皇国ノ興廃此ノ一戦ニ在リ各員一層奮励努力セヨ

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ウラジミールを北朝鮮の金正恩と思え。

2016年11月23日 | 日本・国士


平成28年11月23日(水)

(1)ロシアとは、どういう国か。(私流に)概観したい。
 ロシアとは、我が国の南北朝時代に、ボルガ川流域で、
支配者であったモンゴルの手下・尖兵となって周辺部族の反タタール蜂起を制圧して勢力を伸ばした種族を基盤として、
十六世紀半ばに、モスクワでイワン四世がツァーリ(皇帝)を名乗って
モスクワ大公国(ルーシーではないが、モスクワ・ルーシーと名乗る)
として出現した「新興国家」である。
 この出自から明らかなように、
「自らをルーシーと呼ぶタタール(モンゴル)」
 がロシアである。
 
 このイワン四世、別名、イワン雷帝(1530年~1584年)は、
丁度我が国の織田信長(1534年~1582年)や
武田信玄(1521年~1573年)と、同じ時期に、同じように生きた。
 つまり、領地を守り拡大するために、東西南北の敵と戦い続ける人生を生きた。
 信長や信玄は、周囲海に囲まれた日本列島の中で生きたが、
イワン雷帝のモスクワの東には国がない大森林の陸が続くだけで海もなかった。
しかも、その陸には優れた毛皮を持つ黒テン(走るダイヤ)がいた。
そこで、ロシアは、走るダイヤを求めるコサックを尖兵として
シベリア征服事業を開始する。
 その頃、
 南のユーラシア大陸の南に沿った海洋でスペインやポルトガルをはじめとするヨーロッパ諸国のアジア征服事業が既に開始されていたのだが、
同時期、ロシアも大陸の北の陸地で同じ征服事業をしていたのだ。
 そして、ヨーロッパ諸国が太平洋に達したように、
ロシアもかなり遅れた十九世紀の半ば、
沿海州を手に入れて太平洋に面したユーラシア大陸東端に出た。
 建国から三百年を経てやっと南の海に向かう太洋に面したロシアは、
何を欲したか。
それは、南の凍らない海、凍らない港である。
 そして、海洋に浮ぶ北の樺太と南の対馬に対する侵略を開始したのだ。
 ユーラシア大陸の東端から、
東に広がる太平洋を臨んで両手を広げたロシアの視点から眺めれば、
左の手が樺太に届き、右の手が対馬に届く。
 従って、ロシアは、ほぼ同時期に樺太と対馬に対する武力侵攻を開始した。

 ロシアは、
1853年、樺太のアニワ湾に上陸して日本人漁民を駆逐して砲台を築いた。そして、
1861年、対馬の浅茅湾に軍艦サドニック号を侵攻させて二人の対馬藩士を殺害して芋崎に兵舎を造って半年間居座った。
注目すべきは、この間の1855年(安政元年)、
我が国とロシアは、下田で日露和親条約を締結していることである。
 その締結二年前にロシアが、樺太アニワ湾における砲台を設置し武器を持ったならず者を侵入させて、日露和親条約の締結に臨み、我が国に国境を決めない「樺太の日露雑居地」を認めさせたのだ。
さらに、ロシアは、樺太を日露雑居地として樺太における勢力を確保し得た日露和親条約締結後も、なおも対馬の領有権獲得を諦めず、対馬に軍艦を侵入させて居座った。
 その後、全樺太はロシアの領土とされ(千島樺太交換条約)、
 対馬はイギリスの介入によってロシア軍退去で決着した。
 しかし、ロシアは、その後も、東の征服(ウラジオストーク)を進め、
満州の制圧から朝鮮半島に勢力を伸ばし、
対馬退去から三十年後には次の方針を確定している。
 「極東でロシアが絶対優位権を獲得せんと欲するならば、
 須く日本を撃破し、その艦隊保持権を喪失せしめねばならない。」、
 「対日戦では朝鮮を占領して馬山浦を前進基地として、日本人を撃破するのみにては不十分で、さらに是を殲滅しなければならない。」(ロシア海軍軍令部編纂「千九百四、五年露日海戦史」)
 
 ロシアのこの意図は我が国の日露戦争による必死の勇戦奮闘によって挫かれたが、
その四十年後に、ロシア(ソビエト)は、
第二次世界大戦後の「火事場泥棒」によって、
樺太の南半分と、全千島と歯舞、色丹、国後そして択捉に武力侵攻して略奪したのである。 
その時、ソビエトのスターリンは、
「我々の古い世代は、四十年間、この日を待っていたのだ」と言って、
日露戦争以来のロシアの目的を達したと表明した。
 そして、そのスターリンが創ったKGBの将校であったプーチンは、
ソビエトからロシアに戻った新しい「ロシア国歌」の歌詞を作った。それは、
「おお、北の大森林から、南の大海原まで、これらロシアの聖なる大地!」
と謳われている。
 ロシアに「南の大海原」などは、
我が国の領土領海である日本周辺海域以外にはない!

 十六世紀のイワン雷帝以来のロシア(タタール)の
東に対する領土拡大の野望は、
二十一世紀のプーチンに至るまで見事に継続されている。
 これが、ロシア、だ。

(2)プーチンとの信頼関係で領土が還るのか。
 ペルーのリマで、日本側は、プーチン大統領に対ロシア経済協力の中身を提示し、
プーチンは、「良くできた案だ」と満足げに応え、
ロシアは我が国に何を提示するのか黙したままで、
安倍総理との二人だけの会談に入った。
この会談後の安倍総理のコメントに対する懸念は、
 先日の時事通信で述べた通りだ。
彼は肝心の「領土返還」とは言わず、「平和条約」という言葉を使った。
同時に、プーチンとの「個人的信頼関係」を強調した。
 その時、プーチンのコメントはなかった。
しかしその後、プーチンは、安倍総理に何を言ったのか、記者会見で喋り始めた。
曰く、北方領土は、ロシアの主権がある領土だ。
曰く、北方領土における日露の共同経済活動をしよう。

 ここにおいて、明らかになっているのは、産経新聞の「正論」における
木村汎北海道大学名誉教授や、
袴田茂樹新潟県立大学教授の
「警告」が現実化したということだ。
私の懸念も現実化した。
 それは、プーチンは、
 我が国からの経済支援を「ただ取り」しようとしている!
ということだ。

 本日の産経新聞朝刊は、
「北方領土ミサイル配備 露、実効支配の誇示狙い」
という見出しの元に、ロシア軍機関誌が
北方領土の国後と択捉に地対艦ミサイルが配備されたと伝えたことを報道している。
 このロシア軍のミサイル配備の公表は、
明らかに、二十日のプーチンの安倍総理に対する
「北方領土は、ロシアの主権がある領土だ」との発言と連動している。
これは、プーチンの、日本に対する
露骨な軍事力の誇示、即ち、恫喝ではないか。
 しかるに、二十二日になっても、
日本側は、このミサイル配備の公表に対する反発は示さず、
「北方四島の将来の発展について、日本とロシアがウィンウィンの形で進めていく」とか「首脳間の信頼関係がなければ解決しない問題だ。私自身がプーチン氏と直接やりとりをしながら進めていく」(ブエノスアイレスで安倍首相)とか、
「共同経済活動について、一般論として否定するものではないが、我が国の法的立場を害さないことが大前提」(岸田外務大臣)言っている。

 我が国が、北方領土返還を掲げて、
健気にも対露経済協力の中身を親切に説明して対露交渉に臨んでいるのに、
その最中に、
プーチンは、北方領土はロシアの主権のあるロシアの領土だと宣言し、
さらに国後・択捉へのミサイル配備を通告したのだ。
 平手で相手の頬を一発引っぱたくようなものではないか。
 安倍総理の言うところのプーチンとの「首脳間の信頼関係」が、
 一体、どこにあるのか。
 プーチンをウラジミール!と呼べば信頼関係があるのか。
 そのウラジミールは、
 何をしても、一発ほっぺたをひっぱたいても、
 すがりつくように、信頼関係があるという日本の総理を、
 ほくそ笑んで見ているに違いない。

(3)今、何が起こりつつあるのか
 はっきり言って、安倍総理はプーチンに騙されている。
 よく、俺おれ詐欺などの被害実態がテレビなどで再現され、それを見た私たちは、
 何故こんなことに騙されるのかと、じれったく、いらいらさせられるが、
 このままでは、安倍総理はこの詐欺被害者と同じ状況に陥る危険性が大である。
 プーチンの日露共同経済活動の提案は、
 領土を拡大する時の露骨なロシアの伝統的手法だ。

 本稿において、冒頭に、ロシアの歴史と日露関係史を概観した所以は、
プーチンの手法が、百六十年前に、ロシアが日本に、
樺太に砲台を建設し犯罪者やならず者を送り込み、
樺太を「日露雑居地」と認めさせて、
結局、全樺太を奪った手法と同じだということを示すためである。
現に、プーチンは、国後・択捉にミサイル基地を建設し、
安倍総理に国後・択捉で日露経済共同活動(つまり、金を出せ)、
を提案してきている。
 私は、このプーチンの提案を知って、
とっさに、ロシアの全樺太制圧に向けた手法を思い浮かべた。

 安倍総理には、
 次の、ロシアの侵攻を受けた諸民族が持つ共通認識を思い起こして欲しい。
 ウラジミールもこの認識の権化なのだ。
 ①約束を守るロシアなど、あろうか。
 ②ロシア人は、約束を破るために約束をする。
  中国人は、そもそも約束は守らねばならないとは思っていない。

 そこで、最後に、言う。
 安倍総理、
この度の日露交渉の決裂を恐れてはならない。
むしろ十二月の日露外相会談を決裂させるべきである。
 次ぎに、
プーチンとの信頼関係で領土問題が解決すると思ってはならない。
ウラジミールを、
北朝鮮の金正恩だと思え。
彼らは、同じ狡い力の信奉者なのだ。
従って、金正恩同様、
プーチンに我が国の要求を受け入れさせるには、
受け入れなければ、ロシアとプーチンが破滅すると思わせねばならない。
それ故、今我が国が為さねばならないのは、
前に言ったように、臥薪嘗胆!
そして、ロシアとロシアの独裁者を破滅させ得るだけの力を蓄え、
破滅させるだけの国際的包囲網を形成することである。



西村眞悟の時事通信より。






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