世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●何が起きたのか? 泉田「自殺しません。遺書があっても…」

2016年09月01日 | 日記
日本はなぜ脱原発できないのか: 「原子力村」という利権 (平凡社新書)
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●何が起きたのか? 泉田「自殺しません。遺書があっても…」

 奇妙奇天烈な政治シーンが、新潟県泉田知事を中心に突然のように起きた。ほぼ4選確実と見られていた泉田知事が、後援会のホームページ上に、10月16日投開票の知事選への立候補を撤回すると、突如表明した。新潟日報と泉田知事は、県第三セクター「新潟国際海運」のフェリー問題を厳しく追求するルポ記事を報じていたようだが、筆者は寡聞にして、そのバトルそのものは、まったく知らなかった。日刊ゲンダイの記事及び泉田氏の主張、新潟日報の主張を先ずは確認したい。


 ≪ 反原発のシンボル 泉田新潟知事が突然「出馬撤回」の背景
 原子力ムラはニンマリだろう。4選出馬を表明していた泉田裕彦新潟県知事(53)が30日、突如文書で“出馬撤回”を明らかにした。柏崎刈羽原発の「再稼働」を認めず、“反原発”のシンボルになっていた泉田知事に何が起こったのか。
 この半年間、泉田知事は新潟県が出資する第三セクターの子会社によるフェリー購入をめぐり地元紙の「新潟日報」と対立。泉田知事は、出馬撤回の理由を「臆測記事や事実に反する報道が続いた。このような環境の中では十分に訴えを県民に届けることは難しい」としている。
 地元紙からの攻撃だけでなく、新潟県内では“泉田包囲網”が出来上がっていたという。 「新潟日報は今年に入ってフェリー問題をしつこく批判していました。新潟日報は泉田さんの政治手腕に疑問を持っていたようで、社内には“泉田嫌い”が蔓延していたといいます。新潟日報には東電が広告を出していた。さらに、今月には泉田さんと近い自民党県議が県連会長を辞任している。泉田さんは嫌気が差したようです」(新潟県庁関係者)
 泉田知事の出馬撤回によって10月に行われる新潟県知事選は、すでに出馬を表明している全国市長会長の森民夫長岡市長(67)の当選が濃厚となっている。安倍官邸と近い森市長が知事に就いたら柏崎刈羽原発を再稼働させるのは間違いない。
 泉田知事という“反原発”のシンボルを失った「反原発派」からは、森市長の対抗馬として地元出身の森裕子参院議員や田中真紀子元外相の出馬に期待する声も上がっているらしいが、肝心の民進党は対立候補を立てるつもりがないようだ。
 原発問題に詳しいジャーナリストの横田一氏は言う。 「泉田知事と同じ経産省出身の古賀茂明さんにも待望論が出ていると聞いています。いずれの候補を出すにしろ、野党が協力しなければ勝つことは難しい。ここで協力できなければ何のための野党かと批判されても仕方がありません」
 東電の高笑いが聞こえてくるようだ。  ≫(日刊ゲンダイ)


≪ 泉田裕彦・新潟県知事が4選出馬を撤回。新潟日報批判で「東電との関係」に言及(UPDATE)
・新潟県の泉田裕彦知事(53)は8月30日、次の知事選(10月16日投開票)への立候補を撤回すると、後援会のホームページで明らかにした。
・泉田氏はホームページに掲げた文書の中で、地元紙・新潟日報社の報道を強く批判した。最も強調したのは、「日本海横断航路」に関する内容だった。
・新潟県が出資する第三セクター「新潟国際海運」は、新潟と極東ロシアを結ぶ航路を開設するため、韓国の企業からフェリーを購入する契約を結んだ。しかし、船の整備状態に問題があるなどの理由で、三セク側が受け取りを拒否。韓国の企業から残金約1億6000万円の支払いを求められるなどのトラブルになっていた。
・泉田氏はフェリー購入の判断について「事前に県側に報告はなかった」と議会などで答弁しているが、新潟日報は7月から8月にかけて、県側が購入判断に関与していた可能性を報じていた。県側は計9回の申し入れや抗議文を新潟日報に送っている。
・これについて泉田氏は文書の中で「再三の申し入れにもかかわらず、訂正や説明もなく、最近まで県から申し入れがあった事実も報道してもらえませんでした。 (中略)このため、県が組織的に虚偽答弁をしているのではないか等の誤った印象が形成されている」と新潟日報を強く非難した。
■福島第一原発「メルトダウン隠し」東電に厳しい姿勢
・泉田氏は経済産業省職員を経て、2004年に自民、公明の推薦を受けて知事選に初当選し、現在3期目。
・大きく注目を浴びたのは、福島第一原発のメルトダウンを巡る、東京電力への厳しい姿勢だった。東電が求める県内の柏崎刈羽原発の再稼働について、泉田氏は「福島の事故の検証と総括が先だ」と認めてこなかった。
・その発端になったのは、福島第一原発事故から7日後の2011年3月18日。泉田氏は柏崎刈羽原発の関係者を呼んで福島の状況説明を受けたが、メルトダウンについて「可能性を含めて認めなかった」ことを問題視した。新潟県は独自に「技術委員会」と呼ばれる有識者会議で福島の事故の検証を続け、技術委は東電に再調査を要求。東電は当初、メルトダウンについて「定義されていなかった」と説明していたが、2016年6月、「メルトダウンの判定基準が社内マニュアルに明記されていたが、5年間その存在に気づかなかった」と発表し、謝罪した。
・泉田氏の8月30日の文書では、新潟日報社の原発報道を巡る姿勢も批判している。
・東京電力の広告は、今年5回掲載されていますが、国の原子力防災会議でも問題が認識されている原子力防災については、例えば、県が指摘している現在の指針に従えば避難が必要になったときにはUPZ圏内の住民40万人強を2時間で避難させなければならなくなる問題等県民の生命・健康を守るうえで重要な論点の報道はありません。このような環境の中では、十分に訴えを県民の皆様にお届けすることは難しいと考えています。(いずみだ裕彦 後援会Webより 2016/08/30)

・新潟日報は1942年誕生の地元新聞社。朝刊発行部数は約50万部、新潟県内の普及率は約63%で県内トップとしている。ハフポスト日本版は、新潟日報社に見解を求めた。 【UPDATE】2016/08/30 18:55
・新潟日報社は8月30日、「明日の紙面で明らかにします」とのコメントを出した。新潟県外に住む人に向けての対応を求めたところ、担当者は「今日の時点では、これ以上でも、これ以下でもありません」と回答した。  ≫(The Huffington Post | 執筆者: 吉野太一郎 )


 ≪ 新潟日報「正当な記事へ圧力」 泉田裕彦知事に反論【全文】
・新潟県の泉田裕彦知事(53)が8月30日、次の知事選(10月16日投開票)の立候補を撤回することを表明した。泉田知事が出馬しない理由の中で、県出資の第三セクター事業を巡る地元紙・新潟日報社の報道を強く批判したことに対し、同社は31日付朝刊に反論を掲載した。
・新潟日報は「正当な記事へ圧力」とのタイトルで、服部誠司編集局長名で見解を表明。「新潟日報社の社会的信用・評価をおとしめる行為であり、断固として抗議します」と真っ向から反論している。次に全文を紹介する。

 ≪≪正当な記事へ圧力
本社執行役員編集局長 服部誠司
服部誠司本社執行役員編集局長の見解

・泉田裕彦知事が知事選から撤退する理由として本社の報道を挙げたことは、報道機関に対する圧力にも等しく、許しがたい行為と言うほかはありません。県が主導する日本海横断航路計画問題に関する一連の報道は、綿密な取材と事実に基づくものです。これらの正当な記事に対し、知事や県はあたかも誤報であるかのような印象を抱かせる一方的見解を公的機関である県のホームページ等で公表してきました。新潟日報社の社会的信用・評価をおとしめる行為であり、断固として抗議します。

・知事は今回、本紙原発報道に対しても県民の生命・健康を守る上で重要な論点の報道はないと批判しましたが、これも全くの事実無根です。新潟日報社の原発報道は一貫して県民の安全を最優先に取り組んでいます。

・新潟日報社の基本姿勢は紙面を通じて県民、読者に真実を明らかにすることです。知事は県民に対し、知事選から撤退する真の理由をきちんと説明すべきです。新潟日報社は、横断航路問題や福祉・医療4計画未策定問題も含め、県民のために真相を解明するため、県に徹底した情報公開を求めていきます。  (正当な記事へ圧力 新潟日報モアより 2016/08/31 09:00) ≫≫

・新潟日報はこれまで、県出資の第三セクター「日本海横断航路」で使うフェリーの購入を巡り、第三セクター側と売り手の韓国企業の間で起きた売買契約 のトラブルについて、泉田知事が「船の選考作業が進展している事実は把握していた」などと報道してきた。これに対し、県は「知事には契約後に報告があった」と再三同社に訂正を申し入れ、泉田知事も会見などで批判していた。

・泉田知事は30日に記者団の取材に応じ、新潟日報の報道について「事実と異なる報道の修正を求めてきたが、残念ながら訂正も説明もしてもらえなかった」と述べた。さらに「県からの情報が出ていかない環境のなかで、県民の皆さんに正確な訴えを届けるのが難しいと判断した。県の職員にも大きな影響が生じるので、立候補を取り下げたい」と述べた。

・産経ニュースは、泉田知事の立候補取りやめの理由が異例とし、さらに「報道への不満を出馬の撤回につなげるという現職知事の前代未聞の行動は、さまざまな議論を呼びそうだ」と伝えている。
 ≫(The Huffington Post | 執筆者: 中野渉 )


 正直、新潟日報の県第三セクターのフェリー購入の失敗。そしてその損失額や、県側が事前に知っていた、知っていなかったと云う“押し問答”の一種なわけだが、県政レベルでは重要な問題であるかもしれないが、全国レベルでは、「どうでも良いじゃないのか?そんなこと」、と云う印象があるので、余計に違和感が残る、泉田知事の出馬取りやめだ。全国レベルで把握する限り、泉田新潟県知事は、“反原発のシンボル”と云う評価があっただけに、反原発な考え方の人々から見れば、県第三セクターのフェリー購入の失敗云々で、侃々諤々になること自体、奇妙に思えてくる。まあ、泉田知事にとっては、名誉の問題があるとしても、全国レベルでは埒外の、立候補取りやめに思える。

 事実、筆者も、たかが、第三セクターのフェリー購入云々の経緯など、あざ笑えば良いのではないかと思うが、県レベルでは、重要な問題であったのかもしれない。また、福島原発メルトダウン以降の、泉田知事の反原発姿勢は、再稼働をもくろむ、東京電力と安倍官邸にとっては、泉田新潟県知事は、“獅子身中の虫”のような存在でもあっただろう。鹿児島県知事に三反園氏が当選したこととも相俟って、新潟、鹿児島から「反原発運動の再点火」などが起きることは、電力会社全体も、総裁任期延長を企てる安倍官邸にとっても、邪魔以外の何者でもない泉田知事であっただろうことは、想像に難くない。

 泉田知事は、多くのネットメディアの寵児でさえあった。反原発のシンボルでもあり、発言の中には「僕は自殺しませんから。遺書が残っていても、自殺ではない……」と云う、キナ臭い発言をもろともしない、武闘派的色彩まで帯びた知事だった記憶がある。あの知事が、“第三セクターのフェリー購入云々”に対しての、新潟日報の“ネガキャン”くらいで根を上げると云うのは、かなり納得出来ない。正直な感想は、もっと裏があると云うことになる。絶対に、他の理由が存在する。一番、疑わしいのが、裏社会からの具体性を伴った生命を脅かすような恫喝があったのでは、と云うことだ。電力業界と云う国策産業には、当然のように、モロな暴力装置が“もれなくツイている”のだから、現実的だ。

 もう一つ考えられるのは、新潟県内においては、泉田県政に対して、原発問題以外の、他の県政における行政手腕に疑問符がついていた可能性だ。この場合、あらゆる分野から、「泉田知事は、もう沢山だ」と云う機運が生まれ、所謂「泉田包囲網」が、銭金、時間、権力を通じて、構築されていった可能性だ。もしかすると、前者と後者の事情が重なりあい、複合的な逆風が、泉田知事に襲い掛かっていたと云う事も考えられる。まあ、現時点では、これ以上の推測を重ねても、あまり意味がない。しかしだ、出来ることなら、「安倍官邸」「経団連」「原発村」や「経産省」に立ち向かう“反原発な候補者”が出てきてくれることを祈ろう。安倍官邸お墨付き男の、無投票当選は阻止したいものだ(笑)。

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2 コメント

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Unknown ( 武尊)
2016-09-01 16:37:13
私も何所かに「×すぞ」なんぞと言われたか?と書きました。若しかしたら家族へかな?
Unknown (朴)
2016-09-02 08:01:00
ポイントずれてます。問題は韓国企業への代金支払い。日本側はまたいつもの言いがかりで韓国企業へ金払わない。ちゃんと金払えよ!

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