テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

人には二つの人生がある ~ 「ナチュラル」

2011-06-04 | アクション・スポーツ
 バリー・レヴィンソン監督の「ナチュラル (1984)」を観てない方には“ネタバレ注意”です。というか、未見の方には良く分からない内容ではないかと。






『人には人生が二つあるわ。一つは何かを学ぶ人生、もう一つはその後の人生よ』


 どんな映画にも、それぞれに印象に残る台詞があるものですが、「ナチュラル」の中で僕の記憶に残ったのがコレです。
 映画の終盤で、急病で産婦人科病棟に入院したロイをアイリスが見舞った時に、16年前の事件は自分さえしっかりしていれば防げたはずと後悔している彼に対してアイリスが言った言葉です。

 最初に観た時は、これはロイの人生について言っているのだと思いました。16年前の事件で人生の歯車は狂ったかも知れないけれど、その後のあなたは、その失敗を教訓にして立派に立ち直ったじゃないのと言っているのだと。
 だけど、この入院だって、メモっていうバンプ(=男を惑わす妖婦)に毒入りチョコを知らずに食わされたのが原因なんだし、メモと懇ろになった時にはスランプにも陥っちゃってるから、16年後もまた女で躓きかけてるロイって全然過去に学んでないじゃん、なんて一人突っ込みたくもなっていました。

 しかし、再度この場面を観てみると、アイリスが言ったのはロイの活躍に影響されている子供たちの事を言っているのではないかと思ってきました。
 ロイはたくさんのMLBの記録を破れたのに自分の不注意でそれがふいになったと言ってるけど、それに対して、『記録はなくても記憶に残るわ』と言っている。つまり、もう若くはないロイの奇跡的な人生には、学ぶ人が沢山いると言ってるのではないかと。

 "I believe we have two lives. The life we learn with and the life we live with after that."

 原作を読めば何か分かるかも知れません。
 さて、ご覧になった方はどんな風に思われましたか?

 アイリスが自分の人生にとってかけがえのない女性であるというのは、(ロイは)学んだはずですけど・・。







[2011.06.13 追記]
 書店でも古本屋さんでも見つけられなかった原作本を図書館で借りることが出来、斜め読みで該当部分を探し、確認してみましたら、やはり最初に思った方が正解のようでした。
 つまり、ロイ・ハブスは過去の失敗に100%学んではいないという事になりますな。
 原作ではアイリスは幼なじみではなくて、ラストも映画のようにはハッピーエンドではありません。通読してないので推測ですが、この台詞は、映画では印象的に使われていますが、小説の中ではそれ程ではないのかも知れませんね。

 原作を読んだかどうかは分からないとブログには書いたけど、ツイッターでは「映画のストーリーは原作とはだいぶん違っていた、そんな記憶があるんだけど・・・」と呟いている。やっぱ、読んでいたのかも。

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