Con Gas, Sin Hielo

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「フラットライナーズ」

2017年12月26日 23時15分05秒 | 映画(2017)
反省しないのび太に未来はない。


大作、シリーズもの、アニメ作品が幅を利かせる中で、何かの偶然で公開時期がここになったとしか思えない正月映画らしさ皆無の本作。

1990年に製作されたという前作は観ていないが、キャストを見るとなかなかの顔触れで興味深い。今回の作品は、解説を読むかぎり単なる焼き直しではなく、設定が一変されているようである。

主役はひさしぶりのE.ペイジ。一時期の勢いが見られなくなっていただけに、どのような活躍を見せるのか期待が膨らんだ。

主人公は、総合病院で臨床実習に従事している5人の若き医学生。E.ペイジ演じるコートニーは、心肺停止後の脳に何が起きるのかに尋常ではない関心を抱いており、同僚を誘って禁断の臨死実験を実行に移す。

予告を観ると、小さな実験が次第にエスカレートして取り返しがつかなくなるような流れに見えたが、実際はコートニーの実験後の変貌ぶりを目の当たりにして、他の学生たちも追随するという話である。

各人が様々な臨死体験をするが、共通点としては、過去の強い記憶が呼び起こされ、連鎖的に様々な感覚が以前より鋭くなるといったものである。斜め読みしたような書籍の内容を詳しく思い出したり、ルービックキューブを秒速で完成させたり、学ぶことが求められる学生にとってはそれは魅力的な能力なのである。

しかし、うまい話は簡単に転がったりはしていない。やがて彼らは過去の記憶にとり憑かれたかのごとく、幻覚に悩まされるようになる。

本作のテーマは、超えてはいけない一線とはどういうことかであると思う。

人が生きていく中で出会う様々な欲望をどうコントロールするか、言い換えれば、欲望に支配された人間に待ち受ける運命とは何か。社会の構成員として基本的かつ非常に重要な視点である。

しかし、本作は肝心なところを置き去りにしてしまう。自らの愚かさがもたらした恐怖を、意外にあっさりと克服するのである。もちろん大変な思いもするが、映画で描かれた部分を総合的に判断すると「あっさり」という印象を抱く。

90年版とどのくらい違っているのか興味があるが、こういう題材を取り扱うのであれば、もう少し謙虚に作ってほしいというのが正直な感想だ。

(60点)
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