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世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

“不法に払わない人々” “合法に払わない人々(企業)” どちらが重罪?

2012年04月10日 | 日記

 

取り返しのつかないものを、取り返すために――大震災と井上ひさし (岩波ブックレット)
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“不法に払わない人々” “合法に払わない人々(企業)” どちらが重罪?


 今日は9時からダルビッシュのMLB初登板を観なければならない。理屈抜きに、日本のプロ野球のエースがMLBで通用するか、意味もなく確認しようと思う。先発6回2失点くらいが、合格点だろう。新聞はたまにしか買わないのだが、最近は東京新聞を購入する癖がついてきた。(笑)何気にコンビニで新聞を購入しようとしたが、全部売り切れ!すわ、何者かの陰謀!などと思ったがさにあらず単なる休刊日だった。なんとなく活字が読みたい心境だったので、週刊誌の棚を覗く。1冊だけ残っていた“週刊ポスト”を購入。“新潮と文春”は山のように残っていたのが印象的。

 “週刊ポスト”の小沢関連記事は多くのブロガーが注目するだろうから、違う記事に注目してみた。ひねくれた者の典型的行動パターンだ。(笑)そこで目についたのが「払わない人々が日本を滅ぼす」と云う仰々しいタイトル。中身は“給食費、奨学金、医療費ほか”を払わない日本人の話だ。シングルマザーと同棲した男の話だが、住民票を移動させない知恵で、住民税は払わない。下請け業をしているが、届け出もしていないので幽霊自営、女房は近所のスナックでバイト。「カミさんは身体が弱くてあまり働けないということで生活保護を受けている。……うちは税金や保険料なんか一切払っていない。こういのがないと生活はかなり助かるよ」まるでうまく節約をしているかのように誇らしげに語るそうだ。風邪をひいた時は、知人に謝礼を出して、健康保険証を借り受けるそうである。

 上述のように、嗜好や娯楽、外食には金を払うが、税金や公共サービスに金を払うのは損と決めつけている人が結構多い。数年前から社会問題になっているのが“給食費未納者”だ。未納額は全国で26億円に達しているらしい。生活困窮の為に支払えないと云う問題だけなら、手の打ちようもあるのだろうが、「義務教育ですか授業料はタダじゃないですか。それなのに給食費だけよこせというのは。おかしな話ですよね。住民税はきちんと払っているのだから、足りないならムダな公共事業を減らして、そちらで賄うべきじゃないでしょう」と理路整然と語る親もいると云う。認可保育園の保育料未納も83億円にのぼるそうだ。行政では、悪質滞納者といわず“誠意のない滞納者”と及び腰である。

 日本学生支援機構によると、奨学金滞納は2660億円にのぼる。この奨学金を受けられる学生の多くは、向学心と能力の評価がある筈なので、それなり卒業後の生活も成り立っている筈なのだが、払いたくない人がいるようだ。既に、クレジット利用などに支障が出る、信用情報機関のブラックリストに1万人以上が登録済みだそうである。払わない人々の話は、まだまだ続く。“医療費踏み倒し”も急増中とか。主な病院団体の合計でも未収額は136億円に達している。本来、保険証を窓口で提示するので、常識的には逃げようがない。しかし、場当たり的に払いたくない人々が存在するようだ。外来はまだしも、入院費や出産費用を払わないケースも増えていると云う。

 10年度の国民年金保険料未納率40.7%、国税・地方税・国民健康保険料の滞納額5兆円を超えている。なんと5兆円といえば、今大騒ぎの消費税の2%に相当する。ちなみに生活保護受給者209万人を突破、生活の困窮も重大な問題だが、弱者を装う輩が増加しているのも、忌々しき現実なのだろう。このような現象をモラルの低下だとひと括りにするのは乱暴だが、野田首相の大好きな「絆社会」が崩壊した為に起きている社会現象だともいえる。勿論、国民年金の未納率問題は、あきらかに政治政策マターなので、ここで論ずるのは筋違いな部分もある。

 以上、週刊ポストの記事を参考に書き連ねたが、この記事を読んでいて、もっと重大な“払わない人々”にスポットを当てないと不公平な気分になってきた。田中康夫の企業の7割、連結決算大企業66%が法人税をおさめていない、という表現は大袈裟だが、租税特別措置や輸出戻し税などの優遇税制で、税金を合法的に逃れている企業群が多いのは事実だ。週刊ポストが糾弾するセコイ国民の話ではなく、れっきとした大企業群と霞が関官僚の護送船団方式による“日本株式会社”の“落としご税制”と言っても過言ではない。彼らは、セコイことも不法もしていない、国家公認での節税なのである。

 経団連の米倉爺は法人税が高い!これじゃ日本の企業が海外流出だ。評論家たちも、こぞって同様の事を言う。しかし、現実に海外に出てゆく企業の主たる要因は、現地の需要市場を求めて出て行っているわけで、税金が高いからではない。意図的に抜き出すと、住友化学が良い例だ。この米倉の会社であり、TPPでモンサント結託し、日本の農業を麻薬(除草剤)漬けにしてしまおうと云う魂胆なだけではなく、今現在も飛び抜けた低率の法人税で、この世の春を愉しんでいる。この住友化学の場合、「ナフサ租特」3.7兆円の免税を受け、トータルの法人税は17%以下と云うのだから、呆れてモノも言えない。アノ爺さんは極悪人ですよ!

 また、法人全体の税が40%だと云うのに、財界系企業は押し並べて30%なのだ。これはどう云うカラクリだ?そもそも、未だに重厚長大産業や財界系企業に有利な税制自体が時代遅れなのである。テクニカルな税制について論ずるほど知的フィールドがないので、適度に切り上げるが、“第2経団連構想”産業がこれからの日本の内需を支えるわけであり、労働集約性が強い産業の保護で生きて行く時代は、遠の昔に終わっているのに、未だに新日鉄の会長三村が、「総合資源エネルギー調査会」で委員長になり、経産省事務局べったりの議事を進行すると云う傍若無人を平気で行える姿をみると、まだまだ改革し、無駄を省くところが多いのが、日本の税制であり、既得権の総ざらいであり、霞が関と時代遅れな企業群の整理統合が必要なのだと思う。

 大企業、輸出戻し税、ナフサ租特等々を平均的扱いにすれば、今でも25%前後の法人税に直ぐできる。これらが出来ないのは、官僚組織と大企業の長らく続いた悪癖税制に依るものである。また、企業における欠損金の繰り延べ償却7年やM&Aによる赤字企業買収による税逃れなど、考えるべきことは山ほどある。売り上げの総額に課税する外形標準税と云う税制も当然考えるべきである。そういえば、社会保険料の捕捉率も相当低いようだ。ポストが特集する“払わない人々”が町中に溢れていると云う問題も倫理道徳上忌々しいが、それ以上に合法的に“払わないで済む人々(企業)”がデカイ顔をする世の中自体、これこそが、忌々しき大問題なのかもしれない。その歪みが、国民にも伝播している所為だと云うのは多少飛躍があるかもしれない(笑)




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