世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

日中韓FTA、RCEP交渉を急げ 貿易協定とは思えぬTPPの異質性に気づくはず

2013年03月20日 | 日記
チャイナ・ギャップ 噛み合わない日中の歯車
クリエーター情報なし
朝日新聞出版


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●日中韓FTA、RCEP交渉を急げ 貿易協定とは思えぬTPPの異質性に気づくはず

 日本政府はオバマの命令により、TPPへの交渉参加を諾々と表明した。アベノミクスなるものが、当面成功しているように相場を動かすことを米国が保証したのかもしれない。安倍自民への追い風を演出してやると言いながら、TPPへの強制加盟に引き摺りこむ算段なのだが、あろうことか、この成功演出で、既に米国系ファンドが3000億円程度、大儲けしていると云う事実を見聞きすると、米国資本主義がどれ程強欲なものか、推して知るべしである。共同通信が面白い記事を配信している。

≪26日からソウルで日中韓交渉 FTA構築を急ぐ
 中国商務省の沈丹陽報道官は19日の記者会見で、日本と韓国、中国による自由貿易協定(FTA)の第1回交渉会合を今月26~28日にソウルで開くと明らかにした。  沈報道官は「できるだけ早くFTAを構築することは3カ国の共通の利益にかない、地域の平和と発展にも有益だ」と述べ、早期締結を目指す考えを示した。
 日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加表明で、中国はアジア太平洋地域の自由貿易圏構築が米国主導で進み、中国が排除されることを警戒している。
 沈報道官は沖縄県・尖閣諸島や島根県・竹島をめぐる日中と日韓関係の緊張を念頭に、交渉が順調に進むためには3カ国の関係の安定が重要であることを強調。「日本や韓国とともに努力し、早く積極的な成果を挙げたい」と述べた。≫(共同)

 自民党自体が、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の方が日本にとって有利だ、と衆議院選前に野田民主相手に明言したはずだ。この変節が、安倍訪米でなんなく覆ったのだから、オバマの脅しが効いたのだろう。しかし、オバマが、このTPPに関して、全権限を持っているわけではない。むしろ、官僚と議会が具体的協定内容を吟味決定する権利を有している。つまり、オバマが安倍に約束したこと自体が越権と云うか、口先介入である可能性もある。年内の合意を目指しているようだが、まだまだ交渉参加各国との鬩ぎ合いは続いているようで、難産が感じられる。

 TPPより先に、中韓FTA協定が先行するかもしれない。それに引き摺られるかたちで、日本も加わり、日中韓FTA協定に発展する事も考えられる。それとRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の協議が再開されれば、TPPがすべてはないことが日本の国民に理解できるだろう。日本の嘘こきマスメディアは、如何にも自由貿易協定がTPP唯一のような報じ方に徹しているが、さにあらずだ。 RCEPは日本、中国、韓国と東南アジア諸国連合(ASEAN)、オーストラリア、ニュージーランド、インドの16カ国の正真正銘のアジアの成長を相互に取り込む自由貿易協定の枠組みなのである。

 どうして、北米、南米大陸全体とアジアが同一の地域と云う概念が生まれたのか、無理やりこじつけた地域としか言いようがない。EUで塊りを作られ、行き場を失ったアメリカと云う巨人の横車である。まさに、米国の都合である。それも、オバマの応援団である多国籍企業群にとっての利益だと理解して間違いないだろう。それに、チョッとだけ、軍事的意味合いを付加し、中国や北朝鮮の威嚇を殊更に語ったようなものである。

 多少、資料が古いので数字に誤りがあるかもしれないが、日中韓FTAだけでも15億人の市場とGDP計14兆ドルが見込まれる。TPPは7億人市場でGDP計20兆ドル。現状の数字はそれなりだが、衰退の巨人を抱えるだけで、成長性ゼロなのである。その米国主導で、親分づらした上に、紛争解決は米国支配下の世界銀行傘下の紛争裁判所で裁かれるわけで、日本の裁判所同様、不公正・不公平の巣窟に投げ込まれるようなものだ。こんな協定に、飛んで火にいる虫の如く飛び込むのは、安倍晋三くらいだろう。ただ日本の愚民の数も多く、7割がTPP賛成だと云う、馬鹿じゃあるまいに?(笑)

 それに比べたら、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)のスケールはデカイし(24億人市場・GDP計20兆ドル)、将来性を誰もが疑わないのだから、正常な神経の持ち主なら、こちらを選ぶ。野田の馬鹿ものでさえ、RCEPとTPPを同時並行させるつもりだった。RCEPは従来のFTAなどより、貿易の自由化度が高い経済連携の枠組みを目指すことではTPPと同じだ。しかし、目指す自由化度の高さが常識的で、先進国、後進国の特性なども加味している。勿論、米国配下の裁判組織も存在しない。日中韓FTAかRCEPで、関税撤廃対象から除外する重要品目を確保する事で、TPPの強行姿勢には、に整合性の問題があると主張するのは有効だ。

 どの協定にしても、その国独自の多様性を無視して、何でもかんでも米国流の自由貿易の概念を押しつけるTPPは、中国包囲網と云う覇権問題を内包しており、アングロサクソンのアジア支配であり、意地悪に見れば、一部アジアの取り込み協定と見ることも可能だ。TPP推進派は、自由貿易を目指すならTPPしかないと言っているが、RCEPの方が規模的にも、今後の将来性においても、TPPよりも優れている。問題は、アングロ系のオーストラリアやニュージーランドなどが重複しているので、参加国の多様性を認めるRCEPとTPPとの整合性も問われることになる。現在のマスメディアの報道だけを見ていると、TPP唯一の印象だが、日中韓FTA、RCEPもあるわけで、TPPが“唯一神”なわけではなく、日中韓FTA、RCEP、TPPの“多神”の存在を考慮すべきである。

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