今の若い人は知らないかもしれないが、一昔前のNHKに
人気アナンサーで、相手の話を聞き出す名人がいた。
高橋敬三、宮田輝は今も伝説に残るNHKの名アナンサーだった。
懐古番組でちらりとお二人の顔が通り過ぎた。
宮田輝は「三つの歌」「素人のど自慢」、高橋敬三は「話の泉」「ジエスチャー」
さらに、両者とも紅白歌合戦のメーン司会者の経験も数回あったはずだ。
お二人の特徴は、相手の話を誘導し、あいづちの打ち方が非常にうまいことだ。
「素人のど自慢」での、宮田輝の場合はたとえばこんな風にだ。
「おばあちゃん、どちらからおいでですか?」
「はい、茨城からです」
「それはそれは、遠いところをようこそ」
「宮田さんにお会いできて、うれしくて」
「あら~、私もお婆ちゃんに会えて、うれしくてーー」
「フフフフ」
「ヘヘヘヘ」
ーー宮田さんの笑顔と話のテンポとが相まって、公開場もどっと笑いに包まれる。
高橋敬三と歌手の村田英雄との対談でその片鱗をうかがえられる。
高橋「ほう、お若い頃アパート住まい…」
村田「それで面白い話があるんです。私が駆け出しの頃、仕事が遅くなって
テレビ局に立派な自動車で送ってもらったまではよかったのですが、帰る我が家が
1900円の安アパートじゃ、<村田だー>と意気がってる手前、さまにならない」
高橋「その安アパート前に車を付けては、面子が立たん」
村田「自動車に乗っていながら身も世もあらぬ思いでしたよ。
今売り出し中の歌手が、安アパート住まいじゃカッコウ悪い。
そこで思い出したのが、お付き合いはないがその安アパート近くに立派な家がある」
高橋「これは名案だ」
村田「運転手さんに、その家の前で、<ここだよ>」
高橋「言いましたね」
--「これは名案だ」「言いましたね」ーーこれがうまい。
短いながら的確に相手の言葉を先取りしたあいづちを打っているのだ。
この呼吸の見事さに拍手を送ったものだった。
人気アナンサーで、相手の話を聞き出す名人がいた。
高橋敬三、宮田輝は今も伝説に残るNHKの名アナンサーだった。
懐古番組でちらりとお二人の顔が通り過ぎた。
宮田輝は「三つの歌」「素人のど自慢」、高橋敬三は「話の泉」「ジエスチャー」
さらに、両者とも紅白歌合戦のメーン司会者の経験も数回あったはずだ。
お二人の特徴は、相手の話を誘導し、あいづちの打ち方が非常にうまいことだ。
「素人のど自慢」での、宮田輝の場合はたとえばこんな風にだ。
「おばあちゃん、どちらからおいでですか?」
「はい、茨城からです」
「それはそれは、遠いところをようこそ」
「宮田さんにお会いできて、うれしくて」
「あら~、私もお婆ちゃんに会えて、うれしくてーー」
「フフフフ」
「ヘヘヘヘ」
ーー宮田さんの笑顔と話のテンポとが相まって、公開場もどっと笑いに包まれる。
高橋敬三と歌手の村田英雄との対談でその片鱗をうかがえられる。
高橋「ほう、お若い頃アパート住まい…」
村田「それで面白い話があるんです。私が駆け出しの頃、仕事が遅くなって
テレビ局に立派な自動車で送ってもらったまではよかったのですが、帰る我が家が
1900円の安アパートじゃ、<村田だー>と意気がってる手前、さまにならない」
高橋「その安アパート前に車を付けては、面子が立たん」
村田「自動車に乗っていながら身も世もあらぬ思いでしたよ。
今売り出し中の歌手が、安アパート住まいじゃカッコウ悪い。
そこで思い出したのが、お付き合いはないがその安アパート近くに立派な家がある」
高橋「これは名案だ」
村田「運転手さんに、その家の前で、<ここだよ>」
高橋「言いましたね」
--「これは名案だ」「言いましたね」ーーこれがうまい。
短いながら的確に相手の言葉を先取りしたあいづちを打っているのだ。
この呼吸の見事さに拍手を送ったものだった。