韓国の文大統領が、慰安婦問題に関する日韓合意を事実上見直すと表明したことを受けて、政府高官が安倍総理が「平昌五輪に行くのは難しい」と述べた、と報道されている。
国内的には、唯一「コワモテ」を保っている対韓国で弱い姿勢を見せるわけにはいかないというところなのだろうけれど、これは国益という観点からは最悪だと思う。
日本の中ではネトウヨやら何とか会議の影響なのか、軍の関与とか朝日が悪いとかいうレベルに矮小化されてしまっているけれど、国際的にみれば、この問題における日本は悪者でしかない。残念ながら。
軍がどこまで関与したかなんていうのは些事でしかない。よほど特殊な例外を除けば、心から喜んで「従軍慰安婦」になる人なんているわけがないでしょう。経済的な条件から「自発的」に志願した人がいたとしても、女性の尊厳を踏みにじるような制度を日本軍が有していたという本質は変わらない。
この問題に関しては、海外のメディアにどんな取り上げられ方をされても、日本の国益にはならない。仮に「従軍慰安婦は全員自発的だったのです」と報道されたとしても、それは同じ。そうなったら留飲を下げる人がいるだろうけれど、その報道を見るどこかの国の人には「日本軍にはそんなものがあり、いまの日本人がそれを否定している」ということが伝わるだけで、日本の印象は悪くなるばかりさ。
ここで日本や安倍が騒げば騒ぐほど、日本の悪評は世界中に広まる。安倍が平昌に行かなければ、その理由が世界中のメディアでガンガン書き立てられて、歴史修正主義者・安倍晋三がクローズアップされることになるだろう。ああ、マリオは歴史修正主義者だった…なんて、東京五輪に向けて最悪の展開じゃない?もっとも、これがきっかけで安倍政権が倒れるのなら、もっと大きな意味では国益につながるのかもしれないけれど…。
冷静に考えれば、この問題を理由とした安倍の平昌不参加はあり得ない。文大統領は、そこまで読んで、このタイミングでの表明を選択したのかもしれない。だとすると、彼は韓国にも足元を見られたということになるね。