●政治に期待しない国民 自民圧勝、いいんです、スマホさえあれば
日経・読売、朝日の選挙情勢が公表された。これにNHKの政党支持率を重ね合わせると、これらの調査結果が、今回の衆議院選挙序盤の情勢と考えて間違いなさそうだ。“大山鳴動して鼠一匹”以下の結果を目撃しそうな按配だ。
マスメディアは期せずして、自民公明、希望維新、立憲社民共産の三つ巴などと云う3極構図を有権者に提示しているが、この報道は、あきらかにフェーク報道である。希望の小池も、維新の松井も、自民党や安倍晋三のシンパなのだから、自民公明希望維新vs立憲社民共産の2極構図と報道すべきである。このように報道していれば、多勢に無勢と見るか、弱者救済に回るか、そういう情感をくすぐる可能性もあったが、ありもしない極を増やすことで、三つ巴と云う耳障りの良い局面を作り上げた。
希望や維新などと云う気味の悪い政党を支持するくらいなら、やっぱり寄らば大樹の陰、腐っても鯛とばかり、自民党になびくのは当然だ。日銀が、投信を買いまくり、日経平均を最高値に押し上げている。この株価の上昇も、アベノミクス効果と勘違いする人々に好影響を及ぼしている。企業業績を上げることで、税収増に繋がっているのも事実だが、国家あげての、金融緩和と財政出動は、ねずみ講のようなもので、誰が最後にババを引くと云うチキンゲームな事実関係に目が向けられることはない。
気が遠くなるほど先の話だろうが、その阿鼻叫喚な日本の現実は必ず訪れるに違いない。ただ、若い世代に自民や希望支持が多いところをみると、あと20年間くらい誤魔化しにごまかしを重ねるのかもしれない。団塊世代がこの世にいなくなった頃に、日本人は傷み切って、デフォルトした国家と警察監視社会を目の当たりにするのかもしれない。まぁその頃には、墓場に埋もれているか、場末の老人ホームにいるだろうが、見たくはない光景である。しかし、間違いなく訪れるだろう。
日本の自衛隊が、米軍と同化して、米軍の手先として戦場に赴き、累々の屍を見せつけるかもしれないが、これも国民の選択なのだから、致しかたがない。嬉々として、美しい戦場に向かっていただこうではないか。緊急事態条項が制定されても騒がないだろう。メディアリテラシーが云々と言っても、多勢に無勢の状況では、これに打つ手はない。徴兵されたり、家家や田畑を取り上げられた時、そのとき、あの時野党が騒いでいたのは、こう云うことだったのかと気づくのが関の山である。それもこれも、現有権者が望むのだから、誰も恨むことは出来ない。
日本国民の身近には政治が不在なのだ。或る意味で、政治が身近でないことは、世の中が平和で豊かと云うことだ。安倍自民党政治が、国民や国家のために、良い政治をしているからではなく、戦後の日本人や政治家が、それなりに努力した結果の蓄積のお蔭だろう。日本の富も、その蓄積と共にある。しかし、近い将来、その蓄積は消えるのだが、それに気づく感受性は、わが国民にはないかもしれない。徐々に消えてゆく富も、平和の価値も気づかずに、貧困と殺りくに慣れ親しむに違いないのだ。
所詮、民主主義などと云うものは、この程度のものだと思えば、特に驚きに値しない。まぁ、日本が滅茶苦茶になる前に、大元のアメリカと云う国がハレーション起こしてくれることを祈るのが、最も日本を救う最大のテーマ、或いは希望、早道と云うのは、斬鬼の極みだ(笑)。
*仮に、現状の日本の政治状況に一条の光を見出すとするなら、立憲民主党と共産党の矜持だろう。最低限のリベラル派や左翼が、息も絶え絶え生息していることだ。判官びいきと云う歴史的矜持も生きているのが救いなのか?選挙戦終盤に、再度政局を語ることもあるだろうが、おそらく変らない話をすることになりそうだ。
≪ 与党300議席に迫る勢い 衆院選序盤情勢
自民、単独安定多数も 希望は選挙区で苦戦

日本経済新聞社は第48回衆院選について世論調査を実施し、公示直後の序盤情勢を探った。それによると、衆院定数465議席のうち、自民、公明両党で300議席に迫る勢いだ。自民だけでも安定多数の244議席を上回る見通しとなっている。小池百合子東京都知事が立ち上げた新党「希望の党」は選挙区で苦戦し、比例代表と合わせても70議席程度にとどまるとの結果になった。
調査は10~11日に日経リサーチが電話で実施。小選挙区で28%、比例代表で19%が態度を決めておらず、22日の投票日まで流動的な要素は残る。
公示前は定数475議席のうち290議席だった自民は、希望が勢いづけば大きく減らすとの見方があった。だが情勢調査で自民の議席獲得が「有力」または「優勢」となったのは、小選挙区(定数289)で約200議席、比例代表(同176)で約55議席だった。
青森、富山、鳥取、島根、山口、徳島、宮崎の7県では全選挙区を独占する勢いを示した。劣勢とみられた東北や東京などでも有利な戦いを進めているようだ。衆院解散後に民進党が希望や立憲民主党などに分裂。野党の候補者を一本化できたのが約60選挙区にとどまったことが、自民を利することになりそうだ。
公明は公示前の34議席の確保にめどがつきそうだ。自民、公明を合わせ、衆院で与党がすべての常任委員長のポストを独占して安定的に運営できる「安定多数」を上回る勢いで、憲法改正の国会発議に必要な3分の2以上の議席もうかがう。
首相は「与党で過半数の233議席」を勝敗ラインに掲げた。自民内では、自民単独で過半数を取れなければ首相の責任論が浮上するとの指摘もあったが、いずれのラインも上回りそうだ。
公示前57議席の希望は、代表の小池氏が地盤とする東京でも当選が有力または優勢なのは全25選挙区のうち3議席。全国的にも民進出身者を中心に30議席弱と、選挙区での苦戦をうかがわせる結果だ。政権交代が可能な過半数からは遠く、比例代表を含めた約70議席からどこまで上積みできるかの勝負になりそうだ。
立憲民主は民進出身者を軸に小選挙区で10議席超、比例代表で30議席超の当選が有力または優勢とみられる。公示前の15議席から伸び、第3党をうかがう勢いを示した。
公示前は21議席だった共産党は20議席弱が、14議席だった日本維新の会は地盤の大阪を中心に約10議席が確保できそうな結果だ。社民党は1議席を確保できそうだが、日本のこころの議席獲得は難しそうな気配だ。
無所属では、希望に合流しなかった民進出身者を中心に、選挙区で30議席弱の当選が有力または優勢との結果になった。
今回の衆院選は「自民・公明」「希望・維新」「立憲民主・共産・社民」の3極が争う構図で注目されている。
調査結果では、自公が各選挙区で底堅さをみせる一方、希望の伸び悩みが浮き彫りとなった。共産などと協力する立憲民主が手堅く戦う様子もうかがえる。
475だった衆院定数は465に減る。「1票の格差」を是正するため、小選挙区の定数を6県で各1減し、比例代表の定数も4減した。
調査は日経リサーチが10~11日、乱数番号(RDD)方式により電話で全国の有権者約13万人を対象に実施し、約7万8千人から回答を得た。有効回答率は60.1%。
【調査の方法】 調査は読売新聞社と協力して実施した。基礎データのみ両社で共有し、集計、分析、記事化はそれぞれが独自にした。
有権者への電話は日経リサーチが10~11日、乱数番号(RDD)方式で無作為に選んだ全国の有権者13万229人を対象にかけた。全国で7万8285人から有効回答を得た。回答率は60.1%。
政党別の獲得議席数は、過去の調査と投票結果との関係から予測モデルをつくり、シミュレーションで獲得する可能性のある議席の幅を推定した。この結果に全国の本社取材網による情勢判断を加えて最終的な予測議席数とした。 ≫(日経新聞)
≪自民堅調、希望伸びず立憲に勢い
朝日新聞情勢調査概況
22日投開票の衆院選について、朝日新聞社は10、11の両日、4万人以上の有権者を対象に電話調査を実施し、全国の取材網の情報も加えて選挙戦序盤の情勢を探った。現時点では、①自民党は単独過半数(233議席)を大きく上回りそうで、小選挙区・比例区とも堅調②希望の党は伸びておらず、代表の小池百合子都知事のおひざ元の東京でも苦戦③立憲民主党は公示前勢力(15議席)の倍増もうかがう勢い――などの情勢になっていることが分かった。
調査は10~13日の日程で実施。10、11両日は、全289小選挙区の中から、全国の「縮図」となるよう選んだ約半数の小選挙区の有権者を対象とし、11日時点での概況を読み取った。調査時点で投票態度を明らかにしていない人が小選挙区で4割以上、比例区でも4割近くおり、今後、情勢が大きく変わる可能性もある。
自民は現時点で、公示前勢力(284議席)を上回るかは微妙だが、小選挙区では200議席を超え、比例区も前回2014年衆院選で獲得した68議席の確保をうかがい、単独過半数を大きく上回りそうだ。野党の投票先が、希望や立憲などに分散していることが背景にある。
公明は共産と競り合う選挙区もあり、公示前勢力(34議席)を確保できるかどうか。
希望は、小選挙区、比例区ともに追い風が吹いていない。公示前勢力の57議席を上回る可能性はあるが、比例区では小池代表の地盤である東京ブロックでも、立憲と競り合っている状況だ。
立憲は、勢いでは希望をしのぐ。比例区では北海道ブロックで自民と、南関東、近畿などのブロックでは希望とほぼ互角の戦いを展開、希望に迫る議席を確保する可能性もある。
共産は小選挙区での議席獲得も視野に入るが、公示前勢力(21議席)を確保できるかどうか。日本維新の会も公示前勢力(14議席)の確保をめざし、比例区の近畿ブロックでは自民に次ぐが、大阪以外の広がりが見られない。社民は公示前勢力(2議席)の維持に懸命だ。
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調査方法 10、11日の調査は、全289小選挙区から、全国の「縮図」となるよう統計的に選んだ約半数の144小選挙区の有権者を対象に、コンピューターで無作為に作成した固定電話番号に調査員が電話をかけるRDD方式で実施。そのうえで選挙区の調査結果を約2倍し、比例区では各地域の有権者数などを勘案して全体の情勢を推計した。
縮図として選んだ約半数の選挙区は、過去の衆院選での各党の獲得議席数、地域的なバランスなどを考慮。激戦などが予想される注目区でも、10、11日では必ずしも調査対象になっていない選挙区がある。
各選挙区の有効回答の目標数は300。有権者がいる世帯と判明した番号は全国で計7万5190件、有効回答は計4万2746人。回答率は57%。
≫(朝日新聞)