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今日は山は雪である。家の周りは雨降りとなっている。
雪といえば思い出す母のこと。
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母は最後数年は、悪性胃癌で胃に穴が開いて常に出血している状態だった。
それでもデイが大好きで通ってくれていたので助かっていた。
造血の為の食べ物にも気を配っていた。嫌いだったはずのレバーも
毎日食べると言うので作り置きしては出した。
それでも食べ物と薬では間に合わず、貧血が酷くなると入院して輸血を
して貰った。入院の度に「今日かもしれない、明日かもしれない。覚悟を。」
と、お医者様から宣告を受けながら、2年以上頑張った。
11月に亡くなったのだが、その年の2月だったかな?退院の朝、こちら
では滅多に見られない大雪だった。もう数日退院を伸ばそうかと思ったが、
やはり帰りたいだろうと考えた。それに病院は海の近くで積雪は無かった。
迎えに行くと「みんな退院を伸ばしているんで、どうしたんかなぁ?」
と母が呑気に言った。家に近づくにつれ雪が見えてきた。「あ!雪や!
雪や!真っ白や!」子供がはしゃぐように叫んでいた母。
家の周りは4,5センチ位積もっていたなぁ。
いつも退院の日は、母の好きなチラシ寿司とお刺身を準備した。
「やっぱり家が一番いい!病院の食事はおいしない!
あんたの作ってくれるのが一番美味しい!」と喜んでくれた。
雪と聞けばあの日のはしゃいで喜んでいた母を思い出す。
母との思い出は楽しいことばかり。お母さん有難うね。