Con Gas, Sin Hielo

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「砂漠でサーモンフィッシング」

2012年12月08日 19時40分20秒 | 映画(2012)
政治主導とさかなクン。


鮭といえば、国内なら北海道や東北、世界に目を向ければノルウェーやチリ。いずれも印象は寒冷地だ。

そんなイメージと対極にある中東のイエメンで鮭を放流したいという突拍子もない話が本作の根幹である。

わがままな石油王に振り回される、コメディ要素を含んだ映画かと思ったのだが、これが実は恋愛なんかも絡んだ人間ドラマになっていることに驚く。まあ、監督がL.ハルストレムなのだから当然なのではあるが。

大富豪シャイフ、コンサルタントのハリエット、そして水産学者で役所勤めのジョーンズ博士。

一見交わりがなさそうな人たちが、巨大鮭プロジェクトを軸に絆を深めていく。

特にシャイフは、危険な思想や驕りなどを一切持たず、寛容と謙虚、そして強い信念のもとに物事を進める立派な人物であり、はじめは悪い冗談としか考えなかったジョーンズも次第にシャイフのペースに引き込まれていく。

そしてプロジェクトに没頭するうちに、ジョーンズ、ハリエットの2人においては、人生への向き合い方にも変化が訪れる。

互いに別のパートナーを持つ中で2人の関係が微妙に揺れ動く。芽吹く気持ちを自覚しながらも、お互いの立場を尊重し合う。そんな2人を優しい眼差しで見守るシャイフ。

一方でプロジェクトは、寛容や謙虚とは無縁の首相広報官のゴリ押しで状況が二転三転。ジョーンズとハリエットの微妙な振れ幅との対照的な描写が楽しい。

すったもんだの上で何とかプロジェクトは成功・・・と思われたところでよもやの急転回。中東の地政学の嵐が駆け抜けた後に、それぞれがたどり着くラストは、多少ほろ苦いが後味はさわやか。

(80点)
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