プロジェクト○川

学生に本を読んでもらおうという,ただそれだけのはずでした

ストーナー

2017年08月27日 | 本の話
引き続き古新聞から。

7月16日の朝日新聞「悩んで読むか、読んで悩むか」(人生相談と本の紹介のミックス)は斎藤環さんで、「先の見えない不安に押し潰されそう」という49歳の女性に、ジョン・ウィリアムズの『ストーナー』を薦めている。

『ストーナー』は僕も読みました。特に起伏に富んだストーリーというわけではないし、奇をてらった部分もないのに、とにかく強力な訴求力がある小説。僕も途中でやめられなくて、徹夜気味になりました。

斎藤さんはこの小説のことを「平凡な男の平凡な一生」と書いている。農家の息子に生まれた主人公が、農学を勉強するために進んだ大学で文学の魅力にとりつかれ、大学で教えるようになると言う話で(もちろん、そのあとにいろいろある)、僕には平凡とは思えなかったけれど、斎藤環さんのような人と僕で「平凡」の基準が違うのは仕方がないね(笑)。

でも、以下に引用する最後の一節(小説ではなく、回答の方)には、深く共感しました。

ただ、この小説は、私たちには経験を味わうために、「言葉」という精妙な感覚器があることを思い出させてくれます。どんな人生も「不幸」や「不安」といった貧しい目盛りで切り捨てるには、いささか豊かすぎるのです。
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