Con Gas, Sin Hielo

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「ファミリーツリー」

2012年06月28日 23時12分13秒 | 映画(2012)
それでもそばにいる。


何事もないように重ねられていく日常は、良くも悪くも家族としての実績を形作る。

家族が大事だという思いは持っていながら、日々の仕事にかまけてついおろそかになってしまっていた主人公マット。

妻が突然いなくなって(正確に言えば姿はあるのだが)初めて見えたものは、ちょっとやそっとじゃ取り返せないほど変わってしまっていた家族それぞれの関係だった。

あのG.クルーニーが、焦りの表情でどたどた走り、どうにも趣味の良くない赤いシャツを着る。

顔も声もG.クルーニーなのに、どう見ても年頃の娘が煙たがりそうなオヤジになっている。

でもオヤジはがんばる。丁寧にがんばる。

途方に暮れたり、逆上したりしそうになっても、今一度踏みとどまり、父として、家長として、果ては由緒ある一族の末裔としての責務を果たそうと努める。

そんな姿を間近で見ながら、自らも成長し父親との距離を縮めていく長女アレックスが強く印象に残る。

改めて家族とは何なのかと考える。

マットには財産分与の権利を有する多くのいとこたちがいる。

土地を処分するための会議で顔こそよく合わせるものの、彼らには妻エリザベスの生命維持装置を外すことを伝えていない。

血が繋がっているから家族なのではない。お互いがかけがえのない存在と思えることがまず大切なんだ。

相手の心が自分に向かい、自分もそれに応えるだけの気持ちを持っている。そのときに自分たちが「家族」であるという感情が生まれるのではないだろうか。

かっこ悪い父親を疎ましく思うかもしれない。言葉遣いが汚い娘にがっかりするかもしれない。でも少し間をおけば、自然と同じソファに座ってテレビを見ている。それがきっと家族だ。

娘のBFシド、義父のスコット、妻の浮気相手ブライアン・スピアーとその妻ジュリーと、マットの周りには、どうにも相容れることが難しそうな人物が多く登場する。

しかし彼らは決してただ邪魔なだけの存在ではなく、彼らにも家族が存在し、浅からぬ思いを抱いていることをしっかりと描いている。

こうした点が、映画全体の温かく柔らかい空気を醸し出していて好印象を残すのだろう。ハワイの風景とともに。

(90点)
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2 コメント

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クラムさん☆★ (mezzotint)
2012-07-15 19:36:01
今晩は☆彡
コメントありがとうございました。
ほぼ半月映画から離れていましたが、、、。
何とか復帰?できたかな。そんなことを
言いながらまたへたれるかもしれませんが。
まあ焦らずぼちぼちやりたいと思います。

さて随分この作品を観て時間が経ってしまい
ましたが、何が一番印象的だったと言えば
あの長女のBFシドですかね。
いまだに頭に焼き付いております。
返信する
ハワイ男児 (クラム)
2012-07-20 23:12:16
mezzotintさん、おかえりなさい
これからも引き続きよろしくお願いしますね。
マイペースぶりでは負けませんので、
まあお互いテキトーに行きましょう

シドはおもしろかったですね。
はじめはどう見ても困った人物にしか見えなかったのに、
そのうち独特の空気にややもすると癒やされてしまいそうになるという。

アレックスは劇中で成長しましたが、
もともと人を見る目もあるいい子だったということでしょうかね。
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