Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「ゼロダークサーティ」

2013年02月17日 00時42分12秒 | 映画(2013)
ここまではやるよ、当然でしょ。


米国は、かつて大量破壊兵器の存在を確信したと言って、イラクを侵攻しサダム・フセイン政権を転覆させた。

しかし、結果として大量破壊兵器が見つかることはなく、ブッシュ大統領の評価は地に堕ちた。

それから何年が経ったと言うのだろう。大統領がオバマに代わっても、アメリカは変わらない。

もちろん見習うべき点は非常に多い。

主人公・マヤに代表される現場職員の洞察し追求する力、組織上部の最終的な判断力、そして一度決定したことに対して一丸となってやり切る責任感。いずれかが欠けていたら、この作戦はうまくいかなかったはずだ。

それにしても、イラクのときと比較しても確実性が低いと口々に言われた作戦を実行に移してしまうことについては、脅威としか言いようがない。

マヤが最後に流した涙には、様々な思いが込められている。

安堵感もあるにはあったかもしれない。しかしそれよりも、自分が成したことが未来にどう波及するかを考えたときに、何一つ世界が好転しないであろうことを実感したのではないかと感じた。

「UBLをみすみす取り逃がした人だと言われていいのか」。劇中でマヤが上司に言った言葉だ。

このときの彼女がどこまで思いを巡らせていたかは分からないが、米国に必ずつきまとうのが、世界のリーダーとしての責任である。

大量破壊兵器があるかどうか本当は分からない。でも、だからと言ってフセインをこのままにしておいていいのか。

ならず者国家と言われる国があるかぎり、やはり米国はかくあるべきと思っているし、世界もそれを理解している。世界の頂点に立つ栄誉を存分に味わいつつ、時には自らを傷つけても責務を果たす宿命なのである。

アカデミー賞を受賞して以来の作品となったK.ビグロー監督。

またしても重く、そして長い映画だったが、レイトショーの眠気は時々訪れるテロ行為で解消(これほど日常頻繁にテロ活動があるなんて・・・)。しかし中盤までは、説明的な台詞や、明らかに何かが起こるフラグなど、少し頭をひねってしまった。

その代わり、UBLの隠れ家に夜討ちをかける場面は、途端にギアが切り替わったような強烈な緊迫感。結局このひと、こういう演出が好きなんだろうなと思った。

(70点)
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ムーンライズキングダム」 | トップ | 「世界にひとつのプレイブック」 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは (なな)
2013-02-21 20:06:53
わたしもこれレイトショーで観ました。
「鉄の女」マヤが,ビグロー監督と被って見えましたよ。
この二人は女性だけど
脳内は男性なんだろうなと思いました。
カッコよくて憧れます・・・わたしは脳内が完全に女ですが・・・。

レイトショーだったのでわたしも途中眠かったです。
でもテロ騒ぎがうまい具合に挿入されるので眠気も飛び
夜襲のシーンはハラハラドキドキしました。
作戦は成功しても世界がよくなるわけではない・・・・そうですよね。
それでもやはりビンラディンを野放しにはできないですし・・・。
返信する
使命感 (クラム)
2013-02-24 10:40:32
ななさん、こんにちは。

この二人の共通点は、女性であるという以上に
ともに自分の与えられた役割を追求する思いが強いことにあると思います。
それはそれは疲れると思うけど、自分の本心だから止められない。
K.ビグローもどこかでふっと息を抜いたときに涙をこぼすのだろうかと想像しました。

アカデミー賞シーズンは、候補作が次々に公開されるので、
追いつくのが大変です(見応えはありますが)。
本作では、「ハートロッカー」より評価が高くしている人を多く見ます。
話や主人公の心情が、共感を得やすかったということなのでしょうかね。
返信する

コメントを投稿

映画(2013)」カテゴリの最新記事