Con Gas, Sin Hielo

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「007 スカイフォール」

2012年12月02日 22時46分12秒 | 映画(2012)
ボンドガールM。


D.クレイグを新ボンドに迎えてから勢いが増す一方のシリーズ。

はじめは「金髪のボンドなんて」といった批判の声もあったと聞く。確かに、大昔の007とは印象は大きく異なる。

昔のボンドは、遊びというか漫画的というか、ちょっと不真面目な余裕をかますようなダンディズムを湛える人物だったと思うが、現代版にあまりその要素はない。

その傾向がはっきり分かるのは、かつては007といえばまず話題に上ったボンドガールとボンドカーの扱いである。

本作において、ボンドガールらしきお色気担当の女性はちょい役の一人しかいなかったし、ボンドカーも逃亡には目立ち過ぎと言われ、座席のスイッチを見せて何発か弾丸を放った後は完全にお役御免であった。

ただ、それは本筋であるアクションやスリリングなストーリーを楽しませる上で無駄な部分をそぎ落としたのに過ぎない。

全力で生死の境を綱渡りする中で見せる人間臭さに魅力を感じる作りになっていて、それは映画業界、もっと広げて言えば時代が求めるヒーロー像なのである。

今回、有り余るほどの存在感を持つJ.バルデムを敵役に迎え、ボンドとの息詰まる闘いが繰り広げられ、見どころは多い。

しかしそれ以上にフィーチャーされているのがJ.デンチ演じるMだ。

ヒーローを陰で支える指揮官が、国の組織の一構成員の立場として日々奮闘する姿を描く。

一つの決断が常に重要な責任を生じさせる中で、それでも指示を出さなければならない苦悩。ヒーローに続いて、彼女にまで人間臭さの次元を求めはじめたわけだ。

この流れが一時的に終わるのか、不可逆的に進行するのかは分からない。

ただ一つだけ変わらないものがあった。ADELEのオープニング。楽曲、背景とこれぞ007。痺れる。

(70点)
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4 コメント

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今晩は☆★ (mezzotint)
2012-12-11 23:25:24
クラムさん

コメントのお返しが遅くなりすみません!
シリーズはご覧になっているんですね。
私はダニエル・ボンドになってからなので、実はQの
存在は初めて知りました。シリーズを見ていないと
やはり分かりにくいですよね。
クラムさんもご覧になっているとのことですが、それでも
繋がらない?それを聞いて安心しました(笑)

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広く浅い知識 (クラム)
2012-12-12 22:59:13
mezzotintさん、こんばんは。

シリーズは観てることは観てるんですよ。
それこそR.ムーアの時代から。
でも、映画館の1回こっきりしか観ないこともあって、全然憶えてません。
なかなかのめり込むってことができない体質みたいで・・・。
アクションものは、ぱあっと楽しめればと思ってるのですが、
最近の大作は背景まできっちり描くものが多いですね。
返信する
わたしも・・・・ (なな)
2013-01-21 20:42:08
観ている途中,「今作のボンドガールはMだな」と
思ってしまいました。
それはそれで面白かったけど・・・・
ダニエルのボンドは強いだけでなく
複雑で悩み多いキャラクターでもあるし
中年の物悲しさというか・・・そんな雰囲気も漂っていて好きですね。
おっしゃるように適役のハビエルめちゃくちゃ存在感ありました。
返信する
確立の一作 (クラム)
2013-01-24 20:22:19
ななさん、こんばんは。

D.クレイグのボンドはこう!というのが定まった感じでした。
それぞれ個性の違う俳優が同じ人物を演じる
本シリーズならではの楽しみ方なのかもしれません。
あとはやっぱり時代を感じます。
苦悩するヒーロー像が主流というのは、しばらく続くのでしょうね。
一つ残る大きな問題は、彼がいつまでボンド役を続けるか
ということでしょうか。
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