プロジェクト○川

学生に本を読んでもらおうという,ただそれだけのはずでした

今日も新書を何冊か

2009年06月26日 | 本の話
ゼミ室にある新書から,ためになったり,強烈な印象を残したりする本を何冊か紹介します.
(前にも書いたことがあるけれど,新しいゼミ生もいるからね)

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神野直彦『財政のしくみがわかる本』(岩波ジュニア新書).

岩波ジュニア新書は中高生向けってことになっているけれど,
その分真剣に書かれているのか,けっこういい本がある.

財政なんていうしち面倒くさいものを細かく書かれても,素人には手に負えません.
いきなり大学の授業で使うような専門書を一人で読もうとするのは無謀というもの.

最初は「ジュニア新書」で十分だし,しかもこの本はすごくいい.
なんといっても,神野先生のハートが感じられます

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小谷野敦『バカのための読書術』(ちくま新書)

これも前に紹介したことがある本ですね.

「バカのための」というタイトルを翻訳すると,
「自分の知識量に批判的な眼を向けられるだけの知性を有する人のための」
となるでしょうか.

たまに学生さんで,自分の知識に妙な自信を持っている人がいます.でも,一定以上の知識と知性がある人は,むしろ自分の知識が不十分であることを強く意識するものです.で,そういう人は,新たな知識を得ることに貪欲になる.もちろんゴールはないのですが,自信を持っちゃった人が伸びないことだけは確かでしょう.

僕が「マンガでいいから世界史を」と言っている理由は,この本で納得してもらえるはず.なお,小谷野さんはかなり強烈な個性で知られている方なので,そのあたりは踏まえて読んで下さい.

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山下一仁『農協の大罪 「農政トライアングル」が招く日本の食糧不安』(宝島社新書)

日本の農政を批判した近年の名著というと,まずは神門善久先生の『日本の食と農 危機の本質』(NTT出版)がありますが,この本もたいへん刺激的です.

きつい指摘が多いし,さすがにそれは言い過ぎでは,と思うことがないでもありませんが,うちの関係者なら,問答無用で読むべきです.

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神足裕二監修『超売れ筋ビジネス書101冊』(朝日新聞社)

これは新書じゃありません.
それどころか普通の単行本ですらなく,ムック(ブックとマガジンの中間)ですけど,ついでに.

いわゆる「ビジネス本」の類を,僕も薦めることはあります.でも,ビジネス本は仕事の役には立っても,人生にの役に立つかどうかというとそれはちょっと怪しい.もちろんいい本はあるし,間接的には人生にも貢献するとは思いますが・・・.

できればゼミ生諸君には,ビジネス本なんて軽く読み飛ばして,いいところだけをゲットして,節約できた時間で文学でも読んでほしいと思います.
(もちろん,「これは」という本を見つけたら,じっくり読めばいいんですよ)

ということで,この本です.タイトルどおりの内容.

これより後に勝間和代さんが同種の本を出したから,こちらはかすんじゃったかもしれない.でも,この本の監修(ってなんだろう)は,西原理恵子との共著『恨ミシュラン』の,「ちょうど一回バレンチノ」でおなじみの,あのコウタリンだ・・・と書いたところで,多分誰にも通じまい(笑).

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なお,良い入門書(新書とかね)の「いちばんいいところ」は,著者の主張よりも,その前提を整理した部分だったりします.

そんなこともあって,「いい本」と薦めているからといって,その著者の主張のすべてに僕が賛成かというと,そういうわけではないんです.

はい,言い訳です.

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最近やたらにブログの更新が多いが,それは僕が暇だからではなく,忙しいからなのだ.

試験の前にマンガを読んじゃったりするのといっしょです(じゃあ駄目じゃん).
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