人生激情１４３５（涙のしるし）

　室蘭市の児童養護施設「わかすぎ学園」に封筒が届いた。
中身は現金１００万円。同封の手紙には
「子供たちのために使っていただきたいプレゼントです」
　と書かれてあった。
　小学生から高校生まで４６人が生活する同学園。
経済的な理由や親の育児放棄など入所の理由は様々だ。
親元を離れて暮らす子供たちを思い、匿名の寄付や差し入れは多い。
それでも、１００万円は過去に例のない高額。
　大金の寄付に驚きながら、園生のA君（１８）は贈り主を思った。
　来春は３年間生活した学園を出て、いよいよ就職。亡き祖母が
望んでいた公務員になる。「いつか自分も、見知らぬ他人を助け
られるような立派な人間になりたい」。初めての給料が出たら
まずは、学園の職員を食事に招待するつもりでいる。

　こんな話にはすぐ涙がこぼれる。
　歳を取ると涙腺が緩む。最近は特にそうだ。
　１２月１８日の宮城県岩沼市で参加した第九演奏会でもそうだった。
客席前面にに招待された被災者の皆さんを目の当たりにして、
こぼれる涙をとめられずに歌っていた。
　今年の正月の伊達直人名義のランドセル贈与も忘れられない美談だった。
　海外の多くの人達が日本脱出をしてる中をやってきてくれて、
被災地を励ましてくれ、義援金を届けてくれたレデイ・ガガも忘れられない。
　現実では辛く悲しい環境のなかにいる人は多い。
だが、暖かく優しいひとのいることも現実だ。
人間はまだまだ捨てたもんじゃない。
　知らない同士でも、人と人はどこかでつながっている。
涙は、きっとそのしるしなのかもしれない。