Con Gas, Sin Hielo

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「127時間」

2011年06月21日 00時01分23秒 | 映画(2011)
今までの君は間違いじゃない。


究極の決断により奇跡の生還と聞けば、だいたい展開は分かろうもの。見どころは、主人公の感情の移り変わりとその演出だった。

落石に腕を挟まれるまでの元気が過ぎるほどのアーロンと、一転して表情や口調といった細かい部分に注目が集まる動けなくなってからのアーロン。

対照的であることもさることながら、特に動けなくなってからの方が、常に変化を見せ続けてのめり込まされていくところがおもしろい。

過去の思い出、現実の太陽の光、そしてもうろうとする意識の下の幻想。それは繰り返し訪れる「生きていること」の確認でもあった。

この物語のすばらしいところは、彼が気付き、そして受け入れることにある。

事故直後から、生き延びるためには冷静であらねばと自分に言い聞かせていた彼ではあったが、それでもこの結論に行き着くまでには127時間かかった。

降りかかった不運を恨むのではない。今までの自分にとってそれは必然だった。

運命を受け入れ正面から向き合うこと。結果として彼は生還したが、たとえそうならなかったとしても、この結論にたどり着いた時点で彼の生きてきた道は間違いではなかったと言えるだろう。

少し上でも触れたが、動けなくなってからの見せ方がいい。もちろんJ.フランコの熱演なしには語れないが。

にしても、予想できたとはいえ究極の最終手段は痛かった。特に映像よりも音の強さが意外であり、より痛さを叩きつけられたようだった。

(90点)
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2 コメント

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ア―ロン・ラルストン (mezzotint)
2011-06-21 01:56:12
とてもポジティブな人のようです。
この前向きさが生還に導いたのでしょうね。
困難は逆に神の恵みだとも語っています。

とは言え、究極の決断を下すのはやはり
時間が要りました。まさに生きるか死ぬか?
の選択。凄いなあと思いました。
ジェームズ・フランコの演技、そして監督の
素晴らしい演出。
監督はこのア―ロンの本を大事にしていたそうです。



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神の恵み (クラム)
2011-06-21 23:08:14
mezzotintさん、こんばんは。

物事というのは捉え方次第でマイナスがプラスにも変わるのですね。
形は違えど、この前向きな姿勢を震災後の心情と重ねる意見を見かけます。
この時期だからこそ、活力をもらえる映画だと。

個人もさることながら、日本という国が何を学ぶことができるのか、
少し不安な気持ちになるこのごろです。

話はずれましたが、
難しい題材を見どころ満載の作品に作り上げた監督の手腕に敬服します。
J.フランコも次の作品を心待ちにする役者さんになりました。
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