エリクソンの叡智 ： #自分が確かにされることアイデンティティとは？ #巨大な誤解の広がりは翻訳者たちの英文読解力と臨床実践力の両方が貧しいから #宝の山と誤訳の山

 

 

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　ここんとこ，Young man Lutherを取り上げてきましたが，西平直さんの翻訳を見たら，こんな大事なところも，やはり？　まともに翻訳できてないのか！！と感じたところがありましたから，そこんとこを，今宵は，翻訳します。ことほど左様に，エリクソンは，誤訳の山の翻訳を読んでも，理解できませんね。だから，宝の山のエリクソンが，生かされずにいるのだとツクヅク感じます。

　こんな大事なところがまともに訳せないのですから，　西平直さんのエリクソン理解も，相当怪しいですよ。mutualityを「相互性」「相互関係」と訳しているところで，エリクソンの神髄を理解していないことの証明です。なぜなら，エリクソンは，mutualityは「特別な意味にしか使いません」と宣言しているからです。それを西平さんも読み落としているからですね。

　Identity and the life cycle p.109　9行目途中から。

 

 

 

 

 

　ここで「自分が確かにされる（アイデンティティ）」という言葉は，１人の人が，フロイトが属するユダヤ民族独自の歴史が育んだ，いろんな独特な価値と結びついていることです。しかし，「自分が確かにされる（アイデンティティ）」という言葉は，同時に，１人の人がその人ならではの発達をする要石と関係します。…ここで考えなくてはならないのは，この「自分が確かなされること」には，１人の人が，その核のところで，１つの集団内で一貫した本質と結びついている，ということです。なぜなら，この一人のフロイト青年は，他の人たちにとって自分が大事な場面で，自分自身になるようにならなければならないからです。この他の人たちも，フロイト青年にとって大事な存在になっているのに，間違いありません。「自分が確かにされること」とは，このように，関わり合うことで互恵的に肯定しあう関係のことです。「自分が確かにされること」は，１人の人が，自分（一貫性のある【訳注：言ってることがコロコロ変わったり，言ってることとやってることが違ったりしない】自分）にウソをつかない，という意味であると同時に，１人の人が，大事な人たちと本質的な特質を分かち合っている，という意味です。

 

 

 

 

 

　このように，「自分が確かにされること（アイデンティティ）」とは，自分と大事な人たちとが，関わり合うことで，互恵的に肯定しあうこと，です。

　日本では，巨大な誤解が広まってしまっていることがハッキリわかりますでしょ。

　それは，エリクソンを翻訳している人達の，英文読解力と臨床実践力の両方が貧しいからです。