北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

「場当たり的対応」払拭できず

2020-02-29 | 国政

安倍首相記者会見(2月29日)より

全国一律の小中高特別支援学校への休校要請、大規模イベントの自粛要請を受けて、ようやく安倍首相の記者会見が行われた。
大方の予想通り大した中身はなく、「私の政治決断」「私が責任を持つ」など、「私も新コロナでいよいよリーダーシップを発揮したぞ!」と自分だけ自分の言葉に酔うような会見で、記者からの質問は事前に確認していたものだけで打ち切り、あっけなく終了した。

26日、27日と政府の重大発表が続いたが、これを多くの国民は「唐突」と捉えた。
理由は簡単で、その前日25日に発表した政府対策本部の「新型ころなウィルス感染症対策の基本方針」には触れられていない方針をいきなり示したからだ。

基本方針の中で、「感染拡大がこんな状況になったら、あるいはこんなレベルに達したら大規模イベントは自粛を求めることもありうる」「全国の学校の一斉休校も検討する」という表現が入っていて、実際に1,2日で状況がガラリと変わったのならば(例えば韓国、イタリアのように数日で状況が一変することもありうる)、ここまで唐突感で批判されることはなかっただろう。

基本方針をまとめた段階では想定していなかった事態が生じた、あるいは新たな知見が発見されたのだろうか。
そうであっても「基本方針」の末尾には次のような記載がある。
「事態の進行や新たな科学的知見に基づき、方針の修正 が必要な場合は、新型コロナウイルス感染症対策本部に おいて、専門家会議の議論を踏まえつつ、都度、方針 を更新し、具体化していく。」
今回の方針提起は、専門家会議の議論を踏まえていないし、対策本部で議論したわけでもない。
報道(2.29朝日、毎日など)によると、安部側近の菅官房長官にも麻生副総理にも相談せず、萩生田文科大臣の反対も押し切っての「政治決断」とのこと。岸田政調会長には発表直前の報告(通告)、公明党との相談もなかったとのこと。

そこまで急を要するまさに緊急事態的な状況の激変があったのかといえば、今日の会見でそういうことも全く触れられていない。

要するに安倍首相自ら対策本部の意思決定プロセスや、そこでまとめた「基本方針」を政治決断で覆したのだ。
だからこそ「唐突」「場当たり的」との指摘が噴出しているのだ。

私自身は「基本方針」は問題だらけだと思うので修正、見直しは是非やってもらいたいと思う。
たとえば国内感染者数について、
「当初の武漢縛り、そして湖北省縛りは誤りで水際対策は失敗した、国内の検査体制の拡充もできず、検査拒否、たらい回しが常態化し、本当の感染者数を政府として全く把握できていない。感染者ゼロの県でも多くの感染者がいる可能性が大きい」
だからこそ
「今回の全国一律の休校要請の決断に至った」ということなら一つの理屈だとは思う(それでも果たして正しい方針かどうかは議論があると思うが)。
安倍総理はそういうスタンスで今後の対策本部に臨むのか(これは専門家会議のメンバーの見直しもセットの話だが)、それとも対策本部自体を事実応解体し、官邸主導、総理主導で今後の対策を進めていこうとしているのか、ここは今後の政府の対応を考える上でしっかり確認しておかなければならないところだ。

もっとも、安倍総理はどこまで考えて方針転換を図ったのかとなるとはなはだ疑問、明日のことすら考えてなかったような感じもするが・・・
国民には冷静な対応を求めつつ、支持率低下で首相本人が最も冷静さを失っているという自民党内からの指摘はかなりあたっているのではないか。
安倍総理にとっての危機とは新型コロナの感染拡大ではなく政権の支持率低下、そこに尽きるのではないか。

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