村上春樹の初期2作品、『風の歌を聞け』と『1973年のピンボール』の英訳が出版されているのを見つけた。今年の8月に出たみたい。
この2作品の英訳は、かつて講談社英語文庫からアルフレッド・バーンバウム訳で出ていた。ただそれは、「世界のムラカミ」になるずっと前の話で、本が流通したのも日本国内だけ。その後も英語圏では出版されていなかった。
柴田元幸さん(なぜ「さん」付けなのか、自分でもわからない)がリチャード・パワーズ(アメリカの作家。春樹ファンだそう)に、講談社英語文庫版をあげたら、すごく喜んでいたという話をどこかに書いていたくらいだから、英語圏では「幻の作品」だったんだろう。
僕の記憶違いでなければ、中国語版や韓国語版は以前から出ていたはず。どうして英語圏でだけ出さなかったのか…ヴォネガットの影響が見えちゃうのが嫌だった、とかかな(都甲幸治さんが何か書いていたような気もする)。
それにしても、いままで英語圏のHarukiファンは、いきなり『羊をめぐる冒険』から読んでたわけですよね。この2作を読むと、『羊』の最後の号泣のニュアンスなんて、違っちゃうのでは...と思うけど、いいのかな。スターウォーズみたいで。