勝手にお喋りーSanctuaryー

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何事にも屈しない心

2011-01-30 | 映画のお喋り
久しぶりに映画の話でも…。
都会を離れ(笑)すっかり映画館から足が遠のいてしまったけど、DVD、あ、最近はBDね(ちょっと自慢)、これは観てます。

監督がクリント・イーストウッド、主演がモーガン・フリーマン。
これだけだって観るけどね。
ミリオンダラーベイビーで胸が痛いほど感動したし。
それにマット・デイモンがおまけについてくるとなったら、あんた、お得すぎますよ。


ラグビーも好きだった。
秩父宮とか国立どころか、辺鄙なグランドの場所まで知ってる。
ゲームも山ほど見た。

国際的なアパルトヘイトへの抗議行動の一環として、ラグビーの世界で「スプリングボックス」は完全にスポイルされていた。
(ジャージのエンブレムに描かれている動物が「スプリングボック」なので、チーム名もそこから来ている)
かつては最強とまで言われていたのに、国際試合(テストマッチと言われる)から遠ざかれば弱くなるのも当然なんだろうね。

これは一方で「スプリングボックス」が象徴する南アメリカ人の白人系の人たちが誇りを取り戻すストーリーでもある。


ネルソン・マンデラ氏やアパルトヘイトについて書いてたら長くなるので端折る。
圧政の元で虐げられていた人たちが、ある日主導権を握ることになった。
いじめっ子からすると、散々いじめていた相手が突然権力を握ることになったら、メチャクチャ焦るだろう。

だからいじめっ子たちはすっかり怖がっていじけちゃってる。
ちょっと頭が働く人や、裕福な人たちは、とっくに逃げ出しちゃってるし。
いじけちゃってる人たちをどうにかしないと、国が成り立たない。
そこで思い立ったのがワールドカップでのラグビーチームの優勝。
(ラグビーは裕福層が、サッカーは貧困層がやるスポーツだった)


マンデラさんは27年間もいわゆる政治犯として孤島の牢獄にいた。
その間に、彼は怒りをため込んでいたのだろうか。
ここを出たら復讐してやるぞって思わなかったんだろうか。

彼は19世紀の詩人が書いた詩に、自らの魂の救いを見出した。
この詩が、幻影と共に朗読されるシーンが印象的だ。
この詩はマンデラ氏からスプリングボックスのキャプテン・フランソワに手渡される。
そして以降、フランソワの心の支えにもなる。


それは「誇り」だ。
マンデラ氏にとっては、「人を変えたいのなら最初に自分から変わるという誇り」だ。
フランソワにとっては、「南アフリカ代表チームのキャプテンとしての誇り」だ。


怒りを忘れる。
過去は過去にすぎないという。
憎むべき相手を許す。

何事にも屈しない心は、「人である」「愛を持った人である」という誇りの中から生まれる。


元々、世界最強と言われた「スプリングボックス」の選手たちが、アパルトヘイトへの国際制裁の中で味わったであろう屈辱。
(無論そんなものは、貧困層からみればたいしたことではないが)
マンデラ氏の『許し』の政策によって救われ、国とラグビーを愛するラガーマンとして甦った時、あの奇跡は起きたのだろう。

相手チームのNZ代表「オールブラックス」のゲーム前の儀式は、白人の移民によって虐げられた原住民「マオイ族」の戦いの舞だ。
それがオールブラックスの強さの源とも言われてるのは象徴的だ。
すべての民族が一つの目的の為に手を取り戦う。

ラグビーの精神は「One for all,All for one」

スポーツは代理戦争だ。
闘争心や、相手を叩きのめしたいという人の残虐性を昇華する。
利用するのは大いに結構。


クリント・イーストウッドはきっちり仕事してる。
(指名なので本人の思い入れが少々欠けてる気はするが)
モーガン・フリーマンは当たり役。(マンデラ氏からのご指名役だし)
マット・デイモンは相変わらず「誠実な好青年」を演じさせたらぴか一。
(ボーンシリーズは好きだけど、こっちの方が地に近い感じ)


最後にタイトルにもなった詩を。。。


『Invictus』

Out of the night that covers me,
Black as the pit from pole to pole,
I thank whatever gods may be
For my unconquerable soul.

In the fell clutch of circumstance
I have not winced nor cried aloud.
Under the bludgeonings of chance
My head is bloody, but unbowed.

Beyond this place of wrath and tears
Looms but the Horror of the shade,
And yet the menace of the years
Finds and shall find me unafraid.

It matters not how strait the gate,
How charged with punishments the scroll,
I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.

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