環境問題スペシャリスト 小澤徳太郎のブログ

「経済」 「社会」(福祉) 「環境」、不安の根っこは同じだ!

「将来不安」の解消こそ、政治の最大のターゲットだ

“もしドラ”が思い出させてくれた、ドラッカーの「ネクスト・ソサエティ」

2010-12-12 12:42:16 | 社会/合意形成/アクター
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このブログの目的は、
日本の困った問題の本質を「私の環境論」を通して理解し、その具体的な解決法のヒントを「スウェーデンの現実の政治と行政を基盤とする行動計画」から見つけ、それらの行動計画やその成果を検証して、 「21世紀前半(2020~2050年頃)の日本がめざすべき新しい社会の方向性」を見いだすこと

です。 

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「混迷する日本」を「明るい日本」にするために(2009-01-13)


 「もしドラ」という言葉が今年の流行語大賞にノミネートされた、発売からわずか6ヶ月で100万部を超すベストセラーとなったと、何かと年の瀬を賑わしています。すでに皆さんもご承知のように、「もしドラ」とは岩崎夏海 著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」の略称です。

ネット上には、「もしドラ公式サイト」まであります。

今朝、ためしにグーグルに「もしドラ」と入力し検索したら、約2,840,000件、 「もしドラの感想」と入力し検索したら、約1,540,000件と表示されました。大変な件数ですね。

今までほとんど忘れかけていたのですが、今回の「もしドラ旋風」にあおられて私が直ぐ思い出したのは、2002年に読んだドラッカーの「ネクスト・ソサエティ」(ダイヤモンド社 2002年5月23日第1刷発行)でした。この本の奥付に「2002年8月8日 読了、環境問題に対する認識はほとんどなきに等しい」と記した私のメモ書きがありました。



そこで、今日は「もしドラ」の正式名称である「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を摸して、 「もし環境問題スペシャリストがドラッカーの『ネクスト・ソサエティ』を読んでみたら」と題して、 2002年当時のドラッカーの「環境問題に対する意識」に注目しながら、その内容の全体を検証してみました。

とは言っても、ドラッカーは「経営学の神様」として日本の企業経営者にたくさんのファンを持つ米国の経営学者であり、社会学者で、私とは専門分野を完全に異にしますので、門外漢の私が8年前に読んだときに私が感じた「疑問の部分」「納得し、賛同した部分」を紹介するに止めます。

あらかじめお断りしておきますが、私がドラッカーの著作を読んだのは後にも先にもこの『ネクスト・ソサエティ』一冊だけです。経営学者としてのドラッカーの名声と日本の企業人やビジネスマンに多くのファンをもっている程度の知識はありました。この本の購入動機は著書のタイトル「ネクスト・ソサエティ」とそのサブタイトル「歴史が見たこともない未来がはじまる」のネーミングの見事さにひかれ、私の問題意識と見事に一致するような著作を上梓したこの偉大な経営学者が、21世紀を考える時の最大の問題であるはずの「環境問題」をどう認識し、どう記述しているかを知り、学びたかったからです。

ですから、ここでの検証は、あくまでドラッカーの『ネクスト・ソサエティ』にのみ限定していることを強調しておきます。読了後にメモ的に作成しておいた以下の図を見ていただくと、ドラッカーの「主張の限界とすばらしさ」をご理解いただけるでしょう。

P.F.ドラッカーはウィーンで生まれ、ドイツで新聞記者、英国で証券アナリストを経て米国に渡り、学者となったそうです。そして、2005年11月11日に95歳でなくなりました。


★ドラッカーの「環境問題に対する基本認識」に疑問を感じる部分

ドラッカーの著書『ネクスト・ソサエティ』は2002年の発刊ですから、ネクスト・ソサエティとは2000年代中盤頃をイメージして書かれているはずです。「2030年の社会」という記述がありますので、ドラッカーはその頃をイメージしていると見て間違いないでしょう。

そうだとすれば、2002年発刊のこの本は私たちが20年後にそのときに至るわけですから、この本に書かれている内容は、現在から2020~30年の未来社会をドラッカーが提示したシナリオと見てもよいのではないでしょうか。 「京都議定書」が成立したのは1997年ですから、ドラッカーが京都議定書を知らないはずはありません。

おりしも、今日の朝刊各紙は、メキシコのカンクンで開催されていた「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP16)が新たな対策の骨格を「カンクン合意」として採択し、閉会したことを報じています。会議のテーマはまさに2020~30年をめざした「地球温暖化対策」についてです。

このような現状を背景に、ドラッカーの「環境意識」を見てみましょう。

この本に示されたドラッカーの「環境問題に対する基本認識」は、彼が主張する経営学の中では「ほとんど意識されていない」と断じてもよいのではないでしょうか。私の環境論では「環境問題」は、「市場経済が直面する21世紀最大の問題」と位置づけているのですが、私が手にした唯一のドラッカーの著書『ネクスト・ソサエティ』は来るべき21世紀の望ましい社会を議論しているにもかかわらず、そこには「環境問題に対する基本認識」がほとんどないようです。

経営学とはまったく無縁であった私は、1990年半ば頃(1995年?)に静岡県立大学の経営情報学部の講師控え室でたまたま、私が数人の講師の方々と雑談しておりましたら、三戸 公(みと ただし)さんが議論に参加したいとおっしゃって議論の輪に加わってこられました。経営学者であられる三戸さんが環境問題に対して私の環境論に非常に関心を示して下さったのをよく覚えています。

このことが縁で、その時以来、私が信頼し続けている経営学者三戸さんは、1994年の著書『随伴的結果-管理の革命-』(文眞堂 1994年6月発行)の中で次のように述べておられます。このお考えに私は大変勇気づけられたものです。



ネット上の関連記事から
●三戸 公 最終講義 何を学んできたか 


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★ドラッカーの主張に納得し、賛同できる部分



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2007年1月1日のこのブログ開始以来、私がこのブログで取り上げてきた諸問題(環境問題、エネルギー問題、福祉問題、少子高齢化問題、)に関連するネット上の最新の記事を紹介して、今日のブログの結びとします。

●少子化高齢化急激な人口減少と高齢化がもたらす日本の未来「崩壊か明るい未来か、いま選択の岐路に立つ」――政策研究大学院大学・松谷明彦教授インタビュー(ダイヤモンド・オンライン 2010-12-13)

●資源枯渇、環境問題、高齢化に直面する日本は世界の「課題先進国」、その解決に成長の活路あり――三菱総合研究所理事長 小宮山 宏(ダイヤモンド・オンライン 2010-07-09)

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