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「ユダヤ人を救った動物園~アントニーナが愛した命」

2017年12月27日 00時12分05秒 | 映画(2017)
勇気が扉を開く。


人々や社会に多大な損失をもたらす戦争。しかしその裏では、オスカーシンドラーや杉原千畝のように、勇気ある行為で多くの人々の命を救った心温まる物語も存在していた。

本作で取り上げられたのは、ワルシャワで動物園を営業していた夫婦、ヤンとアントニーナである。

戦禍に巻き込まれ動物園は壊滅状態になったが、そこから彼らの思いもよらない作戦が始まる。それは、動物園を兵士の食糧を賄うための養豚場として存続させると同時に、敷地内にユダヤ人を匿い、秘密裏に強制居住区から脱出させるというものだった。

豚のエサを運搬するトラックに紛れ込んで居住区から動物園へ。危険と隣り合わせではあったが、用意周到な作戦はかなりの確率で成功した。

主人公であるアントニーナは、戦争が始まる前は動物園経営者の妻(Zookeeper's wife)に過ぎなかった。しかし、ユダヤ人を匿うというヤンの提案に同意して以降は、文字通り命を懸けて守り抜く。

昼間はヤンは外出しているため、隠れ家を守るのはアントニーナ一人。たびたびドイツ将校が訪ねてくるのだが、彼女は不信感を与えないよう表情を変えずに渡り合う。

いくらかの脚色はあると思うが、自分たちの命をも危険に晒してまで他者に尽くす精神に偽りはまったくない。こうしたアントニーナの懸命な姿が本作の最大の見どころである。

主演のJ.チャステインは総合プロデューサーも兼任しているが、こうした女性の静かな強さに惹かれたのではないだろうか。実際に彼女が演じるアントニーナの佇まいにそれが十二分に現れていた。

(70点)
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