世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●偉そうな演説しなきゃ良いのに 宙に浮くオバマのシリア空爆

2014年09月14日 | 日記
日本ミステリー小説史 - 黒岩涙香から松本清張へ (中公新書)
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中央公論新社


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●偉そうな演説しなきゃ良いのに 宙に浮くオバマのシリア空爆

 本当にオバマの外交は最悪なシナリオに向かっており、自縄自縛なものになっている。シリア化学兵器攻撃参戦で大演説をかませて、大恥を掻いたのをプーチンに救ってもらった癖に、またまた、「イスラム国」の所業は看過できないと、再び大演説をして、「行動することをためらわない」米軍には危険の及ばない形の空爆で、シリア領土にも点在する「イスラム国」勢力をせん滅すると大風呂敷を広げた。そして、サウジ中心のアラブ連合の軍隊を地上作戦に投入、「イスラム国」なる勢力の根絶を躊躇わず実行すると、何と云うことはない、アメリカ国民に宣言した。

 しかし、勝手に「アラブ有志連合」なんて名前を貰っても、自分たちの軍隊をシリア領土などで、軍事展開すれば、どのようなトバッチリを受けるか知れず、全アラブが尻込みをしている。当たり前だ、独善的アメリカの判断で、シリアのアサド大統領を地上から消し去るとか、ウクライナの選挙で選ばれた大統領を追い出すとか、イラクをフセインから取り上げ、その国を無政府化し、西側諸国の民間軍事企業や石油利権を思いのままにしたのも、すべてがアメリカの勢力の関与によって起きていることで、他のどの国も、混乱惹起の主体にはなっていない。すべて、アメリカのまいた種であり、その実りが、いまの中東やウクライナを通じて、アメリカ本土に降り注いでいるのである。

 英独はシリアの空爆への参加は拒否したし、トルコもシリア攻撃のための軍事基地使用を断ってきている。フランスのオランドと云う女癖の悪い社会主義者は、なぜか軍事オタクのようで、フランスの軍事産業の為なら、正義もヘッタくれもないのは、不正義競争なら、アメリカが断然上、目立たないから構わんだろう。そんな感じで、外人部隊を投入するのだ。イラク、シリアに展開する「イスラム国」は素晴らしく戦略的なネーミングをしたものだ。イスラムを歴然と攻撃した印象を植え付けることになるで、各国は基本的に前向きにはなれない。

 砂漠地帯で、移動し続ける「イスラム国」勢力を空爆しても、あまり軍事的効果は得られないそうである。逆に、イラク、シリアのインフラを破壊し、市民を殺害する可能性の方が大きいわけで、将来を含めて、スンニ派全体を敵に回すようなもので、二の足踏むのは当然である。つまり、空爆なんてのは、敵勢力が群れをなしていれば効果はあるが、バラバラに点在されている限り、大して軍事的貢献はない。実際問題は、地上軍が入り込まない限り無理なのだ。しかし、シリアは、いまだにれっきとした国家であり、国連にも加盟してる国家なのだから、オバマが命じたらどの国へも、何での思いのままは、おバカなほど不遜だ。シリアのアサド政権の了解を得ずにシリア内を空爆するだけでも「侵略行為」だ。

 つまり、侵略者だかテロリストだか知らないが、アメリカであれば、何処の国に行って、何をしようと許されると思っている節がある。彼らの考える正義が、相当怪しいものだと、世界はだいぶ気づいてきているわけで、またまた、大恥を掻く羽目になりそうだ。場合によると、米国内でのテロ頻発を招く可能性もあるわけで、21世紀風味のイソップ物語でも見させてもらっている感じで仕方がない。ケリーはサウジに行って、「アラブ各国が中心的な役割を果たす」ことで、イスラム国退治はアラブでやれよと脅しているようだが、狡賢いサウジの王が、欧米の為に、自分の首を絞めるような行動を取るとは思えない。彼らは闇の中で、黒幕としてだけ生きていたいわけで、欧米の撒いた紛争に自ら矢面に立つ気などさらさらないだろう。

 英国は「イスラム国」がどうのこうのと言っている暇はない。スコットランドの独立が実現するやもしれない段階に、イラクやシリアの「イスラム国」と戦う余裕など皆無だ。ドイツはドイツで、経済状況が思わしくなく、ウクライナ紛争を通じてのアメリカ追随のお陰で、悪い経済状態がさらに悪化し、ユーロ圏自体の存続にまで波及しそうな瀬戸際であり、オバマの演説におつきあいしている暇はない。朝日は以下のように世界経済の状況を伝えている。

≪ 米高官、世界経済減速に懸念 G20で景気対策協議へ
 主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が豪州で20~21日に開かれるのを前に、米財務省の高官は12日、電話会見した。世界経済が減速するおそれもあることから、経済成長を続けるための対策についてG20会議で話し合う考えを明らかにした。
 これまで協議してきた長期的な成長戦略に加え、景気の悪化を避けるための短期的な対策について検討するという。
 同高官は会見で、世界経済について「(予想よりも)下ぶれする危険(リスク)がある」と指摘した。とくに欧州で「インフレ率が危険なぐらい低い」とし、ドイツを念頭に「黒字国がインフラ投資などで内需を拡大すべきだ」との見方を示した。日本についても「需要と実質賃金の伸びが引き続き弱く、新たな懸念が生まれている」と言及した。最近の円安ドル高が米国経済に与える影響については「コメントしない」とした。
 同高官は、11月に開かれるG20首脳会議(サミット)に向けて、世界経済の今後5年間の成長率目標に関する計画づくりや、米国と欧州によるロシアへの経済制裁も議題になる、との見通しを示した。
ルー財務長官は現地で、豪州、ドイツ、韓国、イタリアの財務相と会談する予定だ。
 イタリアのミラノで12日(日本時間13日未明)に閉幕したアジア欧州会議(ASEM)財務相会合でも、世界経済の減速について懸念が示された。会合には麻生太郎財務相らが出席し、「欧州経済の回復は今年後半も弱くなる可能性が高い」「アジアのほとんどの国にとって段階的な財政健全化が適当」などとする声明を採択した。 ≫(朝日新聞:五十嵐大介=ワシントン、細見るい)

 中東を中心に戦火を交えていれば、軍産複合企業の活性化で、経済は見せかけの好況感を味わうことは可能だろうが、世界のGDP全体のかさ上げには貢献どころか、衰退を招く惧れもある。ロシアへの経済制裁もピークに近づいてきているが、音を上げるのは、好調な経済で潤っていたドイツであり、最悪期から脱しているロシアの方が、持ちこたえる時間は長い。ロシアは中国との関係を良好にしてあるので、我慢比べを想定した外交を展開しており、民主主義的だが独裁状況なので、アメリカ人の我慢強さと、ロシア、中国人の我慢強さには桁の違うものがある。この辺が理解できずに、未だ破竹の覇権国だと思い込んでいるところが、アメリカと云う国の限界なのだろう。俗に言われる”アメリカン・デモクラシ”の限界なのだ。それに追随している安倍政権も、いわば思込み政権と云うことだが、今のところ、圧力支配が功を奏している。まあ、1年以内に、ボロ雑巾のような安倍晋三を見ることは出来そうだ(笑)。

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