Con Gas, Sin Hielo

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「あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。」

2013年09月01日 18時26分11秒 | 映画(2013)
あの夏の日は理想郷。


秘密基地って、いや秘密基地に似た存在の何かでもいい。一体どれくらいの大人がそういう遊びの経験をしているのだろう。

今の子供って、仲のいい友達をあだ名で呼んだりするのだろうか。

埼玉県秩父市。登場人物がスマートフォンを使っているところをみると舞台は現代だ。

しかし、主人公たちの振る舞いはどこか昭和の匂いが漂う。

それぞれが思春期なりの問題を抱えているが、みんなキャラクターが立っていて、そして根はいいやつだ。

アニメのキャラクターとしては至極当たり前だけど、実際の現代の中学生・高校生はもっと全体がどよんとしている気がする。

本当はテレビシリーズでもう少し掘り下げられていたのかもしれない。劇場版の話は、小学生のときに事故で死んだ仲間の「めんま」を巡る思いの交錯に集中している。

1年以上も前に評判となったテレビ版はまったく見ていなかった。予習なしに劇場版を観て大丈夫か調べたときに、はっきりした答えがなく不安だったが、十分ついていける総集篇+αだった。

テレビ版を見ていなかった者には最低限分かるだけのエピソードを、すべて見たファンたちには感謝の気持ちを込めた後日談を。押さえるべきところをキレイに押さえた作品だと思う。

事件と事故が起きた小学5年の夏。帰ってきためんまの想いをかなえるため奔走したあの夏。そしてそれから1年が経ったこの夏。

かつての「男はつらいよ」シリーズは盆と正月に上映していた。中でも、夏の寅さんは「これぞ日本情緒」といった情景を切り取る作品として認知されていた。

故人の魂が帰ってくるからなのか。にぎやかなお祭りの風景を繰り返し見るうちに、直接経験したことがなくても日本人はそこに懐かしさを覚える。

漠然とした懐かしさは、具体的な課題を抱える今と対極を成し、心に安寧をもたらす。昔だっていろいろ問題はあったかもしれないけど、それは今にとっては意味のないこと。

ましてや昭和を経験していない人たちにとって、「懐かしい」風景は理想郷そのものなのではないか。本作を支持する人たちの広がりがそう言っている気がする。

理想郷で起こる奇跡の物語。そりゃ泣けるでしょ。

妖精のようなアニメキャラのめんまちゃんにちょっと注文でもつけようかと思ったけど、泣けてきちゃったのだから仕方ない。みんながんばって生きて幸せになってほしいと素直に感じた。

日本のアニメってほんと自由自在だ。オリンピック誘致にこのジャパニーズカルチャーをうまく使えなかったのかな。

(75点)
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