鞄に演劇をつめこんで

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当日パンフレットの考察その4

2021年05月03日 | 小劇場演劇の考察

6 理想の当パンを求めて
 以上を踏まえ、理想の当パンについて考えてみました。
 コンセプトは、「作品、役者、団体と観客をしっかり繋げる当日パンフレット」で、5つの役割をしっかり発揮した当パンです。
 架空の作品をもとに、作成したのが画像にある当パンです。

<1頁目>

<2頁目>

<3頁目>

<4頁目>

作成するにあたって検討した事項を記載します。
■ 当パンのサイズは?
 複数の出演者いる舞台を仮定し、相当の情報量を盛り込む必要があることから、冊子のようなパンフレットらしさも出るA5版・4頁を採用しました。

■ 配役は1頁目で 
 1頁目には、フライヤーの画像データを活用し、①公演に関する情報と、②配役表 の両方を掲載しました。表紙の役目と、一番知りたい情報の配役がすぐにわかることを優先したことが理由です。

■ 劇団のPRは2頁目で 
 2頁目には、当パンの役割4「団体を知ってもらうツール」に関係する情報を掲載しました。挨拶を簡潔に掲載したほか、団体の紹介とあわせ、過去上演作品を紹介しています。また物販のお知らせは広告ぽく、最下蘭に配置してみました。あらすじも載せました。

■ 3頁目を出演者情報として活用 
 3頁目は、「役者」を中心にした情報発信をしたいと考え、配役表にしないで、出演者の情報を2段組で掲載しました。情報として重視したのがTwitterのアカウントで、Twitterをフォローすれば、今後の公演情報やその際の予約扱いのURLを知ることができます。
 そのため、氏名(所属)の次にアカウントを掲載し、更に、余白にQRコードを載せました。また過去の出演情報を紹介してから、今後の活動情報を載せました。
 情報量(文字数)は多くなりますが、枠線ありの2段組みとし、さらに字のポイントをやや小さめにしたことで読みにくくならず1頁内でおさめることができました。

■ スタッフなどは4頁目で 
 最終面の4頁目は、冒頭で「感想のお願い」を入れました。「#タグ」を文字でお知らせするのが狙いです。またプレゼント企画を設けてみました。
 スタッフや協力は、エンドロールのような感覚で、しっかり紙面を割いてみました。余白があるので、スタッフのアカウントやQRコードも掲載するのもありかと思います。
 そして最後に、団体の公演情報を掲載しました。これはテレビでいう、次回の予告にあたるような効果を狙ったものですし、4頁しっかりと眼を通してもらうことも狙いです。

7 まとめ  
 ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。
 日頃から観劇の度に手にする当パンですが、今回のテーマを執筆するため、大量の当パンを見返してみて、そして自分でも当パンもどきを作成してみて、改めて「当日パンフレットっていいな」と思いました。
 最後に、新型コロナを背景に最近見かけることが増えてきた「デジタル当パン」のことと、「広告掲載」について触れておきます。

デジタル化 
 コロナ禍で急速に増えたのが「デジタルパンフレット(デジタル当パン)」でしょう。観劇直前に予約時のメールアドレスに送付されたURLや、チケットや劇場内に掲示されたQRコードからアクセスします。
 デジタル当パンは紙と随分違います。HTMLなどでデザインされ、スクロールしながら読んでいきます。
 デジタル当パンは便利なようですが、例えば感想をSNSで呟くときに、氏名の確認などで何度も画面を切り替える必要があるなどストレスが溜まります。また保存に向いていないので、プリントアウトすると大量の紙に印刷されることや、後で印刷しようとしたまま時間が経ってしまいアドレスがわからなくなってしまうこともしばしば。
 印刷コストは削減できるとしても、WEBデザインを考えると劇団の負担はそれなりにあると思います。
 そこで、デジタル化の流れは避けられないとすれば、当パンの原稿はこれまでどおり作成し、1頁から4頁まで順番に閲覧できるファイルと、(表)4頁と1頁・(裏)2頁と3頁の順に割り付け自宅で印刷して二つ折にして当パンを完成できるファイルの、2種類のファイルを作成し、提供方法を紙ではなくPDFでのダウンロード方式にすれば、保存も印刷もしやすく、いいのかなと考えます。

広告の掲載 
 当パンを作成しない理由にコロナ禍で収入減や公演中止リスク等に伴う経済的リスクを耳にしたことがあります。上述のデジタル化が解決策だと思いますが、もうひとつ広告収入について触れておきます。
 可能性がありながら、現実的ではないといわれてきたのが、「当パンでの広告掲載」だと思います。広告掲載料が収入として入れば、作成費用の負担軽減になります。
 実際にどのぐらいの団体がこれについて営業されているかわかりませんが、仮に50人×8公演ができれば、前説・終演後の挨拶などで紹介するなどの仕掛けで、少なくとも確実に400人の方に広告に目を通させることが可能です。これは相当凄いことです。
 そんな効果が期待されながらも、広告という考えが進まない理由は今後分析していく余地があるのですが、小劇場は劇団が劇場と結びついても地元の商店街など地域に根付いていないこともあるのではないかと考えます。
 また、クラウドファンディング形式で、名前掲載や客入れ時での紹介などをリタ―ンに協力金を募ることも可能だと思いますので、広告収入の取組はやりようがあるのではないかと思います。

最後に 
 この文章を通して当パンの魅力が少しでも伝われば嬉しい限りです。観劇される方がこれまで以上に当パンに目を通され、演劇関係の方が当パンの作成の参考にしていただけるようなことがあれば、これ以上の幸せはありません。

 2021年5月 下北沢の喫茶店にて

 

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