
お盆がすぎても、盆踊りの音色が心を離れません。

前回まで藤井正雄氏の「盂蘭盆経」を読んでお盆について調べていましたが、その本に掲載されていたたくさんの盆踊りの写真にほれぼれとして見とれてしまいました。

よく見ると、萩原秀三郎さんという民俗学の写真家の人のもので、なるほどと感心しました。

その中で、一番あっと思ったのが、三重県の伊勢で行われている非常に古い盆踊りでした。

「かんこ踊り」というのですが、それについて藤井氏も引用しておられた 五来重氏の「踊り念仏」という本から紹介させていただきます。

リンクは張っておりませんが、アマゾンなどでご購入になれます。


         *****


       (引用ここから)


伊勢の「かんこ踊り」

伊勢の国は、神の国と言われながら、また「踊り念仏」の国である。

今では常識化した「神仏分離」も、かつては庶民のあずかり知らぬ頭上の嵐であった。

その証拠に、どこの家でも、いまだに神棚と仏壇がなかよく同居している。

伊勢を中心に伊賀と志摩には広く「かんこ踊り」が分布していて、これは必ず「精霊供養踊」と「神事踊(宮踊)」を行うのである。

伊勢の「かんこ踊り」は「シャゴマ」という被り物が異様で、しかも“すげの腰みの”をつけ、胸の「かっこ」を打ちながら踊るので、やしの木陰で踊る南洋の踊りが伝わったものだろうと、海外文化渡来説まで飛び出してくる。

この「シャゴマ」というのは、白馬の真っ白な尾毛を一本絞りして、円筒形に頭巾の上に立て、また頭巾の下に長く垂らし、顔を覆う。

頭巾の上には紅絹布を巻くという派手なものである。

どうして踊り念仏の被り物を、こうまで凝ったのだろうか?

この鍵は、京都の古い踊り念仏「やすらい花」の鬼の被り物「シャグマ(赤熊)」にあるだろう。


「かんこ躍」りは「やすらい花」の系譜をひくものであるから、「鎮魂の踊り念仏」として、一方では御霊や疫病を棄却したり、雨乞いのような「神事踊」をする。

また一方では、お盆に帰ってくる御霊的新魂(あらみたま)である新仏を鎮め送る「精霊踊(供養踊)」をするということになる。

この「神事踊」と「精霊踊」は、庶民信仰の霊魂観から見れば、まったく一つのものだったのである。



「伊勢・佐八のかんこ踊り」の次第をしるす。

8月15日に踊るのを「盆念仏」といって、寺と新仏の家の庭で踊る。

花形はなんと言っても「シャゴマ」で、例の異様な被り物の「シャグマ」で顔をかくし、「腰みの」を足元まで垂らし、白黒だんだら縞の筒袖上着に白晒を胴に巻く。

踊り場の中央には、柴と松を積んだ大松明を焚くので、「シャゴマ」の真っ白な「シャグマ」と「腰みの」が火に映えて、夢幻的な雰囲気を盛り上げる。

その上音頭とりの和讃調の念仏と鉦(かね)の音が、踊り手をこの世のものでない、幻幽の世界から出現したもののように思わせる。


          (引用ここまで)


          *****


伊勢地方に伝わるこの「盆踊り」は、真ん中に火が燃えており、そのまわりを、異形のいでたちをした人々が踊ります。

この踊りを見たとき、わたしは本当に心から、満足を感じました。

「お盆」の踊りは、きっと元々は、こんな形で踊られていたのではないか、と思いました。

写真は藤井正雄氏「盂蘭盆経」の写真より転載させていただきました。

(写真の右端側は、津和野の盆踊りで、別の写真です。)

続きます。



「三重県インターネット放送局・伝統行事」にかんこ踊りの盆踊りの動画が、先日まで載っていました。
http://www.pref.mie.lg.jp/MOVIE/index.asp


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などあります。(重複しています)

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