将棋おたくのつぶやき

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コレステロールの常識は崩れたか(素人の考えです)

2008-03-29 00:54:45 | Weblog
「コレステロール値、低いと危険」富山大調査で死亡率高め(読売新聞) - goo ニュース

 コレステロールの常識が崩れたか、について考察します。

 といっても文献を直接見ていないので確かなことはいえません。当たり前ですが。ただし、普通は研究の発表先は掲載するものですが…。
 さて、時事通信と比べると読売新聞はより詳細な手法について報道しています。時事通信では、「高い・低い」の基準がまったく不明でした。
 これによると、「基準値か、それより高いか、低いか」ということで区切っているようです。そして、「基準値より低いものが危険、基準値とそれより高いものに差はない」ということでした。

 「基準値より低いものは危険」ということは、常識を崩したでしょうか?
 この情報だけでいえばNoと思われます。コレステロールの問題は一般に「高いか高くないか」ということで考えられており、基準値より低いことの害についてはほとんど語られない印象です。そもそも基準値より低い人はほとんどいないはずです。
 コレステロールは核酸などの物質の材料となる必須の物質であり、それが基準値より低い状態は当然問題であるはずです。それを数字の上で確かめたまでであり、今回の結果は「常識そのもの」と考えて差し支えないと思われます。(よほど無茶をしなければ基準値以下になどなりません。基準値より低いのは低栄養状態や代謝異常でしょう…)

 さて基準値より高い人と、基準値の人では死亡率に差がありませんでした。これは常識を崩したでしょうか?
 この情報だけでいえば「どちらとも判断つかない」と思われます。
 報道によると、この研究では基準値きっかりでしか区切っていません。しかし実際の臨床現場では、年齢やその他のリスクにあわせて治療を行う・行わないの線引きを行っています。そしてその線は、たいがい基準値よりもかなり高いところで行われます。(ましてや基準値以下に下げる治療は聞いたことがありません…)
 ですからコレステロールの値をもっと細かく階層的に分類しないと、実際の現場では参考にならないでしょう。「差がない」というのは一般的に「有意差がない」ということで、つまり「差があると考えないと矛盾が生じるくらいの大きな差、とはいえない」という意味でしかないのです。そこまでいかなくても差がありそう、という「傾向がある」か、ということについてはこの文章からはわかりません。

 結論からいくと、この報道から一般人の常識を覆すには至らないでしょう。つまりメタボな現代人は引き続きコレステロールの摂取を控えめにしておくのが無難です。常識を覆すとするならば、この研究について識者がしかるべき検討を加えてから、ということになります。

 蛇足ながら、この報道がされること自体に若干の違和感を覚えます。つまり常識の範囲内の研究結果ですから、報道の取捨選択がおかしいのか、あるいは上記の考察に決定的な影響を与える内容が記事の中に入っていないか、のどちらかだと思われるのですが。