Con Gas, Sin Hielo

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「おおかみこどもの雨と雪」

2012年08月16日 22時08分12秒 | 映画(2012)
それは濃密な13年間。


東宝と日テレの多大なバックアップを受けて、細田守はいよいよポストジブリのお墨付きをもらったようだ。

そんな「国民的」看板の影響は内容にもみてとれる。

おおかみこどもとして生まれた雪と雨。

特に幼児時代の雪がやんちゃに暴れ回る姿は、コミカルでかわいく子供に大ウケしそうな一方で、懸命な愛情で子育てを続ける花の姿は、子を持つ親たちの胸に刺さる。

愛するおおかみおとことの別離まで過ごす東京郊外の街並みと、疎開した山奥の村の大自然。対照的な景色ながら、いずれも細かく丁寧な筆先で描かれて、観る側の気持ちを温かくさせる。

頑固なじいさんが現れれば、動物も出てくる。意識してかどうかは分からないが、全方位に目配せされた舞台設定となっている。

雪と雨の成長の過程も、よく書かれていると思った。

元気なおねえちゃんと、少し引っ込み思案のおとうと。

同じ過程に育ちながらも、性格の違いがその後の環境や人生の選択へと結び付いていく様は、結果としては意外ながらも、全般を捉えれば極めて自然に受け止められた。

そしてその成長を全力で支えた母の努力には、とにかく敬服するほかなかった。

ただ、最後の場面では雪が12歳で雨が11歳だったんだよね。わが家の娘、小学6年生と比べて遥かに大人だったのは、おおかみの血が混じっているからだけではないだろうな。

あと少し残念といえば、やっぱり父の描写がどうしても足りなかったことだろうか。

彼の存在が謎であるが故の物語だということは承知の上で、やっぱり花がかわいそうだと思った。

12歳にして子供が独立していってしまったわけで、これからの彼女の生き甲斐はどうなるのかと、つい余計な心配をしたくなった。

(75点)
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