Photo@Story

~ 見たり 読んだり 出かけたり ~

電信柱と妙な男

2019-08-25 | 読む

 

小川未明・・といえば、やはり「赤い蝋燭と人魚」が

頭に浮かびますが、

 

この本は、~怪異小品集~

 

文字通りすこし恐くて怪しくて、読み終えるとザラリとした読後感に

閉口しつつ、ゾクゾクする感じもあって、

ほんとに短い10ページ前後のお話ばかりなので

また次読みたくなってしまいます。

恐いもん見たさにズルズルよんでしまうタイプの本かもしれません。

 

一番印象に残ったのは 「朝の鐘鳴る町」

おだやかなタイトルにだまされてはいけませんよ(笑)

 

父母を亡くした少女が親戚のおうちにひきとられ

とりあえず幸せに暮らしていたのですが、

この少女目が見えなくなります。

可愛がっていた子犬が彼女の目となり外出時には

いつも一緒の仲良しです。

主治医も匙をなげた少女の失明に

ある外国の名医が手術をして

再び見えるようになるのですが

その手術、子犬の目を少女に移植するという

もので、

最初は喜んでいた回りの人たちも

「犬の目をした少女」を

だんだんと気味悪く感じ、避けるようになっていきます。

 

このあたり、人間の心の複雑さをシンプルに描いてますね。

 

目が見えて喜んであげなくてはならないのに

何故か気味が悪い・・この心の葛藤に対して

作者は、あなたならどう?って問うているのでしょうか。

 

自分の想像外のもの、異端を受け付けられない生理という

理屈ではなく一筋縄でもいかない厄介なモノを抱えた人間を

小川未明は淡々と描いています。

 

それでも最後は救いのあるラストが待っているので

暖かい気持ちになります。

 

捨てる神あれば拾う神ありってところですね^^

 

 

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿