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世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●参院選総括概要 改憲まで突っ走るほど“一強他弱”とは言えない

2016年07月11日 | 日記
比較のなかの改憲論――日本国憲法の位置 (岩波新書)
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●参院選総括概要 改憲まで突っ走るほど“一強他弱”とは言えない

自民単独過半数か?と前評判の割に、安倍自民党は強くなかった。NHKの馬鹿アナウンサーは画面の替わるたびに自公で85議席の勢い、エイエイ!と笑顔で語っていたが、単独過半数など夢のまた夢だった。目標61議席などと、勉強できないガキのテスト目標55点と言っているに等しい。安倍は端から責任問題になるのを怖れたのだろうが、安倍一強政治なんて、プロパガンダだったことが、手に取るように理解できた。野党共闘の是非は、是と云う解が出ている。

注目の改憲勢力2/3議席確保もアップアップ状態で、無所属に手を突っ込み、どうにか体裁は整えられるだろうが、いずれにせよ、争点隠しブラインド選挙戦を戦って、得た報酬は危ういものだった。大幅な内閣改造をやってみても、安倍が座って、「壊憲論議」を憲法審査会で早速始めるらしいが、薄氷を踏む議論が展開されるのは必至。自民党壊憲議員が口を開くたびに、メディアに「壊憲」の話題を提供するのは間違いがない。多くの有権者は、国民主権ではない国を作ると言われた途端に、腰を抜かすだろう。しかし、どのような切り口から始めるか別にして、目的は「国民主権>国家主権」を「国家主権>国民主権」の書き変えようとしているわけだから、徐々に理解されてゆく。

自民党が、憲法審査会の議論で、何を変えるか、非常に垣根の低い部分からと云うことだろうが、単に衆参共に「壊憲勢力」が2/3議席確保したからと言って、速攻で日本会議が望んでいるような国民の主権を制限する憲法改正に向かえるはずもない。主権を、国民から奪って、元首天皇へなどと「偽装権力移行」を試みるなど、永遠に出来ない。しかし、いずれにしても、安倍晋三の悲願は、「改憲発議」を実行した首相であることが目的化しているので、アホノミクスが完全崩壊する前に、その発議にまで到達したい妄執だと解釈する。

そうなると、次期衆議院選まで最長、2年5カ月の期間以内に、安倍自民は憲法審査会で「論議を尽くした」熟議は出来たと「壊憲発議」の乗り出すだろうが、政治の世界、一寸先はやはり闇、2年以上の余裕があると、安倍首相が思うことはない。おそらく、早ければ早い方が良いと思っている。経済政策の失敗は、ここ数カ月で目に見える形、愚民でも判るレベルで悲惨な状況になる。来年年明け、早いうちに発議しないと、企業業績の悪化が明確になり、「憲法発議」どころではなくなる。最短だと、年内に「国民投票」にまで持ち込む可能性もあるだろう。朝日は、安倍ヨイショ忖度解説で、以下のように報じている。

≪ 憲法改正議論に現実味 首相、参院選勝利で主導権握る
 10日投開票の参院選で、与党の自民、公明両党に加え、憲法改正に前向きなおおさか維新の会と日本のこころを大切にする党の「改憲4党」が3分の2の議席に迫った。今後は与党勝利を導いた安倍晋三首相(自民党総裁)が主導して、憲法改正をめぐる議論が進む可能性もある。首相の政権基盤も、今回の参院選勝利でさらに盤石となりそうだ。
 「いよいよ憲法審査会に議論の場がしっかりと移っていって議論し、どの条文をどのように変えていくかということに集約されていくんだろう」
 首相は10日夜のテレビ番組で、衆参の憲法審査会で憲法改正をめぐる議論を始めたいとの考えを改めて示した。首相が憲法について語ったのは6月24日にTBSの党首討論番組で言及して以来、16日ぶりだ。
 首相は選挙戦で徹底して憲法改正の議論を封印した。一方で、野党共闘を組んで「改憲勢力の3分の2阻止」を掲げる民進党と共産党を相手取り、「無責任な民共か、責任ある自公か」と攻め立てた。
 結果、与党の自民、公明両党のほか、おおさか維新、こころの「改憲4党」で、国会発議(提案)に必要な3分の2に迫る議席を手にすることに成功した。
 改憲に前向きな勢力が衆参各院で3分の2の議席を占める状況に近づいたことで、憲法改正が今後、現実的な政治課題として議論のテーブルに載ることは確実だ。「衆参3分の2」というカードをほぼ手に入れた首相は、今後の改憲論議の主導権を握ったといえる。
 首相は公示前の党首討論などで、「大切なことは憲法審査会で逐条的な議論を冷静に行って集約し、国民投票で問うことだ」と繰り返してきた。まずは参院選の結果を追い風に、休止状態にある衆参憲法審査会を再開させ、民進党など野党を巻き込んで改正項目の絞り込みを進める考えだ。
 自民党内には「民進党にも改憲に前向きな議員はいる」(幹部)との声がある。憲法改正の議論を呼びかけつづけて民進党を分断し、改憲賛成派を取り 込む可能性も視野に入れる。また、朝日新聞の取材では非改選の無所属議員にも改憲に前向きな議員がおり、今後同調を呼びかける。
 ある自民党議員は「憲法審査会で議論を進めるのか、野党を除いた政党の枠組みで進めるのか、それは民進党の出方次第だ」と話す。民進党が「安倍政権下での憲法改正反対」との姿勢を貫いた場合は、「改憲4党」で議論を主導する選択肢もあるとの見方だ。
 ただ、「衆参3分の2」という状況がいつまで続くかは分からない。首相の自民党総裁としての任期は2018年9月に切れる。安倍氏の総裁任期が延 長されたとしても、18年末には衆院の任期を迎える。早期の衆院解散・総選挙がなくても、「衆参3分の2」が保証される期間は残り約2年半しかない。
 たとえ衆参3分の2以上の賛成で国会発議にこぎ着けたとしても、その後に国民投票で過半数の賛成を得なければならない。朝日新聞が2、3両日に 行った世論調査で、参院選で憲法改正についての議論が深まっているかとの問いに、62%が「深まっていない」と回答している。首相には国会の多数派形成だけでなく、世論を見すえた取り組みが求められそうだ。   
   ◇  
〈憲法審査会〉憲法や関連法制を調査し、憲法改正原案を審査する国会の審査会で、衆参それぞれの議席数に応じて各党に委員が配分される。改正原案 は衆参各院の審査会が過半数で可決し、本会議で3分の2以上が賛成すれば憲法改正案が発議される。安全保障関連法案審議中の昨年6月、衆院の審査会で参考人の憲法学者3人が同法案を「憲法違反」と指摘した。  ≫(朝日新聞デジタル)


おそらく、主権が変わるとか、戦争できる国にするとか、緊急事態条項の追加で、事実上、国民の権利をはく奪するよな、大上段に構えた「改憲発議」はしてこない。有権者が、「そりゃそうだね。自衛のための最低限の軍備(自衛隊)が持てる。現にあるわけだし」そんな線から来るかもしれない。トーマス・ジェファーソンは「十分に情報を得た市民は民主主義の基盤である」が耳に痛いが、「こんなはずじゃなかった」と吠え面かく有権者が増えそうな、明日からの日本だ。アベノミクスとかを加速するそうだから、益々日本経済はヤバくなるのだろう。月曜日の為替と株価は、どのように動くのか?大変に興味深い。本来であれば、民進党の問題点まで言及したかったが、後日に回し、寝ることにする(笑)。


 ≪ この参院選で問われなければならないこと
 日本は明日、3度目のアベノミクス選挙を迎える。
 2012年の安倍政権成立から3年半の間に、2度の国政選挙が行われているが、安倍首相はそのいずれもアベノミクスを問う選挙と位置付けてきた。今回も安倍首相は「アベノミクスのエンジンを2段3段と吹かしていかなければならない」と言い放っている。
 しかし、過去2度の選挙では一旦選挙が終わると、安倍政権はアベノミクス選挙の勝利で得た数を使って、秘密保護法や安保法制といった選挙公約とは異なる政治課題の実現にその力を集中させ、それを数の論理で強硬に成立させてきた。
 そしてまた、3度目のアベノミクス選挙である。
 憲法改正がどうだの、大型補正予算がどうだのと色々と取り沙汰はされているが、選挙後に何が出てくるかを予想しても、鬼に笑われるだけだろう。し かし、政権への信任投票を行う以上、信任するにせよ、不信任票を投ずるにせよ、少なくともこの3年間に安倍政権が行ってきた政策の中身をきちんと精査し、 その評価を下した上で、一票を投じる必要がある。
 そこで今週のマル激では、恒例となった選挙直前の「マル激的選挙の争点」を考えてみたい。
 今週のゲストで政治学者の中北浩爾・一橋大学大学院教授は、今回の参院選で安倍政権は、巧みな争点隠しを行っていると指摘する。経済政策や社会保 障など国民の関心が高い分野で、野党の主張に重なるような政策を掲げることで、対立の構造を見え難くしているというのだ。与野党の対立が鮮明にならない限り、与党有利、現職有利は揺るがないからだ。
 確かに選挙戦に入ってからの自民党は、所得の再分配やワークライフ・バランスなどこれまで民進党が主張していた論点を、しきりと口にするようになっている。それが実態を伴うものかどうかは定かではないが、少なくとも選挙の争点隠しには功を奏していると言っていいだろう。
 しかし、争点隠しには野党も協力していると言わざるを得ない。そもそも安倍首相はこの選挙で「消費税増税延期の信を問う」としてきた。ところがこ の選挙では、野党を含む全政党が消費税増税の延期には賛成している。これでは有権者から争点が見えなくなるのも無理はないというものだ。
 では安倍政権が隠したい、この選挙の真の争点とは何か。中北氏はずばり憲法改正だと言う。今回の選挙では与党に改憲に前向きな改憲勢力を合わせ て、憲法改正案の発議に必要な参議院の3分の2の議席を獲得できるかどうかが、大きなポイントになると見られている。改憲勢力は既に衆議院では3分の2の 議席を確保しているため、この選挙で改憲勢力が合わせて78議席以上を確保すれば、恐らく戦後初めて憲法改正案の発議が可能となる。
 「この千載一遇のチャンスを安倍首相がみすみす見逃すとは考えにくい」と中北氏は指摘する。経済状況もかなり悪化してきており、アベノミクスの神通力がいつまで持つかは不透明な状況だ。このチャンスを逃せば、次の選挙でも改憲勢力が3分の2を維持できる保証は全くない。
 今のところ公明党が憲法9条の改正には慎重な姿勢を見せているため、仮に改憲の発議があったとしても、憲法9条を変更するかどうかは不透明な状況 だが、党是に自主憲法制定を掲げる安倍自民党には、とにかく憲法を変えたいという強い野望を持つ議員が少なからずいる。9条にこだわらなければ、意外とすんなり憲法改正の発議が行われるのではないかというのが、中北氏の見立てだ。
 他にも安倍政権が隠そうとしている争点は多い。安倍政権が実施した法律や制度の中でも、特に今回の選挙は安保法制が強行採決されてから最初の国政 選挙となる。また、安保法制と並んで、日本は外交、安全保障面でいくつかの大きな政策転換をしている。特に、アメリカと足並みを揃えるために、中東において多くの犠牲を払ってきた。
 東京外国語大学の伊勢崎賢治教授は、安倍政権下で日本は「多くの敵を作ってしまった。中国との関係を考えて一層アメリカ寄りになったが、マイナスばかりだ」と、安倍政権の安保、外交政策については厳しい評価を下す。
 一方、安倍政権はこの選挙をアベノミクスという経済政策を問う選挙と位置づけているにもかかわらず、社会保障や雇用の実態は悪化の一途を辿ってい る。東京大学の大沢真理教授は、どれだけアベノミクスのエンジンを吹かしても、労働者の実質賃金が下がり、非正規雇用が増え、貧困率が上昇している実態を覆い隠すことはできないと指摘する。
 慶応義塾大学の土井丈朗教授は、アベノミクスのエンジンを吹かし続けることによって、財政赤字が膨れ上がることへの懸念を表明する。金融緩和の効 果が弱まる中、安倍政権は年内に10兆円規模の大型補正を計画しているとされている。消費増税を延期した上に、大型の補正予算を組めば、政府が目標にしている2020年までのプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化は更に遠のくという。
 このように、一見争点が見えないように見えて、一皮めくれば、この選挙でわれわれは日本の行く末に大きな影響を与えかねない重大な選択を下そうと している。選挙後に「こんなはずじゃなかった」と思わないで済むようにするためにも、ここはひとつ有権者一人ひとりが、自分が今、何を選択しようとしているのかをよく考えたい。
 かつてアメリカ建国の父トーマス・ジェファーソンは「十分に情報を得た市民は民主主義の基盤である」と語っている。明日の参院選でわれわれは何を 選択しようとしているのかについて、各分野の識者へのインタビューを交えながら、ゲストの中北浩爾氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台 真司が議論した。
 ≫(ビデオニュースドットコム:マル激トーク・オン・ディマンド 第796回(2016年7月9日))

「憲法改正」の真実 (集英社新書)
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5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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不正? (Unknown)
2016-07-11 15:18:03
自民が圧勝した全国比例区の投票用紙。
光学系の特殊な紙です。
この紙に、磁気によって、あらかじめ当選させたい候補者の氏名を印刷しているのでしょうかね。
上から何を書いても、機械が読み取るのは磁気によって書かれた氏名だったら…

腐敗している与野党やマスコミにとって、国民主権や基本的人権、言論の自由をはく奪する自民党草案は、基本的には望ましいかもしれない…
もう若い人は国外脱出した方がいい。
返信する
こんな筈じゃなかった、、。 ( 武尊)
2016-07-11 16:28:08
「こんな筈じゃなっかった」と何度も何度も一般庶民は思ってきてますよ!何度も何度も今度こそは、とそいう政党に投票したじゃないですか!
その度に自分達から壊したり、壊れたりしたじゃないですか!
村山富市は何したんですか!?そんな奴が「安部は最悪な首相」だァ!?フザケルナよ!お前のが余程最悪だろうに。社会党を左右に分裂させて、今や風前の灯に導いたのはお前だろうに。まるで麻生の「ワイマール憲法」壊しの、それこ「そさきがけ」だァ。
細川政権なんざあ、敵前逃亡しやがった(怒)そのくせ平気で都知事選なんかに出てきて、デカい口キキヤガッテ!
民主党だって同じだ。どんだけ期待したか、、。最後はシロアリ退治どころか、経産省内で核発電反対した役人まで首にしやがって(プンプン)今頃それを次期知事候補の一人だァ!?もう一人の石田なんざァ完全に「ポピュリズム(体制側が言う、大衆迎合)」な奴だろうに。そしてそんな人間を推しているシールズなどこそが、ポピュリズム推進者達などではないかと思い出したんだわ。どっちも選挙受かった翌日登庁して早速予算執行しなきゃいけないのに出来るのかァ?法律も知らない奴が手玉に取られるのは、青島で見ただろうに、、。(古賀はエリート官僚事務員だったんで、それでも少しは何とかなりそうだが。)ハッキリ言って歩く六法全書みたいな人しか対峙は出来ないんだよ!!
もうイイよ。俺たち場に引かれて行くよ、、(トホホ)
 と、一般大衆の皆さんは申して下ります、、。
だって皆知ってるんですよ。自分たちがコントロールされてる事を。それでも今迄抵抗してきたんですよ、、。
 でね、こういう筋書きを描いてきた奴が、海の向こうに居ると思うんですよ。中国と敵対?海の向こうの人してる?表面上だけじゃん!中東関係で犠牲者?ISって何所の誰が作り出したんだよ!海の向こうの奴らだろうに、、。
 ということで、こういう大学のお偉い先生方の云う事には、眉唾しか感じなくなってきました、と庶民は思い始めています。
返信する
偶然 (テンドン)
2016-07-11 17:25:16
今回の参院選、東北の一人区の結果をみて連想してしまったのは戊辰戦争だった。
長州藩率いる明治維新軍に刃向かった奥州越列藩同盟だ。(新潟も野党共闘候補が当選)
長州・山口県からきた安倍にもう耐えられないほど東北はきているのではないか。
ちなみに、唯一自民党候補が当選した秋田は久保田藩で、明治維新軍側だった。
返信する
2017年の来たるべき衆院選に備える (箒川 兵庫助)
2016-07-11 18:16:34
  神保氏の月間誌『世界』での論考は面白いが,「ジャ-ナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論」すると,碌な結果が出ない。

 有権者一人ひとりはよく考えねばならないのはわかっているが,エライ学者先生の話を聞いても投票所へ行く気がしない。改憲と相成って,自衛隊員が戦闘で死んで初めて自分の立場がハッキリする,のかもしれない。
 例えば参院選の間に南ス-ダンでは日本人が死んだはずだが,「持病が悪化」ないし「病死」にされた可能性がある。もみ消すのに大変だろうと思うが,戦死と判明するのは,10日の参院選後であろう。

  ところで鈴木宗男氏は今何をしているのだろうか。公民権停止が解かれるのが来春4月。5月からは晴れて衆議院選挙に出馬できる。2018年まで待てないだろう。6月か7月に衆院選があるはずである。それが北海道五区の補選での寝返りの報酬である。
 
  前置きが長くなったので本題に入らしていただくと,今回の参院選は,真の野党の選挙戦術の「下手さ」が目立った。
  本人には悪いが,三宅洋平氏の場合を見てみよう。まず第一に,選挙は単なる数あわせではないことが挙げられる。本人票14万票+山本太郎票66万以上を期待していたようだが,前回は民主党への絶望感が強かった。鈴木寛氏のような学者などはもろに影響を受けた。つまり裏を返せば,絶望感が山本票を伸ばしたのであるから,今回はそれ以上期待してはいけなかったのである。

  第二に,三宅氏は音楽家である。しかし裏で奏であるバンド演奏は多くの都民に共感を得るものではなかった。鹿児島の補選でも有望な人材を当選させることが出来なかったが,やはり演奏が県民の共感を引き起こさなかった。
  外国のミュ-ジシャンからの激励のメ-ルを紹介していたが,その道の専門家,あるいはファンしか知っていないミュ-ジシャンであった。独りよがり。
  もし音楽で演説を盛り上げるのなら,『青い山脈』を唱えば良かった。歌声喫茶で一番人気のあるこの歌を演説の途中で唱えば,創価学会のおばちゃんも和して唱ったかも知れない。創価学会には箝口令が敷かれていて息苦しくなっていると訴えた学会員もいたが,これはヤラセであろう。票には結びつかない。

  昔,海外の大使館で中曽根首相主催のパ-ティに招待されたことがある。安倍外務大臣は,腹痛のため欠席したが,中曽根首相は挨拶の途中で「ふるさと」を唱いましょうと言って,その場を和ませ,パ-ティを盛り立てた。

  三宅氏の演説場面で,みんなで唱いましょうという部面はあったのかどうか。自分の言いたいことだけを言っていたのではないだろうか。
  票をいただくには,共感が必要である。いくら多くの聴衆が溢れようと,共感が得られない演説は選挙戦術としては下の下。
 吉永小百合の青春歌でもいい。みんなで一緒という雰囲気を醸し出せなかった三宅氏の選挙戦術は失敗だったと言わざるを得ない。

  第三に,具体性の欠如。山田元農相のTPPに関する演説には,参った。小生は山田氏の人格高潔さや知識の広さには感心するが,彼の演説内容では投票に行くという意欲が湧かない。
  TPP文書の頁が6300もあるとか,第何条第2項にはこう書いてあるなどと,やたら詳しい。専門家にはこれで通じるとしても,「たまの日曜日には家で休ませろや」という労働者を投票に向かわせることは難しい。
  吉田党首に到っては,憲法を護るしか言っていない。集団的自衛権によって自衛隊員はもちろん,18歳以上の若者は米軍と一緒に戦って腕や足を無くしたり,死んだりすることがあると,訴えない。具体性がない。

 まとめになるが,次期衆院選は近い。来年夏である。備えあれば憂いなし。問題はその備えである。
  アベノミクスが何と言われようと,「道半ば」といわれようとも河野氏も指摘したように,失敗したのである。しかしアベノミクス失敗だけでは投票所に行く気がしない。生活苦を具体的に訴える必要がある。
  給料は上がらず,消費増税により,おかずの量を減らさざるを得なくなった。子供達に食べさせる量が減った。だから,安倍政治にノ-と言おう,簡単に訴えた候補者はいたのだろうか。
 
 TPP反対なら,TPP加盟の恐ろしさを具体的に言わねばならない。TPPに加盟すれば,安い,安い豚肉が入ってきますよ。但し,ホルマリン漬けです。皆さん,ホルマリン漬けの安い豚肉を食べましょう。だからTPPに賛成の安倍首相を応援しましょう,ぐらいの演説が必要であろう。
 遺伝子組み換えの大豆納豆も安くて美味しいですよ。半年も食べ続ければ,病気になります(科学的には実証されていないかもしれないが,日本人はきまじめすぎる。モンサント社は3ヶ月の動物実験で何も問題なかったと言っているが,4ヶ月後に症状が現れたことについては何も言っていない)と訴えた野党候補者
はいたのであろうか。

 尊敬する一人,小沢一郎氏の国民皆保険演説も及第点すれすれ,どちらかと言えば落第点。アメリカ合州国では人口3億人の内,5000万人が保険に入っていないと,訴える。
 その事に間違いはないが,元アイドル榊原ルミ氏のようにアメリカ生活をやめて日本に戻ってくる人も少なからずいる。つまり,保険料が高いことに苦しむ人もいる。したがって5000万人だけでなく,家族も含めて1.5億人,国民の半分が高い治療代を払うことができないか,苦しんでいることになる。
 まとめて言えば,米国3億人のうち,約半数のアメリカ人がまともな治療を受けられない,ということになる。
TPPに加盟すれば,そういう時代が来る。皆さんは,TPP賛成の安倍政治に賛成ですか,と訴えれば良かった。それが小沢氏の場合,国連中心主義を他候補の応援なのに,訴えていた。的外れ。
 
  2017年の来夏の衆院選はTPP加盟,集団的自衛権でそれを認めるのか,どうかを争点にしたい。
  原発ゼロは望むところだが,治療方法がない限り多くの人が放射線障害に苦しみ,ガン(癌)になり死ぬ。しかし原発ゼロだけでは投票所へ足を向かせることはできない。
  ましてや2020年までのプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化が遠のく,なんて訴えても,今まで行かなかった人が突然投票所へ行くことはないだろう。
  三宅氏を始め,真の野党候補は,来る衆院選に備えて,具体的に訴える争点を明らかにし,備えていただければ幸いである。

追加: 投票に行かない人は減らない。その理由は上の候補者の欠点以外にもある。それは国会の運営の問題である。
 与党多数の中で,野党が抵抗する姿が見えないのである。礼装の一つである喪服を着ることなどまだ序の口。
 棄権する人は見ている。牛歩戦術もない。審議拒否もない。審議ストップもない。小池共産党議員の質問は鋭いが,審議ストップにならない。自分の言いたいことだけを言っている感じ。
 議事録が改竄されたら,国会審議停止だろう。京都の福山議員のように,「ケンカをしない」議員もいる。これでは,何を言っても,投票に行っても正義はなされない。そう感じている有権者≒棄権者は多い。旧社会党の,楢崎議員のように,せめて審議ストップ男がでてこない限り,棄権者は投票所へ向かわない。

 昔は,机を放り投げるハマコ-議員もいた。現行は福山議員のようなお行儀の良い野党議員ばかり。髭の議員に対抗できる野党腕力議員もいない。これでは演劇としては面白くもない。「怒らない」野党に投票しても面白くない。 
  与党は,憲法無視。ドリル議員,破廉恥議員,睡眠障害議員,公職選挙法違反議員など盛りだくさん。衆議院や参議院に「見識・良識(Bon Sense)」など無い。皆無。
 棄権者の多くはこういった議員たちに「怒り」を感じている。しかし残念ながら,こういった議員を辞職に追い込まないで審議に埋没する野党議員など,面白くもない。そういう声なき声に応える野党議員が現れることを期待したいしつつ,「怒りを込めた」皆様が2017年の来たるべき衆院選に備えることを願ってやまない。
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秋田久保田藩の件について (箒川 兵庫助)
2016-07-12 10:37:43
偶然(テンドン)様
久保田藩の件,ありがとうございました。
道理で自民党が強いわけです。理解いたしました。
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